マグナムとは、
- 弾薬の種類、またそれを用いる銃の通称。この項目で記述。
- 『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』の登場人物、星馬豪が使用するミニ四駆の総称。「マグナムセイバー」「ビクトリーマグナム」「サイクロンマグナム」「ビートマグナム」「ライトニングマグナム」「バイソンマグナム」
- マグナム・フォト。ロバート・キャパ、アンリ・カルティエ=ブレッソンらによって創設された写真家グループ。
- アメリカ合衆国空軍における、対レーダーミサイル(AGM-88等)発射時の無線コール。
- Yak-30 Magnum。旧ソ連のYak-30練習機につけられた、NATOコードネーム。
- スイス製クレイアニメ『ピングー』の中で聞こえる空耳。
- アリスソフトから発売されている18禁PCゲーム『ランス・クエスト マグナム』の略称→ランス・クエスト
- 米国・クライスラーがダッジブランドで発売していた普通乗用車『ダッジ・マグナム』
- コスモ石油が発売している高オクタン価(ハイオク)ガソリン『スーパーマグナム』
- 架空小説・アニメなどで使われている登場人物の名前(例”私立探偵マグナム/トーマス・サリバン・マグナム”、"遊戯王DM/マグナム"など。)
- ゲームを中心に雑談・カラオケ等を配信する生放送配信者『まぐなむ』
- エロゲ紹介動画で有名な動画投稿者『マグナム(動画投稿者)』
概要
マグナムとはもともと酒の大瓶(マグナムボトル)を指す言葉だったが、そこから転じて通常より威力を増した弾薬類とそれらを使用することが可能な銃器をさすようになった。近年ではこちらの用例が多い。
マグナム実包は、薬莢を改造・変更し通常版の弾薬よりも火薬の量を増やした規格である。いわば、通常版に対する「増量規格」であるが、通常版と呼べる規格がないにも関わらずマグナムを名乗っている場合もあり、もはや単なる宣伝文句にもなっている。
似たようなものにホットロード、強装弾があるがこれらは基本的に薬莢に手は加えず火薬の量、種類を変えることで威力の向上を図っている点で異なる。
例として、有名な.357マグナムは.38スペシャルの薬莢を延長して装薬量を増やしたものである。
つまり、基本的に.357マグナムを撃てる拳銃(リボルバー)からは.38スペシャルも撃つことができる(当然逆は不可)。
無数にある通常版の弾薬規格の性格・用途が千差万別である以上、その増量版の性格・用途も様々で、一概にマグナムだからどうといえない。例えば、.17ホーナディ・マグナム・リムファイヤー弾は人間相手には完全に力不足、ウサギや狐に最適である。
拳銃弾のマグナム
拳銃では、マグナムはその弾薬を使用する銃器及びそのカテゴリーの慣例的通称ともなっている。
コルトパイソン、デザートイーグル、S&WM29などは、さほど銃に興味のない人でも聞いたことがあるだろう。
バイオハザードを代表とするアクション・シューティングゲームなどでは最強の部類に入るアイテムとして位置づけられることが多いが、しばしば実際の威力とはかけ離れた描写となる。
マグナムといえど拳銃弾であり、ライフル弾に比べれば、威力(運動エネルギー)は低いことが多い。また通常の拳銃から発射される弾薬もゲーム内では相対的に威力が過小評価されがちである。一般的な9mmパラベラム弾と.357マグナム弾の銃口エネルギーの差は1.5倍程度である。
もちろん、銃口エネルギーだけが威力の指標ではないし、銃器の性能としては、操作性、装弾数、頑強さなども重要な要素である。
よって、そうした要素も考慮に入れると、マグナム拳銃は通常拳銃に比べ大型で重く、かつ弾薬も大きくなるため装弾数も比較的少なく、反動も大きいとなれば、なおのことデメリットばかりになってしまう傾向にある。
以上の理由で、いわゆるマグナム弾薬を使う拳銃を装備している軍隊は現在ほとんどない。個人の私物を持っていく例などを除けば、フランスの国家憲兵(ただし、機能的には警察に近い)が装備している程度である。
警察官が使用する場合でも、犯人制圧にはオーバーパワーであったり、「マグナム」という響きが好戦的に聞こえやすいなどのデメリットを考慮して、.357magが使用できる銃に.38spを装填して使っていたような例も多い。
拳銃はライフルに比べその用途から、小さく軽量に作られる。またそれがメリットである。そのためそこまで高威力の弾薬は作ることが難しいし、通常必要とはされない。
一方ライフルはある程度の大きさと重さが許容され、拳銃にくらべて頑丈に作られている。そのため高威力の弾薬を使用できる。
したがって、マグナム弾薬を使用する銃は、通常の拳銃よりも強力で、ライフルよりは持ち運びやすいという性格を持つ。これは一見して便利そうであるが、実際のところは互いのデメリットをも兼ね備えることになってしまう。拳銃より重く、ライフルより弱いどっちつかずの使いにくい銃である。
