曖昧さ回避
- フェルディナンド・マゼラン - 大航海時代の航海者・冒険者。史上初の世界一周が有名。また、これ以降の様々なものの元ネタとなっている。
- マゼラン海峡 - マゼランが航海途中に発見した太平洋と大西洋をつなぐ海峡。
- マゼランペンギン、マゼランガン、マゼランアイナメ - マゼランが航海途中に発見した生物。
- 大マゼラン雲・小マゼラン雲 - 星雲、銀河とも。南半球から見ることができる銀河。
- マゼラン(探査機) - NASAが1989年に打ち上げた金星探査機。
- マゼラン(機動戦士ガンダム) - アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する架空の艦艇。また、その同級戦艦はマゼラン級と呼ばれる。この記事下部で解説。
- マゼラン大陸 - SDコマンド戦記シリーズ(G-ARMS、ガンダムフォース)の舞台。
- マゼラン(ONE PIECE) - 漫画・アニメ『ONE PIECE』に登場するキャラクター。海底監獄インペルダウンの副署長(元署長)。詳細はインペルダウンのページ内の項目「主な職員」を参照。
- マザラン(Mazarin)の間違い・誤表記
概要
地球連邦軍所属。劇中では多数の同型艦が確認できるが、名前が判明している艦は少数である。一年戦争時のほとんどの将官は本級に座乗している。
艦種と艦名
艦種は戦艦または宇宙戦艦。本級以前の連邦の艦種分類については不明であるが、作中でも強大な砲術戦能力を誇っておりジオン軍諸艦艇やペガサス級(ホワイトベース)と違い、分類に誤りや論争はない。
艦名はポルトガルの冒険家フェルディナンド・マゼランまたはマゼラン海峡あるいはマゼラン銀河から。シリーズ的な命名傾向は人名であったり地名であったり旧世紀の海上艦艇から取ったりと一定していない。
建艦までの経緯
本級竣工以前より宇宙警備用の艦艇は確認されているが、直接的な建艦動機は0058年のサイド3の独立宣言と国防軍の発足である。翌年の0059年、サイド3へのけん制とこれ以上の宇宙移民の反乱を防ぐため連邦宇宙軍が創設される。
連邦は経済制裁とこれら一連の軍備拡張でサイド3はもちろん、宇宙移民の反抗勢力も屈服させられると考えたようだ。実際、連邦はその有り余るまでの国力を駆使し、0064年にはすでに大規模な観艦式を開催するほどの艦隊戦力を保有することに成功。反面、サイド3は経済制裁とそれに続くジオン・ズム・ダイクンとデギン・ソド・ザビの内紛により建艦政策は後手後手に回り、ジオン公国となった後の0069年にようやく国産第一号艦である「パプア」を完成させた状態であった。
しかし、最終的に内紛に勝利したジオン公国はダイクンのサイド3よりタカ派であり、相対的な危機感は0070年代を迎えより切迫して行った。また、宇宙軍そのものが創設から十年足らずの過渡期にあり、必ずしも現状で満足できる状態にはなかったのである。
0070年、ジオン公国においてトミノフ・Y・ミノフスキー博士により前年のミノフスキー粒子発見に続き、これを応用したメガ粒子砲が開発される。一連の発明により、近い将来連邦の質的優勢は崩れる恐れが現実化し始めた。この年において就役を開始したのが連邦の「マゼラン」である。
性能・一年戦争初期まで
全長は327メートル。仮想敵であるジオン軍のチベより上であるが、グワジンは440メートル説と294メートル説があるため比べるのは難しい。横幅は94.5メートル。これはグワジンやチベはおろか、ムサイの103.2メートルよりも小さい。連邦軍艦艇は往々にして細長い船型をしており、両国の軍備(あるいは美意識)の違いを如実に物語っている。
エンジンは熱核ロケットが4基、艦後方に船体に組み込まれる形で配置されている。諸説あるが、初の熱核融合炉(反応炉とも)搭載艦であり、全てのコロニーを無寄港で巡回することが可能な航続距離を持つ。これは全装備の中でも最重要機能であり、地球からもっとも遠いポイントに存在するサイド3をにらんでいたことがうかがえる。
武装は主砲が連装メガ粒子砲2基、副砲が同5基である。完成当時からメガ粒子砲を備えていたかどうかは疑問があり、ミノフスキー博士の亡命事件があった0072年以降の装備とする説もある(竣工そのものが0072年以降とも考えられ曖昧なままになっている)。
