ポールウインナーとは、伊藤ハムが販売しているウインナーソーセージである。
そう聞いて「ああ、あれね!」と思った人は、おそらく京阪神地方に在住しているのではないかと思われる。
「え、なにそれ?」と思った人は、それ以外の地域に住んでいる人であろう。
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https://twitter.com/wbs_tvtokyo/status/778892695280332800
概要
セロハンでケーシングされた、細いスティックタイプのウインナーソーセージ。そう聞くと「魚肉ソーセージ?」と思う方も多いと思われ、確かに形としてはいわゆるよくある「魚肉ソーセージ」とよく似ている。
しかしこの「ポールウインナー」の主原料は畜肉(豚肉、マトン、牛肉を配合したもの)である。隠し味的なものなのか少量の魚肉(たら)も加えられているが、基本的には肉、特に豚肉を主な材料としたウインナーソーセージである。魚肉ソーセージと比べて、肉の旨味がしっかり感じられるとされ、またそのまま食べても美味いが加熱して食べると脂が溶けてさらに美味しくなるという。
パッケージに描かれた正式な製品名は「ポールウインナーソーセージ」。棒(ポール)のように細めなのでこの名が付いているのだろう。「ソーセージ」の部分は少し小さい文字で描かれていることもあってか、「ポールウインナー」と通称されることの方が多い。王冠の絵に「ROYAL」(ロイヤル)という英字が添えられたロゴマークがパッケージに添えられてもおり、「ロイヤルポールウインナー」という製品名として販売されていることもある(本記事「関連商品」参照)。
ハム・ソーセージ業界でも大手企業の一つ「伊藤ハム」の主力商品の一つであり、2013年の記事によれば年間1億本も製造されているという。1934年に誕生し、2021年現在も好評販売されている定番商品である。誕生当時は正式名称は特になく、セロハンで包まれていたことから「セロハンウインナー」と通称されていたが、戦後に改名した。2019年に同社がポールウインナー85周年記念のキャンペーンを張った際には、その告知広報文
にて「弊社発展の礎を築き、愛され続けて今年85周年を迎えるロングセラー商品です」とまで記されていた。
だが、ここまで読んで「へー、そうなの?見たことも聞いたこともないけど」と不思議に思った方もいるだろう。それもそのはずで、この商品は実は京阪神地方でしか売れていない。2021年の記事によれば、販売数の89%が近畿2府4県のもの。それ以外の都道府県の販売量はごく微々たるものでしかないのだ。
この地域に広まっている理由としては、そもそも伊藤ハムがこの地域に本社を置く企業であるということ。そして、1965年からの一時期に学校給食のメニューとして採用されたことで「子供のころから親しんでいる味」として定着したことも理由の一つとされる。
ではなぜこの地域以外に広まっていないのかというと、「他の地域に進出しようとしたら既に魚肉ソーセージが普及しきっていた」「そして、安価な魚肉ソーセージと比べて畜肉を使ったポールウインナーは少し値段が高く、知名度がないこともあって価格差から購入してもらえない」と推測されているらしい。
そのため、京阪神地方でこのポールウインナーに慣れ親しんだ人々の中には、他の地域に転居するなどしてから本製品が販売されていないことに気付き、寂しい思いをする人もいるという。北海道民にとっての「ソフトカツゲン」、九州人にとっての「うまかっちゃん」のようなものだろうか。
そんな声はメーカーの伊藤ハムも把握しており、「ポールウインナー」の公式サイトでは「みんなの目撃情報 ポールウインナーみーつけた!」というコーナーが設けてあり、ユーザーが「ポールウインナーを売っている貴重な店」を投稿して教え合うことが可能になっている。
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https://twitter.com/Itoham_inc/status/1318465163536723968
また、コンビニ「ローソン」のプライベートブランド「ローソンセレクト」では全国的に「おつまみポークウインナー」という製品が扱われているが、これが実は伊藤ハム製であり「ポールウインナー」にかなり近いともいう。ただし「原材料の配合が少し違うようだ」という話もあり、完全にイコールかどうかは不明。
ホットドッグ
まだハンバーガーなどのファストフードチェーンが存在していなかった1960年代には、このポールウインナーを使ったホットドッグの移動販売車がよく京阪神地方の駅前や広場や観光地などで営業していたという話もある。
コッペパンに切れ目を入れて、カレー風味のキャベツ炒めとポールウインナーをそこに挟んで供されるという、いわゆる現在の一般的な「ホットドッグ」とは一風変わったものであったという。これを「大阪ドッグ」と呼称して、復刻して販売している事業者もいるようだ。
また、この「カレー風味のキャベツとポールウインナーのホットドッグ」を自作する人々もいる。
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https://twitter.com/nojiri_h/status/1307171255150284800
関連静画
関連リンク
- ポールウインナー ニッポン・ロングセラー考 - COMZINE by nttコムウェア
(2007年の記事)
- 関西人の大好物ポールウインナー 関東になぜない?|NIKKEI STYLE
(2013年の記事)
- 関西人の定番「ポールウインナー」の謎 なぜ東日本で普及しない?
(2015年の記事)
- 関東人は「ポールウインナー」を知らないらしい 関西では超メジャーなのに...いったいなぜ? - コラム - Jタウンネット 東京都
(2019年の記事)
- こんなにうまいのになぜ関東で見かけない? 関西人はみんな知ってる「ポールウインナー」の謎 - ねとらぼ
(2020年の記事)
- え、全国区じゃないの…!? 関西人が愛する「ポールウインナー」食べたことありますか
(2021年の記事)
関連項目
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