マツダ・ロードスターとは、1989年9月1日からマツダが製造・販売をしている累計生産世界一の二人乗り小型FRオープンカーである[1]。
概要
車名の「ロードスター」(Roadster)とは、オープンカーの形式のこと。ロードスターの名称は日本のみである。海外仕様での名称はマツダ・MX-5となる。初代から二代目まではMX-5・ミアータの名称であった。
小型のオープン2シータースポーツというカテゴリーは、1970年代以後は衝突安全基準が厳しくなっていたり消費者の嗜好が変わったこともあり、市場からほぼ死滅状態であったため、一度は開発が頓挫していたこともあったが、マツダはその間、北米を中心とした度重なる市場調査によって潜在需要が非常に期待できることを掴んでいた。この市場調査が発売のきっかけとなり、開発へのGOサインが出た。周りからの冷ややかな目にも関わらず、予想外の世界的な大ヒットとなる。
これ以後、日欧米の自動車メーカーがこぞって、オープンカーを登場させるきっかけとなった。2000年には「生産累計世界一のオープンカー」としてギネスブックに認定される。
ちなみに、TopGearのジェレミー・クラークソンはこの車が大好きで、特にMX-5をベタ褒めしている。
2016年4月22日に累計生産台数が100万台を突破。100万台達成記念車は国内のイベントのみならず、海外のイベントでも巡回・展示される。
初代・NA型 (1989年~1998年)
1989年5月にアメリカ市場で先行発売される。同年8月には先行予約が行われ、9月には日本市場で発売。マツダは当時販売店を拡大していた時期であったため、5つの販売店の1つ、ユーノス店(Eunos)の第一弾モデルとして発売された。名称も「ユーノス・ロードスター」として発売された。発売した途端、日本国内では予約会で半年以上のバックオーダーを抱えるほどの人気を博した。また、マツダの社員にも大人気であったため、社員の所有率が高かった。
排気量は当初は1600ccのB6-ZE型エンジン搭載で形式がNA6CE型のみであったが、市場から「ナローパワー」という指摘を受けて1993年に1800ccのBP-ZE型エンジン搭載で形式がNA8C型に取って変わる。1600ccから1800ccにエンジン排気量アップしたので、同時にブレーキやボディの強化が行われた。
なお、この初代モデルから特別仕様モデルや限定車が次々と出るというのもロードスターの特徴でもある。例えば、限定色だったり、足回りを強化したモデル等がある。
二代目・NB型 (1998年~2005年)
1998年に初のモデルチェンジが行われる。日本での名称も販売会社であるユーノス店が廃止されたので、名称が「マツダ・ロードスター」となった。
初代のアイデンティティの1つであったリトラクダブルライト[2]が廃止される。理由としては、車重の軽量化と対人衝突時のダメージの軽減のためであった。また、二代目の特徴としては、2種類のエンジンを搭載する。初代の途中で廃止された1600ccのB6-ZE型エンジン搭載車が復活。ミッションは5速マニュアルと4速AT仕様を1800ccのBP-ZE型エンジン搭載車もパワーアップされ、ミッションは6速マニュアルと4速AT仕様を用意する。初代モデルの弱点であった、幌のリアのビニールスクリーンもガラス製になり耐久性が向上した。
2000年にマイナーチェンジが行われ、1800ccエンジンがBP-ZE型からBP-VE型に変更されパワーアップをした。同時にキーレスエントリー等の装備が充実された。
モデル末期の2003年にはBP-VE型エンジンにターボチャージャーを搭載したBP-ZET型が追加される。同時期に通常の幌(ソフトトップ)に代えてハードトップを装備した「ロードスタークーペ」も限定販売された。
三代目・NC型 (2005年~2015年)
2005年8月に登場。全幅は5ナンバーの最大幅である1700mmを超えて1720mmとなり、3ナンバーとなった。エンジンは国内・米国仕様は2000cc自然吸気エンジンLF-VE型に変更したり、ATも6速化をするなど、すべて新開発となった。国内仕様は、5速MT、6速MT、6速ATがグレードにより振り分けられる。
第26回の日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)を受賞。開発陣はこのNC型を「カー・オブ・ザ・イヤーの受賞を念頭において開発した」とユーザー向けミーティングの席上で発言しており、正に祈願成就となった。マツダにとっても、通産3回目実に23年ぶりの受賞である。
2008年12月にマイナーチェンジ。デザイン変更によって全長が4020mmとなる。また排ガス規制対応や燃費改善も行った。
四代目・ND型 (2015年〜)
2012年5月、フィアットとの協業プログラムを発表[3]。マツダおよびフィアット傘下のアルファ・ロメオ向けの小型FRスポーツカーの開発・生産に向けた協議を行い、翌2013年1月に正式に事業契約を締結[4]。次期ロードスターをベースとしたアルファ・ロメオの小型FRスポーツカーを2015年よりマツダの本社工場で生産を行うことを発表。ブランドごとに独自のエンジンを搭載する予定。
