マッドクール(Mad Cool)とは、2019年生まれのアイルランド生産日本調教の競走馬である。芦毛の牡馬。
概要
父:Dark Angel、母:Mad About You、母父:Indian Ridgeという血統のアイルランド産馬。
父はアイルランド産でイギリス調教馬。現役時代は英2歳GⅠミドルパークステークスを勝利し、種牡馬としても短距離戦線を中心に多数のGⅠ馬を送り出し毎年種牡馬リーディングの上位に連ねている。
母もアイルランド馬でGⅢグラッドネスステークス勝利のほかGⅠ2着2回、3着2回の実績がある。
母父は現代では貴重なByerley Turkの直系でG2時代のキングズスタンドS勝ち馬。種牡馬としても一定の成績を残している。
アイルランドのモイグレアスタッドファームで生産され、当歳時のゴフズノヴェンバーセールで22万5000ユーロ(約2700万円)で吉田勝己氏が購買。サンデーレーシングで1口100万×40口の4000万円で募集され、栗東の池添学調教師に預けられた。
馬名の意味は「マドリードで毎年夏に開催される音楽フェスティバル」。
マッドクールはクールに走るぜ
3歳(2022年)
デビュー戦は少し遅れ3歳時の1月23日の中京芝1600m新馬戦。池添謙一とのタッグで1番人気に支持されたのだが、前残りの展開を3番手から追走するいい流れに乗ったものの後の主戦騎手となる坂井瑠星騎乗のキタサンシュガーにまとめて差し切られ0.1差の3着に敗れる。
2戦目からその坂井瑠星に乗り替わり、3月13日の阪神ダート1400m未勝利戦に出走。逃げを打って直線半ばまで粘ったが最後に差し切られ0.5差で2戦連続の3着。
3戦目は芝に戻り5月28日の中京芝1400m未勝利戦。ここでも逃げの手を打ち、今度は直線も余裕たっぷりに突き放し5馬身差の圧勝で初勝利を挙げる。
7月23日には小倉に遠征し大牟田特別(小倉・芝1200m・1勝クラス)に出走。1番人気の支持を受け、2番人気ヨシノイースターと2頭で馬群を引っ張り、直線も2頭で叩き合うマッチレースの展開を制して2連勝を果たす。
このあと夏は休養して9月25日に復帰。知多特別(中京・芝1200m・2勝クラス)に出走する。この日はスタートでやや立ち遅れ2番手からの競馬になるが問題なし、直線半ばであっさり先頭を奪うと後続の追撃も半馬身退け余裕の3連勝を飾る。
このあと12月まで間隔を空け12月11日に前走と同条件の知立ステークス(中京・芝1200m・3勝クラス)に出走。主戦の坂井は同日の阪神JFに騎乗するため藤岡康太と初コンビを組む。この日は3角手前で行きたがる先行馬に前を譲ったため5番手からといつになく後ろからの競馬になるがやはり問題なく、直線は馬群の間を突き抜けで最後までしっかりと脚を使い1馬身半差の快勝。4連勝でオープンに昇級し3歳を終える。
4歳(2023年)
古馬となった初戦は1月29日の初の重賞挑戦となるシルクロードステークス(中京・芝1200m・GIII)。坂井は同日の根岸Sで騎乗があり2戦連続で藤岡康太が騎乗した。近走の内容から1番人気に支持された。レースは久々に逃げの手を打ち、直線も一時は2馬身近いリードを取ったのだが、狙い澄ましたように飛んできた実績馬ナムラクレアと伏兵ファストフォースの末脚に抗いきれず3着。1着ナムラクレアからアタマ+クビ差の僅差ではあったが連勝は4で止まってしまう。
次走は4月16日の春雷ステークス(中山・芝1200m・L)。短期免許で来日中のダミアン・レーンとの初タッグとなった。他馬とは実績の違うここでは断然人気に推され、これに応えて外目2番手から直線半ばで先頭に立ち、最内を巧く立ち回った3番人気キミワクイーンとの叩き合いもクビ差しのいで勝利。OP初勝利を挙げる。
約3ヶ月休養し、7月2日に夏のスプリントGⅢCBC賞(中京・芝1200m・GIII)に出走。坂井瑠星と約10ヶ月ぶりのコンビ復活となった。ここも単勝1.8倍の人気を集め、3番手から普段通りの競馬をしたのだが、直線でいつもの手応えがなく早々に失速。初めて掲示板を外す9着に敗れてしまった。この日の中京競馬場は最高気温34度の猛暑で、マッドクールは熱中症に近い状態になってしまっていたという。
短期放牧のあと次走は10月10日初GⅠのスプリンターズステークス(中山。芝1200m・GI)。ナムラクレア、アグリなどGⅠ未勝利の実績馬が人気になる混戦模様の中、マッドクールは6番人気。前走の惨敗と前々走までの勝ちっぷりで中穴に落ち着いた。