対空砲は連装機銃が20基。これはチベの18基よりも多く、モビルスーツ(MS)戦が主流になってからも何とか第一線で戦うことができた遠因となった。他、ミサイルランチャーも同様に多数装備が確認できる。
船体は四面構造になっており、このうち最下部を除く三面を上面とし各面に砲撃指揮所やレーダーを設けている。上述の主砲と副砲を合わせて大変、砲術戦能力に特化していたことが分かる。一方、当然ながらMS搭載は前提ではなく、代わりに(と言うか本来的に)トマホークと呼ばれた宇宙戦闘艇を装備した艦もあった。
全体的な船型は旧世紀の海上艦艇であり、ジオン軍艦艇と比べると保守的な設計思想であった。
実戦(ブリティッシュ作戦とルウム戦役)
一年戦争開戦劈頭、その火力と数でジオン軍を圧倒するかに思われた。マゼラン級の強大な火力に対抗できるのはグワジン級のみだが、そのグワジン級の数は圧倒的に少なかった。つまりジオン艦隊に、マゼラン級の脅威になりうる敵はほぼ存在しなかったのである。
しかし、0079年に戦端が開かれると状況は一変。ジオン軍はミノフスキー粒子を散布し、連邦の火器管制や誘導ミサイルを無効化。得意の砲戦能力を半減させられてしまう。加えて、小型だが汎用性が高く小回りの利くMSを導入し、逆に連邦軍を圧倒。多数の艦艇を血祭りにあげた(ブリティッシュ作戦)。
連邦軍は大損害をこうむったものの、ジオン軍のコロニー落としに狂いを生じさせる事には成功した。
続くルウム戦役では、ジオン軍が流した偽情報に釣られる形で出撃。ルウム宙域にて、ジオン艦隊と相対した。連邦が待ち構える形であったため奇襲が成立せず、さらに連邦軍側から戦端を開いたため序盤は優勢に戦いを進めた。
しかし再びMSを投入され、ムサイとザクの双方から飽和攻撃を受ける。大艦巨砲主義に凝り固まっていたマゼラン級は思いのほか対空能力が低く、ザクの接近を止め切れずに被害が増大。かなりの数が撃沈させられた。
またMS IGLOOでは、損傷して艦隊から脱落したマゼランが後方に控えていた試作艦隊決戦砲ヨルムンガンドを発見。破壊すべく砲撃を仕掛けたが、逆にプラズマビームを正面から喰らって轟沈した。
連邦軍自慢の艦隊は、MSの前にまたしても惨敗。大半の戦力を喪失し、ジオンに宇宙での優勢を一気に奪われてしまう。
性能・ビンソン計画
損害の大きさもさることながら、正面決戦でジオンに敗れてしまったことは連邦の矜持を著しく傷つけ、また既存の軍備の見直しを当然ながら迫られる事態となった。
まず、MS開発が最優先課題でありこちらがV作戦と呼ばれた一連のガンダムとペガサス級強襲揚陸艦開発計画(ただし、近年ではペガサス級は宇宙空母の改良型説が有力)である。しかし、一から専用艦を作るには時間がかかりまた既存艦艇の近代化も望まれたため、とりあえずの応急措置として計画されたのがビンソン計画である。
このビンソン計画には諸説あるが、一般にはトマホークとミサイルの一部を撤去しMS(ジム)の搭載能力が与えられ、砲術戦能力もレーダーではなく光学式のものに変えられたとされる(マゼラン後期型)。
このうち、MSの搭載能力については専用艦ではないためカタパルトを搭載せず、一部は露天つなぎ止めで対処したとされる。また、艦内には3機収容が可能ではあったが、本格的な整備は望めなかった。
なお、V作戦とビンソン計画のチームは対立していたとする説があるが、V作戦はMSの試験運用が主でありビンソン計画は既存艦艇にMSを搭載する計画であるため、むしろ両輪の輪であったと言われる。
ビンソン計画で建造された艦は、ジャブローより宇宙へと打ち上げられた。MS IGLOOでは途中ゼーゴックによる妨害を受け、マゼラン1隻を喪失しているが大局には影響せず、ルナツーへの集結を完了した。
再び実戦へ
戦場が宇宙に舞い戻る頃にはこのマゼラン後期型も再就役を開始した。専用艦ではないためペガサス級と比べ使い勝手が悪く、数ではサラミスに及ばないため苦戦を強いられたようだ。それでも貴重な機動戦力として活躍し、旧式化した主砲も要塞相手には効果を発揮している。
また、ジオンが劣勢になるに連れて有利な形で艦隊戦が惹起する例も少なからずあったようで、劇中でもチベを圧倒し本来の実力を発揮している。
