少女は座ったまま、死んでかたくなっていて、その手の中に、マッチのもえかすの束がにぎりしめられていました。「この子は自分をあたためようとしたんだ……」と、人々は言いました。でも、少女がマッチでふしぎできれいなものを見たことも、おばあさんといっしょに新しい年をお祝いしに行ったことも、だれも知らないのです。だれも……
また、新しい一年が始まりました。
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen 大久保ゆう訳 マッチ売りの少女 THE LITTLE MATCH-SELLERより,2022/09/15閲覧
概要
大晦日の夜、少女が寒空の下で裸足でマッチを売っていた。マッチが売れないと父親にしかられるので、全てを売りきらないと家に帰ることはできない。しかし、街を行き交う人々は、年の瀬の慌ただしさも相俟って少女になど目もくれない。やがて少女は寒さに耐えかねて売り物のマッチを擦ってしまう。すると、やがて美味しそうなごちそうや煌めくクリスマスツリー、そして亡くなった祖母の幻覚に包まれる――。
デンマークの童話作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセンが43歳の時の作品。1848年に刊行された『新童話集』に収録されている。当時はまだ赤リンの安全マッチは発明されていないため、どこで擦っても火のつく黄リンマッチを売っていたと考えるべきであろう。また、安全マッチはマッチ箱の側面に摩擦のためのヤスリとなる側薬を用いるが、黄リンマッチはそんなものは要らないので束ねて売られていたようだ。後の改変では大晦日の夜からクリスマスの夜に変わっていることもある。
アンデルセンは木版画を3枚送りつけられ、それを元に童話を書いてくれと依頼される。彼は、母の貧困な生育環境を聞かされており、マッチを持つ少女の木版画を見て、それを元に書くことを決めた。一節には、貧しい者を見捨てる当時のデンマーク社会への批判を込めたとも言われている。
少女の死因は凍死とするのが一般的だが、黄リンには吸引することで中毒をもたらす悪影響もあったため、こちらを死因とする説もあるようだ。一方でハッピーエンドが好きな米国では、金持ちに拾われて幸せに暮らしましたとさ、という改変がなされているとか。
関連動画
関連静画
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関連リンク
関連項目
- 童話の一覧
- ミクサ - アーケードゲーム『ワンダーランドウォーズ』に登場するキャラクター。
- リン(ワンダーランドウォーズ) - アーケードゲーム『ワンダーランドウォーズ』に登場するキャラクター。ミクサのアナザーキャスト (性能違いのコンパチブルキャラクター) 。
- SCP-357-JP - 『マッチ擦りの少女』。シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト。
- SCP-357-JP-J - 『マッチョが売りの少女』。シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト。
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