マッハ!!!!!!!!とは、2003年に制作されたタイ映画である。
概要
それまでタイの映画と言えば、日本では「ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団」か「メナムの残照」ぐらいしか知名度がなかったが、この映画はタイらしさを打ち出したアクション映画として、幅広い人気を得た。
「マッハ!!!!!!!! 」と言うタイトルは日本だけであり、現地や海外では「オンバーク」と言われている。このオンバークは物語に出てくるノンプラドゥ村の仏像である。「!」の数は8つであるが、この辺りは非常にバラツキがある。シリーズ化もされており、現地では3作目が登場している。
古式ムエタイを駆使したアクションが見物であり、主演のトニー・ジャーは全てのアクションでCGもワイヤーもスタントマンも使ってない。また、カーチェイスならぬトゥクトゥクチェイスも注目であり、タイらしさがそこかしこにちりばめられている。
主演のトニー・ジャーは元々スタントマンであり、この映画によって世界的に知られることになった。そしてもう一人の主役であるペットターイ・ウォンカムラオはタイのビートたけしと例えられる有名なコメディアンであり、この作品以降、トニーと組んで色々な映画に出演をしている。
細かい所を見ていくと、闇格闘技場でムエタイを駆使して、各国の格闘技をぶちのめすと言う風に全体的に愛国的な雰囲気であり、仏様を大切にしろ!大切にしない奴は死ぬべきなんだ!!仏様を敬いなさいというのが見られる。この辺はタイの映画ではちょくちょく見られる。また東北地方とバンコクの関係も注目される。
見どころ
トニー・ジャーが劇中で使用した技は現在のムエタイとは異なり、元々は戦争で使われていたとされる古式ムエタイを使用している。現在はタイ国内でもだいぶ見る事の少なくなった古式ムエタイを駆使する姿は普段テレビで見慣れたムエタイとは大きく異なり、新鮮味を覚えた人も多いであろう。
映画中盤において、トゥクトゥクチェイスが見られる。カーアクションにおいては4輪の自動車がほぼお決まりであるが、この映画ではトゥクトゥクを使用している。三輪特有の横転のしやすさなどの不安定な所がある為、派手に出来ない分、ジャンプアクションなどにメリハリをつけたりと創意工夫を凝らしている。その数もさることながら、レミングの如く次々と転げる三輪自動車ならではのシーンも見どころである。なお、シートベルトのないトゥクトゥクの横転について、放り出されるのではと思われるが実際にはシートベルトをしっかりと装着、また脇にはバーが取り付けられ万全の注意が図られている。このカーチェイスシーンは当時建設中であったスワンナプーム国際空港に通じる高速道路が使用されている。
登場人物
- ティン(トニー・ジャー)
タイ東北地方のノンプラドゥ村にすむ青年。孤児であり、オンバークが建立された日に寺の住職に拾われ、村人から前世はオンバークと双子であったのではと言われる。ムエタイを習得しており、盗まれたオンバークの頭を取り返す為にバンコクにやってくる。無口であるが温厚で素朴な性格である。それ故にムエに田舎者とからかわれた事もある。オンバークの事になると感情的になる。闇格闘場での呼び名は「プラドゥの伝説」である。なお、トニー・ジャーの吹き替えはこの作品を含め、浪川大輔が担当している。 - ハム・レイ(ペットターイ・ウォンカムラオ)
バンコクにすむティンと同郷の男。バンコクではジョージと名乗っている。ヤーバー(覚せい剤)のニセモノを売りつけたり、金欠でアパートを追い出されそうになったりとチンケな役どころであり、当初はこすっからさが目立ったが、ティンとの交流でその心情が変わってくる。コンクリートジャングルの中で田舎出が打ちひしがれる姿はバンコク共通なのか…。ラストにおいてオンバークの頭を守る為にハンマーで打ちつけられた末に絶命すると言う壮絶な最期を遂げた。 - ムエ
この作品のヒロイン。ンゲクという姉が一人いる。学校に通っており、姉はその学費や生活費を稼ぐためにシャブの売人をやっている。そんな姉に常々売人をやめるように言ってる。かなり度胸が据わっており、イカサマ賭博をやってのけた。 - コム・タン
この作品における黒幕。仏像の密売を生業としている。闇社会に広く通じ、神や仏を信じず、自らを神と言うなど非常に傲慢な所がある。会話をするときは人工声帯を使用している。 - ドン
コム・タンの手下。オンバークを盗んだ張本人。これで大金をともくろんだが、あまり価値がなくコム・タンの怒りを買う。 - サミン
闇格闘場の格闘家。ムエタイを会得している。ヤバい薬で精神をハイにしている描写がみられ、一度はティンを負かせた。設定ではビルマ人となっている。 - オンバーク
ノンプラドゥ村にある仏像でドンによって首を持ち去られる。それ以降、村は水が枯渇する等の災いが発生した。ティンやハム・レイがその命と引き換えに取り戻し、無事に胴体とくっつけられた。
その他色々
- 同じタイ映画で「7人のマッハ」と言う映画がある。マッハシリーズと思われがちだが、主演者が違っており、原題も「born to fight」と言う意味で全く関連はない。ちなみに続編は「マッハ!弐」である。そもそもタイトル自体が「マッハ!!!!!!!」にあやかって日本独自にタイトルがつけられた為であるが、「マッハ!!!!!!!! 」のスタッフが制作し、アクションもムエタイこそ出ないものの「マッハ!!!!!!!! 」と比類するものである。こちらは共産ゲリラとの闘いを前面に出したり、国歌斉唱と共に闘いを始めるなど、より一層愛国心が前面に出ている。なお、主演のダン・チューポンはトニーの親友であり、「マッハ!弐」では共演を果たしている。
- 同じトニー・ジャー主演映画の「トム・ヤム・クン!」はムエタイを駆使する点、トニー・ジャーとペットターイ・ウォンカムラオのコンビこそ共通であるが、名前も役柄も違う為、続編であるとは言い難い。どちらかと言えば外伝的な見方が出来よう。
- 中盤のトゥクトゥクチェイスはスタントマンが運転をしているが、それだけではなく腕利きの現職のトゥクトゥク乗りが参加している。また同じ頃にVISAのCM制作チームが同じく撮影をしており、ピアーズ・ブロズナンが007的な雰囲気を醸し出して出演してたが、アクションにかける規模やトゥクトゥクの状態など、掛けるお金も違いすぎると監督がぼやいていた。下がその動画である。
- 日本におけるキャッチコピーに「CG・ワイヤー・スタントマンは使っていません」とあるが、正確にいえばペットターイのスタントマンは存在し、トニーのアクションに関係のない部分でCGを使用しており、ワイヤーもまた然りである。とはいえ、CGの部分はラストにおけるトニーの目の色の部分のみであり、ワイヤーもトゥクトゥクチェイスの中盤で回転する所のみである。トニー本人に関しては全シーンガチである。
- 制作の段階で尺に収まりきらなかったなどした為にいくつかのシーンがカットされている。この部分はDVDのプレミアムエディションに同封されている特典DVDに収録されている。
- ハム・レイはこの映画においてコム・タンから食らったハンマーが致命傷となって絶命しているが、死なずに済んだエンディングも用意されていた。
- もう一人の主演であるペットターイ・ウォンカムラオはこの映画においても、色々と提案を出している。チンピラに追われるシーンにおいてはズボンが破けたりするアイデアは彼が打ち出しており、コメディアンとしての本領発揮と言ったところであろう。
関連動画
関連項目
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