戦局が宇宙に移った後は、連邦軍の勝ち戦になりつつあった。敗走するジオン軍の追撃で猛威を振るい、戦果を重ねてきたマゼランであったが、ジオンの抵抗を受ける事も少なくなかった。
シャアが座乗するザンジバルと、ワッケイン司令が座乗するマゼランが一騎打ちの砲撃戦を行ったが撃ち負け、増援のホワイトベースが到着する前に撃沈されてしまっている。
ア・バオア・クー攻略戦ではマゼランも相当数が投入され、激戦に身を投じた。中にはグワジン級と正面衝突して失われたマゼランもあった。
またMS IGLOOではEフィールドではビグ・ラングに突撃し主砲を放ったが、ギリギリの所で回避された挙句、反撃のメガ粒子砲を喰らって大破炎上。それでもビグ・ラングを道連れにしようと突撃を続けたが、これも回避されて失意の中で爆沈している。
戦後
マゼラン改級と呼ばれた艦が0083年の連邦観艦式に確認されている。ただし、MS運用能力は撤去され再び砲術戦能力特化に回帰しているとされる。これは連邦が再び大艦巨砲主義に回帰したとも、MS搭載能力は専用艦に任せるドクトリンだったとも。
また、ビンソン計画ではそもそもMS搭載能力は与えられておらず単に機関砲を増やしただけとし、マゼラン改級をマゼラン後期型と同一視する説もある。いずれにせよ、新造艦のバーミンガムと共にアナベル・ガトーの攻撃を受け多数が撃沈されている。
以後は旧式艦の印象が強まったのか第一線に姿を見せることは少なくなったものの、残存艦の多くがサラミスと同じように本格的なMS運用能力を持つ艦に改修され、エゥーゴやティターンズが新鋭艦を就役させる中で連邦正規軍で変わらずに艦隊旗艦として運用されている。
特にティターンズはアレキサンドリアなどの新造艦をほぼ独占していたため、正規宇宙軍では改修艦であるサラミスやマゼランを使い続けざるを得なかったようだ。
なお、こちらもマゼラン改級と称されているが、前述の改級との名称の区別はされていない。
改修点としては、艦首のメガ粒子砲2機を撤去して格納庫を増設、元の船体を挟み込むようにサラミス改と同等のカタパルトデッキを上下に1機づつ配置している。
元のシルエットを崩さずに格納庫を詰め込んだサラミス改と比べてより広いスペースをとれたことは確実であり、結果MS搭載数は12機とサラミス改の3~4倍に達し、改修艦ながらも後続のアレキサンドリア級に匹敵する。加えて5機のメガ粒子砲も健在であり、戦力としては以前よりも強力なものとなっている。
グリプス戦役においては正規軍が大きな動きを見せなかったために表だった活躍は確認できないが、その終結後に発生した0088年のペズンの反乱では本星艦隊などに所属する艦が多く参加している。
その後、第一次ネオジオン紛争を経て旧式艦の更新が進められ、正規軍の主力艦の座をラー・カイラム級に明け渡すことになる。
更新が完了するまでは運用が続けられたものと思われるが、サラミス改が0153年に至るまで使われ続けたのに対し本級は0090年代以降その姿を消している。後継艦が揃ったことに加え、元々旗艦任務を前提としたマゼランはその規模を縮小しドクトリンも転換した連邦宇宙軍にそぐわなかったようだ。
姉妹艦
- マゼラン
- ワッケイン座乗艦。ルナツーにおいてシャアの仕掛けた機雷によってメインゲートで座礁。ホワイトベースの砲撃で爆沈処分された。
- レナウン
- 「マゼラン2世」もしくは「ゴルテウス」とする説も有り。
- ワッケイン座乗艦。ソロモン攻防戦に参加後、テキサスコロニーでチベ級を一隻撃沈。しかし、その直後にシャアが率いるザンジバル級に撃沈される。劇場版ではソロモンで戦没。
- タイタン
- チェンバロ作戦における第2連合艦隊旗艦でティアンム中将座乗艦。ソロモンにおいてソーラ・システムのコントロールを行い要塞に甚大な打撃を与える。しかし要塞の放棄を決断したドズル・ザビの操るビグ・ザムの攻撃を受け戦没、ティアンムも戦死した。
- フェーベ
- ソロモン攻略後の第1連合艦隊旗艦でレビル将軍座乗艦。ジオン本国への侵攻中、和を求めるデギン公王のグレート・デギンと接触するが、ギレン・ザビの謀略によりコロニーレーザーで消滅させられる。
- ルザル
- ホワイトベースが所属したア・バオア・クー攻略艦隊のS地区担当部隊旗艦。戦没。
