マフィア(Mafia)とは、
- 【犯罪組織】
- 【組織】
マフィアとは、イタリアにおいて結成された組織を起源とする犯罪組織のことである。
マフィアはイタリア系組織を含めた犯罪組織全般に使う総称であり、一部当てはまらないのもいる。
Sommario (概要)
支配していた国/勢力の一覧 (Wikipediaより) |
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マフィアとは一般的に犯罪組織に使われる名称だが、その組織自体の歴史はかなり古い。シチリア島の住民同士の互助関係から生まれた自衛組織が起源とされている。ただの自衛組織がどうしてああなった
シチリア島はイタリアの南端に位置している(地図で言うとブーツの先っちょにある塊といえば解りやすいだろうか)。欧州とアフリカの間にはティレニア海、イオニア海、地中海、エーゲ海、アドリア海、アルボラン海、パレアス海と複数のエリアがあり、シチリア島はそれらの中心に位置しているため全ての海にアクセスできるという交通の要所であった。それに加えて、周囲が海であることから敵の侵略を抑えるのにも適しており、地形としても戦略の要所であるという土地であった。
当然そんなお買得物件をどの国も見逃すはずがなく、シチリアの住民は長い間、上記のとおりその時代その時代の王国や一族などといったさまざまな勢力に狙われ、支配されていた。そのため、シチリア島の住民の間ではその時の権力者たちの意向に振り回されていることに嫌気が差していたため、住民同士で武装し自治的な活動を強めるようになった。
その後、宗教運動、労働デモ、ファシズムなどイタリア社会に不安をまき散らす要素ばかりが蔓延している時代においては、「やっぱり信じられるのは同郷の仲間だけだよね」ということで、メンバーが自分の信頼できる仲間(ナカーマ)を呼んできて互助組織に入り、メンバーになったその仲間が自分の信頼できる仲間(ナカーマのナカーマ)を連れてきて互助組織に入り、メンバーになったその仲間が自分の信頼できる仲間(ナカーマのナカーマのナカーマ)を連れてきて互助組織に入り……のくりかえしで、仲間同士の助け合いを旨とする互助組織の立場や勢力が向上していき、やがて社会や政治に影響をおよぼし食い込むようになっていった。
また、19世紀から20世紀にかけてアメリカへの移民が増えるが、ヨーロッパからの移住者の中でもイタリア系移民は後発組だったため社会の底辺に置かれることが多かった。そのため、今度はアメリカでも「信頼できるもの同士固まろうぜ」ということで、アメリカ国内に同郷であるシチリア出身者だけが入れる組織が結成され、その組織が自分たちと仲間を守るために武装した。
これが一般によく知られる犯罪者組織"マフィア"の誕生である。
なおマフィアは一般的・国際的な総称であり、現地のイタリアとでは扱いが若干違う(「語源」の項目を参照)。
Luciano (ルチアーノ)
なお、マフィアが近代化する転機となったのは、1900年代に現れたコーザ・ノストラの最高幹部チャールズ・ルチアーノ(通称ラッキー・ルチアーノ)の登場があったればこそである。ルチアーノは古いしきたりにこだわらない非常に合理的な人物であり、「しきたりと血縁関係だけではマフィアはやっていけない」と考えていた。
まず彼は、コーザ・ノストラを利益が出るよう企業と同様の組織体制へと再編した。また、シチリア系の人間にこだわりたがる頭の古いボス達を粛清するか引退させつつも、自らがイタリア系のトップに立つようなことはせず、各ファミリーとそのボスを組織の規模に関係なく公平・対等な立場として扱い、重要事項についてはファミリー同士による会議(コミッション)を開いて決めるという合議制を取り入れた。
イタリア系マフィアを統合しつつあった彼はさらに、他国系移民の犯罪組織とも協力するためシンジケートを設立。その運営方法の構築から制裁機関の設置までと、幅広く活躍した。
最終的に、ニューヨークのイタリア系マフィア全てを五大ファミリーとして統合させまとめ上げた男として知られている。このルチアーノが築いた企業式のファミリー編成とファミリー間の合議制は1930年前後に作られたにもかかわらず現在でも機能しており、ほとんど変わっていない。
Etimologia/nome (語源/名称)
■語源
マフィアの語源は実は確たるものがなく「諸説ある」扱いである。イタリア語辞典ではシチリアの方言である「乱暴/粗暴な態度」が語源とされている。しかし1600年代の異端審問の文書などでは「美しさ」「優しさ」「優雅さ」「名誉ある者」「勇者」「大胆さ」といったプラスの意味で使われている。
Twitterなどでは3月30日に「マフィアの日」なるツイートが広まり、1282年の「シチリアの晩祷/シチリアの晩鐘」事件で住民たちがかかげた「Morte alla Francia Italia anela !(フランス人に死を、これはイタリアの叫びだ)」という言葉の頭文字が語源であると書かれているが、これは後世の創作であるというのが有力だとされている。[1]
■名称
