マスカット・オブ・アレキサンドリアとは、葡萄(ブドウ)の品種の一つである。日本国内で「果物のマスカット」というと、大抵この品種のことを指す。
概要
北アフリカ・エジプト原産の葡萄の品種。「マスカット」という名前は香料の一種「ムスク(じゃ香)」が由来。アレキサンドリアはエジプトの港町なので、直訳すると「アレキサンドリアのムスク」となる。
マスカット・オブ・アレキサンドリアの特徴としては、その気品のある香りが真っ先にあげられる。また果肉は淡い黄緑色で美しく、歯切れもよい。さらに果皮は指先で簡単にむけるため食べやすい。このような特徴から「葡萄の女王」とも呼ばれ、贈答品として人気が高い。
その上品な香りから、葡萄の交配では子孫の香り付けのために用いられることが多く、変異種にはカノンホール・マスカット、子孫には山梨県で生まれたロザリオ・ビアンコ、青紫色だがマスカットの香りがするキングデラなどがあげられる。またマスカット・オブ・アレキサンドリアはジベレリン処理による無種子化ができないため、交配による無種子化が試みられている。
世界的に広く栽培されている品種であり、夏季に高温乾燥となる地域(地中海沿岸・カリフォルニアなど)では露地栽培、冷涼な地域(イギリス・オランダなど)や夏季湿潤な地域(日本)では温室栽培されている。日本においては山梨県、長野県、岡山県などが生産上位を占めている。主に生食用として栽培されるが、醸造用・乾果用としても育てられている。醸造するとフルーティーな香りの強い白ワイン(モスカテルなど)が、乾かすと大粒で軟らかい良質なレーズンができる。
もともとのマスカット・オブ・アレキサンドリアは日本の雨が多い気候では実が割れやすい、病気になりやすいなどの欠点があったため、何回もの品種改良により「ぶどう農林21号」という品種が生まれた。この品種は一般に「シャインマスカット」と呼ばれている。
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関連項目
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