- THE ORIGINではレナウン撃沈後のワッケイン座乗艦。ソーラ・レイ照射後の残存連邦艦隊の旗艦となる。ア・バオア・クー攻略中に、増援として背後に現れたキシリアのドロスの攻撃を受け戦没。
- アナンケ
- ルウム戦役時の連邦軍第1連合艦隊旗艦。レビル将軍座乗艦。「黒い三連星」のジェットストリームアタックにより撃破され、レビルも捕虜となってしまう。
- ネレイド
- ルウム戦役におけるロドニー・カニンガン准将座乗艦。アナンケ撃破の報を受け総崩れとなった連邦艦隊を守るために殿を引き受け奮戦。ジオン軍の追撃を妨げるも戦没。
- ツーロン
- マゼラン改級。0083年の観艦式核攻撃の残存艦。デラーズ・フリート追撃戦に参加した。
- キリマンジャロ
- ペズンの反乱における反乱軍ニューディサイズの旗艦。改装を受けMS運用能力を備えている。
- ブル・ラン
- (センチネル版)マゼラン改級。X分遣艦隊旗艦。ニューディサイズ討伐のためにペズンに派遣されるが、指揮官であるエイノー提督によって艦隊ごと反乱部隊に寝返った。
- シャルンホルスト
- (センチネル版)マゼラン改級。本星艦隊旗艦。エイノー艦隊に代わって新たに編成された討伐艦隊を総旗艦として率いた。
- ナガト
- (センチネル版)マゼラン改級。本星艦隊所属。ナガトの下で討伐艦隊のβ、γ、δ任務部隊の統合旗艦を勤める。
後継艦
0083年竣工のバーミンガムが戦艦としては次級だが、前述のようにデラーズ紛争で爆沈している。バーミンガムにMS戦能力を付与した改良艦が0087年のドゴス・ギアであり、ティターンズの艦隊旗艦となっている。
一方、同時期エゥーゴにおいてもアイリッシュ級戦艦が建艦され、0087年はMS搭載が主兵装ではあるが久しぶりに戦艦建造が目立った年となった。ただ、いずれの艦も設計上の直系とは言い難い。
大艦巨砲主義的なイメージから本級の印象を好意的に解する設計・運用者は少なかったようだ。もっとも、ラー・カイラムは結果として本級の船型に近かったため、連邦上層部の受けが良かったと言う皮肉な側面もあり主力となったとされる。
また、対空砲の充実化は連邦の基本方針となり、こちらは積極的な評価がなされている。
その他よもやま
- デザインは大河原邦男。
- いわゆるヤラレメカだが、外見は非常に好評であり近年でも模型化がなされている。
- 副砲の口径は主砲と変わらず、従って主砲は7基であるとする説がある。これは模型の存在が大きいとされる。
関連項目
- 機動戦士ガンダム
- 機動戦士ガンダム 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
- 機動戦士ガンダム MS IGLOO
- ガンダムシリーズのMS・MAの一覧
- サラミス
- チベ
- グワジン - 本来の意味で仮想敵であった。
- GM(機動戦士ガンダム)
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- ザク
- ガンダム
- ギャン
- デスティニーガンダム
- インフィニットジャスティスガンダム
- ゴッグ
- ウイングガンダムゼロ
- ズゴック
- ガンタンク
- ウイングガンダム
- ドム
- GM(機動戦士ガンダム)
- バスターガンダム
- デビルガンダム
- デュエルガンダム
- フリーダムガンダム
- ストライクガンダム
- イージスガンダム
- ガブスレイ
- シャイニングガンダム
- ゴッドガンダム
- マスターガンダム
- ブリッツガンダム
- バウンド・ドック
- プロヴィデンスガンダム
- インパルスガンダム
- デストロイガンダム
- フォビドゥンガンダム
- ガンダムアストレイ ミラージュフレーム
- レイダーガンダム
- ガンダムプルトーネ
- カラミティガンダム
- 105ダガー
- ボリノーク・サマーン
- MS-01
- クロスボーン・ガンダム
- デプ・ロッグ
- RFシリーズ
- ザムドラーグ
- ゲーマルク
- ゾロアット
- ドムトルーパー
- フライ・マンタ
- アカツキ(MS)
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- ユークリッド(MA)
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