マイケル・ファラデーとは、19世紀に活躍した実験物理学者である。今日では「ファラデーの電磁誘導の法則」や電気容量を表す「ファラッド」にその名を残している。
概要
詳しい経歴はWikipediaさんに任せる。
1791年、イングランドに生まれる。貧しい家庭だったらしく、学校は小学校までしか出ていない。後年、協働し電磁気学を完成させたマクスウェルとは対照的である。
当然、高等な数学的素養も持ちあわせていなかったが、ファラデーはその神から与えられたとしか言いようの無いセンスにより当時としては非常に画期的だった「電気力線」という考え方を導入する。他にも有名な電磁誘導の法則などを発見し、電磁気学に多大な貢献をした。
しかしファラデーには数学的素養は無かった。謙遜で無いとかそういうレベルではなく本当に無かった。数多くの法則を実験的に発見したものの、数式で定式化できなければ厳密に示されたとされない文化は当時からすでに存在しており、そういう理由でファラデーを認めない人も多かった。
そこで登場したのが天才マクスウェルである。彼はエディンバラ大学、そしてケンブリッジ大学などまさにエリートと言えるコースを辿っており、マクスウェルがファラデーの導入した電気力線に関する論文を執筆したことで親交を持つことになる。2人は親子ほども歳が離れていたが、お互いに尊敬し合う仲だったという。
天才的な実験屋と、天才的な理論屋の協働により、18世紀の中頃、1864年に電磁気学はたった4つの方程式(ファラデー-マクスウェルの方程式)として完成することとなったのである。
ちなみに、ファラデーを見出したのは当時の有名科学者であるハンフリー・デービーである。某動画ではファラデーに嫉妬したくだりがあるので悪く言われているが、デービー自身も(ファラデーほどでは無いにしろ)天才的な科学者であり、新元素を6つも発見したり当時の科学に貢献していた。また、後年にはファラデーを認め、王立研究所の実験主任にファラデーを推薦したのは他ならぬデービーである。
また、自身が貧困家庭に育ち満足に教育を受けられなかった背景からか、非常に熱心な教育者でもあった。一般向けの科学セミナーを頻繁に催し、その講義内容の一部をまとめた本「ロウソクの科学」は、現在に至るまで世界各国で翻訳・出版され続ける、子供向け科学書として最大のロングセラーとなっている。
余談であるが、昨今の物理学は益々数学的な様相を呈すようになり、実験屋と言えども高度な数学的知識が不可欠となった。物理の教科書では多くの難解な数式が踊り、その物理的本質を見失うことが少なくない。
その一方、リチャード・ファインマンの有名な言葉「君の数式が見たいのではなく、君の物理の考え方を見たい」に現れているように、現代でも本質を抉り出すような天才は数多い。もしファラデーが現代の物理を見られるとしたら、何を思うだろうか。
関連動画
関連項目
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