マジコンとは、テレビゲームのROMイメージをバックアップしたり、そのバックアップをゲーム機で起動させるための機械の総称である。
かつてマジコンを利用した新作ゲームの無料プレイが大問題になり(こういったマジコン利用者を「割れ厨」「マジコン厨」という)、任天堂をはじめとするゲームメーカー54社がマジコン販売業者5社を相手取り、不正競争防止法違反として訴訟を起こしている。
某女性国会議員の子供が利用していたのが有名。
※使用していたのはプロアクションリプレイ(PAR)と後に弁明している[1]。(限りなく黒だが)
概要
問題点
法的な問題点についてはWikipediaの記事が詳しいのでそちらを参照(リンクは下の「関連リンク」から)。
それを読んだ上で、改めて使う側としての問題点を考えてみる。
この社会には、ルールというものが存在する。著作権もその中の一つである。特別な理由でもない限り、そのルールには従うべきである。
マジコンも、もともとはバックアップ用途で作られたものである。名作ゲームで言うところの「0% 0% 0%」や「おきのどくですが ぼうけんのしょ1ばんは きえてしまいました。」の時の個人用対策だけであれば問題はない。
問題となるのは、マジコンでバックアップしたデータを他人に渡した場合である。貰ったデータをマジコンで再生すると、ゲームソフト本体を持っていなくてもそのゲームを遊ぶことが出来てしまう。お金を払ってゲームソフトを買う必要が無くなってしまい、ゲームの制作者が利益を得られなくなるのだ。しかもデータはいくらでも複製出来るし、インターネットを通じて簡単に配布できる。1つのソフトから吸い出したデータを何百人、何千人にでも渡すことが出来てしまう。そのぶん製作者の被害も拡大するわけだ。
ネットに新作ゲームのROMイメージがうpされているからといって、それで遊ぼうとするのはいかがなものか。そのゲームは無から出来上がったものではない。ゲーム会社のスタッフの苦労の末に生まれたゲームがほとんどである。それを違法な方法で遊ぶことは、製作者を愚弄する行為に他ならない。ゲームも、本やテーマパークのように、金を払って遊ぶべきであろう。それがゲーム製作陣に対する敬意を表す方法の一つであり、かつこの社会のルールであるからだ。
最後に、子供にマジコンを勧める親に対して、言っておくことがある。
著作権法違反の幇助行為を子供に教えることは、将来この社会を担う存在になる人に対し、社会のルールを破ることを教えることであり、それは教育上よろしくないだろう。「金がかかる」なら、フリーゲームを探して与えたり、図書館の本を読ませたりした方が建設的だろう。最近はライトノベルのように軽く読める本も多数存在するし、児童文学もある。いい世の中になったものである。
それでもなお、マジコンを使い続ける親は…・もう知らんぞ。
訴訟について
なぜ任天堂らが"著作権法違反"ではなく"不正競争防止法違反"でマジコン業者を起訴したかというと、簡単にいえば、
- マジコン自身だけでは著作権法の侵害は不可能
- ROMイメージをネットにうpするのが直接的な侵害であり、マジコンはそれを助長する存在になってしまっている
- こういう風に違法コピーを助長する著作権の侵害方法は「寄与侵害」と呼ばれるが、こういった寄与侵害に関する訴訟で原告が勝訴した例は一切ない
現在のマジコン事情
問題だらけのマジコンだが、2010年代になるとほとんど話題にならなくなり、メーカー側の割れ対策も見かけなくなってきている。理由は以下のように様々。
- 任天堂などゲームメーカーが各国で裁判を起こし、そのほとんどで勝訴判決を得た。法改正も進み、2018年には改正不正競争防止法にて「技術的制約を突破する行為」(=各種改造ツールの頒布)が違法化された。
- ゲームソフトの容量が巨大化し、そもそも配布が難しくなった。
- ハード側での対策が強化された。発覚した場合本体がBANされ、インターネットに接続して遊ぶことができなくなる危険性がある。
- ダウンロード販売の普及。
- 基本無料のゲームや、インターネットに接続しないと遊べないゲームが増加。
- ゲーム配信が一般化し、割れの発覚によって炎上するリスクが増えた。
また割れが蔓延していたPCゲームも状況は大きく改善。特に「Steam」が撲滅に大きく寄与した。「海賊版よりも便利なサービスを提供する」ことを目的に作られたSteamは、「一度購入すればどのPCからでも遊べる」「ゲームが自動的にアップデートされる」「定期的にセールが行われ、格安でゲームが手に入る」「充実したコミュニティ」など、海賊版では絶対に実現できない数多くの便利機能を有している。世界中からアクセスできるのもあり、「自国で遊べないから仕方なくマジコンを使う」層も一掃した。そんなわけで「わざわざ不便で違法なマジコンを使用するくらいなら、普通にSteamで購入した方がいい」という認識が一般化し、PCゲームの割れやマジコンは撲滅されたのだった。
……ただし、エロゲー業界は例外。内容が内容なだけにSteamでの販売が難しいことから、現在も割れに悩まされている。各種DL販売サイトの発展もあり一時期よりは減っているようだが。
ついでの知識
正規でなかなか流通させられないような内容のゲームを家庭用ゲーム機でやりたいと思う場合、あるいは同人だとか金がないとかでライセンス料が払えない場合、(倫理上の問題はともかく)マジコンは魅力的に思えるらしい。
そこでマジコンを使用して作られるゲームメーカー非公認ソフトという概念が生まれるのだが、その生まれるいきさつはマトモじゃない場合が多く、結果出来たゲームもドス黒いというのもしばしばである。DS用マジコンで言うならば「DS用エロゲをコミケで売ると言う話を聞いたらコミケ本部が差し止めた」という話題が記憶に新しいが、過去には「香港97」(SFC用マジコン)というトンデモないシロモノが登場してしまったこともある。
関連動画
関連リンク
関連項目
脚注
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