マクドネル・ダグラス(英:McDonnell Douglas,マクダネル・ダグラス)とは、かつて存在していたアメリカの航空機宇宙企業である。
マクドネル・ダグラスが手掛けた代表的な航空機はDC-9、DC-10、MD-11、MD-80、F-15イーグル、AV-8Bハリアー2、F/A-18ホーネット、AH-64アパッチ等がある。某業界では有名な航空機のオンパレードである。
概要
1960年代末、戦闘機メーカーであるマクドネルは旅客機メーカーのダグラスを吸収合併した。当時はベトナム戦争が激化し、航空機の主材料であるジェラルミンが軍用機メーカーに優先的に供給されたのでダグラスは旅客機の注文が充分にあったのに生産を間に合わせることができなかった。さらに新型旅客機DC-10の開発で資金難に陥ったことから、両社は合併し、マクドネル・ダグラスが誕生した。[1]
80年代までのマクドネル・ダグラスはまさに黄金期だった。旅客機部門では合併後に完成したダグラス系旅客機のDC-10が(就航初期に設計ミスに起因する大事故を起こしてしまったものの)順調に売れ、またDC-9のストレッチタイプであるDC-9スーパー80(MD-80)が好評を博していた。軍用機部門でも艦載機製造ノウハウを買われて、ノースロップ社のYF-17を艦載機向けに改設計したF/A-18ホーネット、BAEハリアーの設計を洗練させたAV-8ハリアー2、自社謹製のF-15イーグル、ハープーン対艦ミサイルやトマホーク巡航ミサイルなどの名のある機体を多く手がけている。
90年代に入りマクドネル・ダグラスはMD-11やMD-90などの既存機の拡大改良型の機体を旅客機市場に送り出したが販売が思うように振るわず、ボーイングとエアバスの二社に苦戦を強いられることとなる。さらに91年のソ連崩壊に伴う冷戦終結で軍需部門の売上も下がりはじめ、マクドネル・ダグラスは一転して苦境に立たされる事となった。一時は中国との合弁会社で持ち直そうとも考えていたが、これも失敗に終わっている。
1990年代半ば、マクドネル・ダグラスはJSFの書類審査に敗れた。その時点でマクドネル・ダグラスは将来の戦闘機製造事業から撤退することが確定した(米空軍の戦闘機はラプターとJSFに、米海軍のホーネットもJSFの海軍仕様に切り替わる)。それから1ヶ月もたたないうちにマクドネル・ダグラスはボーイングに吸収合併されることに合意。ボーイングに吸収されることで旅客機製造の名門ダグラスも消滅し、世界の大型旅客機のシェア争いはボーイングとエアバスの2社に移っていった。[2]
関連動画
ダグラス・エアクラフト時代からの栄光と衰退の歴史を解説した動画シリーズ。全12話。
関連商品
関連項目
脚注
- 2
- 0pt