しかし実際ところ、マグナム拳銃が用いられるようなシチュエーションは、ごく限られている。大型の野生動物と対峙するハンターの(ライフルが使えない場合の)バックアップ用、そうした大型獣の生息地域での護身用(グリズリーなどは通常拳銃どころかライフルでも怪しいとされている)、等を除けば、趣味としての大型拳銃自体を愛してやまない人々や、映画・ゲーム等のガジェットとして使用されていることが多い。
警察が凶悪犯や薬物中毒者と向き合うような状況であっても、対象を無力化するのに要求されるのは基本的には「弾薬のパワー」よりも「どこに当てるか」である。オートマチックへの転換、オートそのものの高性能化が進んでいる状況では、ますますマグナム拳銃の出番は減っていくだろう。
と、ここまで「マグナム弾はマグナムでない拳銃弾より強力である」「ライフル弾はあくまで拳銃弾でしかないマグナム弾より強力である」という前提で語ってきたが、これらはあくまでもそうした傾向にあるというごく概説的な話であり例外も多々あることには注意されたい。概要にもある通り「マグナム弾」とはあくまで「増量規格」であって元が弱ければ増量しても弱いということに加えて、「マグナム弾」「マグナムでない拳銃弾」「ライフル弾」と一口に言ってもいずれも様々な弾薬があるためである。
例えば.357SIG弾という.357マグナム弾の威力をオートマチックで実現すべく生まれた弾薬は、「マグナムでない弾」であるにもかかわらず.357マグナム弾同等の運動エネルギーを有する(しかも.357SIG弾は”マグナム弾相当の威力”でありながら法執行機関などでの採用例も多い”実用的な弾薬”である)。
逆に.44マグナム弾のような大口径高威力の「マグナム弾」が5.56 mm × 45弾のような小口径の「ライフル弾」より運動エネルギーにおいて優越する例もある。
しかしこれらの例すらあくまで典型例であり絶対のものではない。なぜなら弾薬というものは様々なメーカーが炸薬量や弾頭重量の異なるバリエーションを製造しているため「同じ名前の弾薬なのに運動エネルギーが大きく異なる」ということがごく当たり前に起こっているからである。よって「.44マグナム弾より強力な5.56 mm × 45弾」といったものも存在する。
また、上記の比較はあくまでも運動エネルギーにのみ着目したものであることにも注意されたい。特に狩猟の世界においては、弾丸の威力は運動エネルギーを伝える弾頭の直径や形状に左右されるという考えがある。こうした考えに基づいて、近距離の狩猟においては、口径の小さくなりがちで取り回しの悪いライフルより大口径のマグナム拳銃を選択するということも行われているのである。
つまり「マグナム弾」や「ライフル弾」といったジャンルではなく、個々の弾薬で比較しなければ実情を捉えることはできない。弾薬の世界とは奥が深いのである。
ライフル弾のマグナム
偉大な.375H&Hマグナムの登場以降、一般的にマグナムといえば薬莢下部にベルト(帯状の段差)が付いているものとされている。
ベルトは補強用とよく誤解されるが、実際は薬室と遊底の間の隙間、ヘッドスペースを保つための刻みである。強力な弾薬は撃発に強力な撃芯が必要になる。ベルトには、後ろから強い力で打たれた薬莢が、薬室前方にはまり込むのを防ぐ作用がある。
.375H&Hは、その優れた設計ゆえに、口径変更等の改造で多数の規格を派生させた。有名なところでは.300ウィンチェスター・マグナムがある。それらも全てベルトを備えており、元祖と同じくマグナムを名乗ったため、「マグナム=ベルト付き」と看做されるようになった。
もっとも、近年では冶金技術の進歩によりベルトが必要なくなっており、Winchester Short Magnumのようなベルトのないマグナム弾も登場している。
現在マグナムライフル弾は軍用狙撃銃に用いられて戦果を挙げている。著名な例として.338ラプア・マグナム弾仕様のL115A3ライフルを使用したイギリス兵による2475mの超長距離狙撃がある。これは現在確認されている狙撃殺害の最長記録である。
散弾のマグナム
散弾銃では従来、ケース長が通常の2.75インチに対し、3インチのものをマグナムと呼んでいた。
近年では散弾の材質が鉛から軟鉄に変わり、3インチ規格が一般的になったためマグナムと呼ばれることはなくなった。代わって、ケース長3.5インチの規格がマグナムと呼ばれるようになっている。
男のマグナム
男の身体のある特定の部分を比喩的に(ビッグ)マグナムと呼ぶこともあるが、前述のライフル弾のマグナムがベルト付きであることに注意したい。この場合、ベルト(帯状の段差)が何を暗示するかは、ご想像にお任せする。
関連動画
関連項目
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