![]() |
【ニコニコ大百科 : 医学記事】 ※ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。 |
概要
マラリア原虫を保有している蚊(ハマダラカ)に刺されることで感染する病気。マラリア原虫が人間の赤血球に寄生することで発症する。
結核やAIDSと並び世界三大感染症の一つとして知られており、世界では年間2億人以上が感染しており、60万人以上がこの病気で亡くなっている。
主に東南アジアやアフリカ、中南米などの熱帯・亜熱帯地域で流行しており、特にアフリカでは甚大な被害が出ている。
日本国内での発生例は稀だが、海外旅行者が現地で感染するケースが少なくない。そのため輸入感染症として重要視されている。
感染症法ではデング熱やSFTS(重症熱性血小板減少症候群)、狂犬病などと同様に四類感染症となっているため、患者が発生した場合は保健所への連絡が必要となる。また、日本国内への侵入を阻止すべき検疫感染症(検疫法)にも指定されている。
症状
高熱と悪寒が主な症状である。この発熱はマラリア原虫が赤血球を破壊する時に起こるため、熱はいったん下がる(解熱する)ものの、数十時間後にまた発熱する。このように周期的、発作的に起こる発熱がマラリアの特徴的な症状である。また、人によっては嘔吐や下痢を伴うこともある。
マラリアには4種類があるが、特に熱帯熱マラリアは危険であり重症化しやすく、発症してから24時間以内に治療しなければ脳症や肺水腫、腎不全、溶血性貧血(赤血球が大量に破壊されることで起こる重度の貧血)、播種性血管内凝固症候群(DIC)などの重大な合併症を起こして死亡することもある。日本人などの先進国の人々は免疫を持たないため、致死率が25%に達すると言われている。
一方で、三日熱マラリアなどは適切な治療をすれば死亡することはほとんどないとされる。
治療方法
マラリア原虫をやっつける薬(キニーネ、クロロキンなど)を飲むことになるが、原虫の種類によって飲む薬が異なるため病院で血液検査をしてもらうこと。ただし、薬の副作用には要注意(稀に失明などの重大な後遺症が残ることもある)。
特に熱帯熱マラリアは進行が速いためしやすいため、入院が必要である。
予防方法
蚊に刺されないことが最も重要である。露出度の高い服装は避けること。虫除けスプレーや蚊取り線香、蚊帳なども有効である。
歴史
天然痘、狂犬病、インフルエンザ、ペスト(黒死病)、結核と並び最も古くから人類を脅かしてきた感染症の一つである。人から人へ直接伝染する病気ではないので天然痘やペストのような大規模なパンデミックを起こした記録は無いものの、約3000万年前から存在する最古の感染症であり現在でも甚大な被害を出し続けている(ちなみに天然痘はワクチン開発により既に撲滅済み。ペストは今でも小規模な流行がみられるが、抗生物質のおかげで昔ほどの脅威ではなくなっている。)。
ローマ帝国が滅亡したのもマラリアの大流行が原因であると言われている。
また、歴史上の人物ではツタンカーメン、アレクサンロドス三世、平清盛、一休宗純はマラリアが原因で亡くなったと言われている。
関連項目
- 4
- 0pt