2014年4月、ニューヨーク国際自動車ショーにて次期ロードスターのSKYACTIVシャシーを公開。SKYACTIV搭載車初のフロントミッドシップエンジンとFR駆動のレイアウトとなっている。同年5月には、軽井沢ミーティングでも公開された。
2014年9月、イベント「マツダ ロードスター THANKS DAY IN JAPAN」にて四代目ロードスターを初披露。CX-5以降のデザインテーマである「魂動デザイン」と「SKYACTIV TECHNOLOGY」を全面採用し、歴代のロードスターの中で最もコンパクトなボディでかつ、三代目(NC型)より100kgの軽量化を実現している。しかし、フロントマスクにはCX-5などに使われているシグネチャーウイングは採用されていない。また、三代目アクセラから採用された「マツダ コネクト」も一部グレードに搭載される。
2015年5月、グレード「S」「S Special Package」「S Leather Package」が一般販売開始。
同年10月、新グレード「NR-A[5]」「RS」を追加。
2015年11月、フィアットから四代目ロードスターをベースとした「124 スパイダー」を2015年ロサンゼルスオートショーで発表。前述のフィアットとの協業プログラムによるモデルだが、同社傘下のアルファ・ロメオではなくフィアットからの発売となった。理由は、アルファ・ロメオのブランドがグループ内でプレミアム・セグメントに格上げされてベンツやBMWと同等の扱いになったため、マツダとではブランドイメージ的に釣り合いがとれなくなってしまったからである。
エンジンは1.4リッター直列4気筒ターボを搭載し、トランスミッションは6MTもしくは6ATが選べる[6]。
2015年12月、「2015 - 2016 日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。昨年受賞の四代目デミオに続き、2年連続でのマツダ車の受賞となった。
2016年3月、ニューヨーク国際自動車ショーにてリトラクタブルハードトップモデルの「ロードスター RF(海外名:MX-5 RF)」を発表。RFはRetractable Fastbackの略で、通常モデルのソフトトップに替わりファストバックスタイルの電動ルーフを採用している。
また「2016 ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー(WCOTY)」と「2016 ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー(WCDOTY)」を同時受賞。1車種による同時受賞は同賞創立以来初めて。ちなみにワールドカーデザイン部門のファイナリスト3車種にはマツダ・CX-3も含まれていた。
2016年11月、ハードトップを採用したロードスター RFが正式発表された。グレードは「S(6MT/6AT)」「VS(6MT/6AT)」「RS(6MT)」の3種類が用意される。12月22日発売予定。
派生車種
- アバルト 124 スパイダー
前述のフィアット124スパイダーのアバルトチューンによる強化バージョン。日本国内でフィアット版の販売はなく、アバルトだけになっているのは、フィアットと本家では車種的に同格なため、互いに食い合ってしまう事を両社が嫌ったからである。アバルト版は本家よりも100万円高い分、エンジン性能をパワーアップさせている事によって差別化を計っている。その他、本家よりも全長が長いことが特徴。走行性能は本家よりも高いが、乗り心地は本家のほうが上という評価。日本製のイタ車なため信頼性はあるが、内装がロードスターと大差なく、イタ車らしさに欠けるのが難点。
- 光岡・ヒミコ
富山の魔改造自動車メーカー、光岡自動車によるロードスターの改造バージョン。30年代風のクラシックカー風に改造されているので一見するとタネ車がロードスターには見えないが、内装はやっぱりロードスターである。
- 光岡・ロックスター
2018年10月9日に発表された、光岡自動車のロードスター改造車第二弾。こちらはコルベットC2風な見た目になっている。ロードスターなのでコルベット並の大馬力は望めないが、元ネタ車がとっくの昔に絶版になっているので、これはこれで価値があるかも知れない。ただし、500万円を超える価格が難点。
あと、名前がダサい
関連動画
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外部リンク
製品情報
歴史・特設サイト
関連項目
脚注
- *【MAZDA】「マツダ ロードスター」が累計生産100万台を達成|ニュースリリース
- *車体内部に格納できる方式のヘッドライト。
- *マツダ、フィアットと協業プログラムを発表 [PDF形式]
- *マツダとフィアット、アルファ・ロメオ車の生産に向けた事業契約を締結 [PDF形式]
- *公道走行可能のモータースポーツベース車。
- *ただし、MTのギア比はロードスターと異なる。
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