5枠10番からのスタートながら、坂井の巧みな進路取りで内の5番手に入り前をうかがう。コーナーも最内で通過し、直線で一列外に出して進出。先に抜け出していたママコチャを差し切らんばかりの末脚で迫り、全く並んでゴール板。写真判定の結果僅かにママコチャが前に出ており、マッドクールは惜しい2着となった。坂井は「この着差だけに悔しいしかない」と無念さをにじませたが、池添調教師は「能力は証明できた。キャリアも浅いしこれからよくなる」と期待感を抱いていた。
この後は12月10日香港スプリント(シャティン・芝1200m・香港G1)へ遠征。クリスチャン・デムーロと初タッグを組み2番人気に支持されたが、初海外遠征でカイバ食いがよくなく、1番人気Lucky Sweynesseに届かないどころか、直線伸びを欠き8着に惨敗してしまった。
5歳(2024年)
明けて2024年初戦は3月24日の高松宮記念(中京・芝1200m・GI)に直行。相手はママコチャ、ナムラクレアら実績馬に上昇ムードのルガル、トウシンマカオ、そして久々の海外馬参戦となる香港GⅠ馬*ビクターザウィナーも出走。しかしそれぞれ決め手に欠く要素もあり、人気は割れ模様。マッドクールは実績はあるが休養明けで馬体重+18kgということもあり、*ビクターザウィナーと並ぶ単勝9.6倍の6番人気に落ち着く。
雨が降りしきり重馬場の中京競馬場・1枠2番の好枠からゲートを上手く出たマッドクールの鞍上坂井は香港から主張してきた*ビクターザウィナーとウインカーネリアンを先に行かせ、ルガルと並ぶように最内の3番手を確保する。
そのまま手綱を抑えて4角を回り、各馬が外に振る中で迷わず最内を回って仕掛ける。*ビクターザウィナーとの内外離れての叩き合いを難なく制し、自身の背後から最後の最後に伸びてきた2番人気ナムラクレアの急襲からアタマ差逃げ切ってゴール板を通過。初重賞勝利をGⅠの舞台で成し遂げた。
鞍上の坂井はJRA・GⅠ5勝目、管理する池添学調教師はドゥラエレーデ以来の2勝目。そしてサンデーレーシングは馬主として史上初のJRA・GⅠ完全制覇(障害含む)という偉業を成し遂げた。なお馬体重18kg増でのJRA・GⅠ制覇は1988年のサッカーボーイ(マイルチャンピオンシップ)に並ぶ歴代3位タイの記録でもある。
レース明けの状態は良好との事だが、4月末開催のチェアマンズスプリントプライズ(シャティン・芝・1200m)への招待も届いているマッドクール。このまま香港のリベンジを向かうのかも気になる所である。
血統表
Dark Angel 2005 芦毛 |
Acclamation 1999 鹿毛 |
Royal Applause | *ワージブ | |
Flying Melody | ||||
Princess Athena | Ahonoora | |||
Shopping Wise | ||||
Midnight Angel 1994 芦毛 |
Machiavellian | Mr. Prospector | ||
*マッドクール 2019 芦毛 |
Coup de Folie | |||
Night At Sea | Night Shift | |||
Into Harbour | ||||
Indian Ridge 1985 栗毛 |
Ahonoora | Lorenzaccio | ||
Helen Nichols | ||||
Hillbrow | Swing Easy | |||
Mad About You 2005 鹿毛 FNo.1-l |
Golden City | |||
Irresistible Jewel 1999 鹿毛 |
*デインヒル | Danzig | ||
Razyana | ||||
In Anticipation | Sadler's Wells | |||
Aptostar | ||||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Ahonoora 3×4(18.75%)、Northern Dancer 5×5×5(9.38%)
- 叔父に2012年のアイリッシュセントレジャーを勝ったRoyal Diamond(父*キングズベスト)がいる。
- 祖母Irresistible Jewel(イリジスティブルジュエル)は2002年のジャパンカップに来日し、11着。
関連動画
関連静画
関連コミュニティ・チャンネル
関連リンク
- 競走馬情報 (外)マッドクール (Mad Cool) - JRA
- マッドクール (Mad Cool) | 競走馬データ - netkeiba
- マッドクール(IRE)|JBISサーチ(JBIS-Search)
関連項目
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