マイネルラヴとは、1995年生まれの日本の競走馬、種牡馬である。そして、たくさんのG1馬の背中を見続けてきた馬であった。
主な勝ち鞍
1998年:スプリンターズステークス(GI)、セントウルステークス(GIII)
1999年:シルクロードステークス(GIII)
概要
父Seeking the Gold、 母Heart of Joy、母父*リイフォーという、バリバリの外国産馬である。リイフォーだけカタカナなのは種牡馬1年目にアメリカで活動した後日本に輸入されたから。なお*トロメオらアメリカに残した初年度産駒が活躍したため、日本で産んだニッポーテイオーらの活躍を見ることなくアメリカに買い戻されている。ちなみに母は*リイフォーのアメリカ再輸出後の産駒。1歳7月のキーンランドセールで37万5000ドルというそこそこの値段で落札され(ちなみに同じセリで落札されたアグネスワールドは105万ドル)、日本に輸入された。
新馬戦では、この馬が出るということでまさかの不成立が心配されたがなんとか開催、単勝1.1倍の圧倒的な人気にこたえて快勝した。続くプラタナス賞は苦手のダート戦ゆえに2着に敗れるも、続く百日草はまたも圧倒的人気にこたえて圧勝。ここまではなんら違和感はないのだが……。
中1週の強行軍で挑んだ東京スポーツ杯3歳ステークスでは、同じ詰め甘キングヘイローの前に2着に敗れた。そしてまた強行軍で挑んだ朝日杯3歳ステークスは6番人気と低評価だったものの、一時は先頭に立つなど見せ場を作るが同じ外国産馬のグラスワンダーのレベルの違う脚に敗れまたも2着となった。しかし、1分34秒0というこのタイムは1990年にリンドシェーバーが記録していたレースレコードと同じタイムであり、並の馬でないことは間違いなかった。それよりも速いタイムで駆け抜けたグラスは何者?
年明けて4歳、初戦に京成杯を選ぶも、アクシデントと、終始馬場の悪い内側を走らされたため、5着と初めて連対をはずしてしまう。続くアーリントンカップでは完全に勝ちパターンだったにもかかわらず、オリビエ・ペリエの神騎乗によって導かれたダブリンライオンに敗れ2着。NZT4歳ステークスではこれまでと違った差しの競馬に転換しよく伸びたが、外国産馬最強の刺客エルコンドルパサーに敗れ3着、雪辱を期して臨んだNHKマイルカップも7着に敗れた。この後に休養に入ったが、そこで所属厩舎が変更になっている。当時のサラブレッドクラブ・ラフィアン代表の岡田繁幸氏の意向によるものだが、ケンタッキーダービーを狙える馬と公言していた当馬のふがいない成績に憤慨したものといわれている。出たとしてReal Quietに勝てたかというと……
そんなこんなで秋初戦のセントウルステークス、前走から+18キロという体重増が心配されたが、2着に3馬身の差をつけて圧勝、重賞初制覇。この時に大川慶次郎氏が、「この馬と他の出走馬を比べるのは失礼」というようなことを発言している。しかし、続くスワンステークスでは目に異物が入るというまさかのアクシデントに襲われ、7着と惨敗。当初予定していたマイルチャンピオンシップを回避することに。
そして迎えた3度目の大舞台、スプリンターズステークス。ここにはあの2台巨頭がいた。そう、タイキシャトルとシーキングザパールである。この2頭はこの年にともに海外GIを制し、日本の短距離界を支配していた。ただ、タイキシャトルは元々前走のマイルチャンピオンシップを最後に引退する予定だったところをJRAの要望でこのレースに出走しており、前走より体重増と、勝つ気がなかったようにも思える。シーキングザパールも前走のマイルチャンピオンシップでタイキシャトルにボロクソに負けており、最初からシャトルに勝てる気なんかしねーよ、という目で見られていたような気もする。圧倒的一番人気はタイキシャトル。続く2番人気はシーキングザパール。マイネルラヴは7番人気と、ほぼ完全に無視されていた。