マフィアはシチリア島を源流とする犯罪組織の名称である。発祥の地イタリアにおいても各組織は縄張りとしているエリアが異なるため、「カモッラ」「ンドランゲタ」など各組織は個別で呼ばれており、シチリア島を源流としていないものは厳密にはマフィアとは違う。
ただ、「マフィア」の活動が有名になりすぎたため、現在では「マフィア」は似たような形態の犯罪組織を総称するものとなっている(有名すぎて透明な粘着テープは全部セロテープと呼ばれるのと同じような扱いである)。
Organizzazione (組織)
組織の構成はボス(ドン)を中心とした中央集権型の組織(ファミリー)である。現在の組織は企業をモデルとしているため、そのまんま会社組織を思い浮かべてもらえると分かりやすいだろう。
トップは当然、社長にあたるボス(B、ドンと同義)であり、その側近として会社顧問に当たる相談役コンシリエーレ(CN、アドバイザーやコンシェルジュと同義)、ボスの下に副社長となるアンダーボス(UB)、さらにその下に部署に当たる各チームが展開される形となっている。
各チームは課長・部長に相当するキャプテン(C、カポ・レジームとも)と正社員にあたるソルジャー(●)から構成されており、命令はボスからアンダーボスを通して各チームのキャプテンに、ソルジャーたちは自分のチームを束ねるキャプテンから指令を受ける。一般的にはソルジャーは自分のチームの上司であるキャプテンに相談や報告を行うのが普通で、ボスやアンダーボスには話を行わないが、上司との意思疎通がうまくいかなかったり、キャプテンとの不仲が起きている場合には、ソルジャーの意思をボスやアンダーボスに通せるようコンシリエーレが仲介するようになっている。
財務や事務を担当する部署、麻薬を取り扱う部署、強盗や殺しを扱う部署、売春を扱う部署・・・などと各チームごとに専門があり、仕事の内容を除けば実は既存の会社とあまり変わらなかったりする。
正規メンバーおよびファミリーとして扱われるのはここまでとなっており、その下には正社員への昇格を夢見る準構成員、いわゆるバイトや契約社員にあたるアソシエーテ(AS)、および下請け企業に当たる協力者(SP)が有象無象にたくさんおり、ファミリーを支えている。
Wise Guy (ワイズガイ)
ファミリーのうち正規の構成員は「ワイズガイ」と呼ばれる[2]。ワイズガイになるためには基本的に純血のイタリア系(シチリア系)の人間であることが条件だったが、近年は移民の世代が進んだためか、ハーフでも良いらしい(ただし父系がイタリア系という条件らしいが)。
そしてワイズガイは多くの構成員の中でもごく少数であるため、マフィア全体の中でも特権エリート階級となっている。ワイズガイを攻撃したり殺したりすることは、そのワイズガイが所属している組織そのものに対して攻撃しているのと同じ扱いとされており、ワイズガイに手を出した場合は組織による血の報復が待っている。
ただし、それ相応の仕事をこなして組織に高い貢献をしなければワイズガイになれないらしく、ものを盗んで転売してきたり、麻薬を売ったり、密輸をしたり、金融業を営んだり、と地味に金稼ぎが必要になる。これは、たとえボスの子供や血縁者であっても同様の扱いであり、世襲になるわけではない。
Omertà (オメルタ)
マフィアにおいては血の掟(オメルタ)と呼ばれる誓約が課せられ、(1)組織に対する絶対の服従、(2)組織の秘密の厳守、ほかいくつものルールが求められる。組織の構成員になる時点でこれを誓い、違反した場合は組織からの制裁が加えられる(口にいっぱい石を詰め込まれた死体になって転がっていたり、家にやって来ていきなりズドンとぶっ放されたり、海で魚のエサにされていたり)。
そのような徹底した秘密主義であること、マフィアの正規メンバーが全体として少数であることから、未だにマフィアの全容が明らかになっておらず、マフィアをやめた元メンバー・あるいは組織を勝手に抜けたメンバーなどがその内部事情を告白することでようやく情報がつかめるという状態である。
ちなみにこれを誓うとき、自らの血をキリスト教系の聖者の絵に垂らすなど宗教的に行うため、マフィアの大部分はカトリック系といわれている。しかしローマ法王からは破門扱いされている。
Rilevanza Film
attività (活動)
altro (その他)
Rilevanza Immagine
Rilevanza voce
脚注
- *フランス王族の支配にシチリア住民たちが一斉に反乱を起こしたという事件。当時はアンジュー家がシチリア島を支配していたが、住民から食料や家畜の調達などを強引に行っており、シチリア住民の不満は溜まっていた。そこへさらにアンジュー家の兵士たちがシチリアの女性を集団暴行するという事件を起こしたため、住民たちの不満が一気に爆発し、フランス系住民4000人近くを虐殺した。のちにスペイン・アラゴン王国の介入でアンジュー家は撃退され、シチリアはアラゴン王国の預かりとなった。
- *ワイズガイ以外に「グッドフェラ」「メイドマン」「メイドガイ」などの呼び方もある(Wikipediaではメイドマンを正式名称として載せている)
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