しかしレースでは、タイキシャトルが伸びあぐね、それに並んで抜け出したマイネルラヴがシーキングザパールの末脚を抑えてG1初制覇を飾った。レース映像を見ればわかるが、なかなかな熱戦であった。これまで、あの幾多の名馬たちの背中を見続けたマイネルラヴがついに頂点に立った。しかも短距離最強馬2頭を抑えての勝利に、ファンは新たな短距離界のエースへの期待を募らせるのであった。
ところが、ドバイ遠征を見据えたガーネットステークスでやっぱりダート適性の低さが露呈し惨敗、続く阪急杯も苦手な重馬場で5着どまり。ファンは首をかしげた。「あれ? あの時の強さどこいった?」と。しかし、次のシルクロードステークスではアグネスワールド、トキオパーフェクト以下を抑えて復活。これで高松宮記念も決まりかと思われたが、高松宮記念の直前に怪我で回避。なんとも運のないことよ……。
復帰初戦の富士ステークスでは見せ場なく13着、連覇を狙ったスプリンターズステークスでもブラックホーク、キングヘイロー、アグネスワールドらに敗れ4着。もしかしたらこの馬はいい馬の背中を見るのが好きだったんじゃね?
次の年も現役を続けたが、かつての走りは見る影もなく、惨敗を繰り返して引退。種牡馬となった。
ちなみにマイネルラヴは気性の激しい馬であり、晩年の競走馬生活では、場所を選ばずどこでも暴れたという。しかも調教でまじめに走らず、すぐに手を抜く癖もあったという。さらに不幸なことに、重い馬場状態が苦手なのに、雨にたたられることが多かった。なんという雨男。
種牡馬としては、GI馬は出なかったが、地方も含めれば結構な馬が重賞を制し、2004年には190頭と種付けするなど人気を集めた。母父としてもJBCスプリントを制したドリームバレンチノ(父*ロージズインメイ)を筆頭に複数の重賞馬を輩出している。自分が腰を下ろしたビッグレッドファームからの活躍馬が多かったが、それ以外でもちらほらと活躍馬が出ていたようである。
2012年6月9日、放牧地で倒れ、安楽死の措置が取られた。後継種牡馬としては園田競馬やホッカイドウ競馬で活躍し、2014年の南部杯で2着に入ったポアゾンブラックがスタッドインしている。
血統表
Seeking the Gold 1985 鹿毛 |
Mr. Prospector 1970 鹿毛 |
Raise a Native | Native Dancer |
Raise You | |||
Gold Digger | Nashua | ||
Sequence | |||
Con Game 1974 黒鹿毛 |
Buckpasser | Tom Fool | |
Busanda | |||
Broadway | Hasty Road | ||
Flitabout | |||
Heart of Joy 1987 黒鹿毛 FNo.14-c |
*リイフォー 1975 黒鹿毛 |
Lyphard | Northern Dancer |
Goofed | |||
Klaizia | Sing Sing | ||
Klainia | |||
Mythographer 1977 栗毛 |
Secretariat | Bold Ruler | |
Somethingroyal | |||
Arachne | Intentionally | ||
Molecombe Peak | |||
競走馬の4代血統表 |
主な産駒
- コスモヴァレンチ (2002年産 牝 母 イブキローマン 母父 *ブレイヴェストローマン)
- コスモフォーチュン (2002年産 牝 母 グレースマリヤ 母父 *グルームダンサー)
- マイネルハーティー (2002年産 牡 母 シビルスイート 母父 シンボリルドルフ)
- ゲットフルマークス (2006年産 騸 母 *グラブ 母父 Danzig)
- ダブルウェッジ (2006年産 牡 母 ファインディンプル 母父 Silver Hawk)
- ダンツミュータント (2009年産 牡 母 ウメノローマン 母父 リードワンダー)
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
- 2
- 0pt