マリア主義とはアニメ「機動戦士Vガンダム」に登場する思想または宗教。
概要
提唱者はマリア・ピァ・アーモニア。宇宙世紀における思想(と劇中で説かれているモノ)ではジオニズムとコスモ貴族主義に次ぐ。どちらかと言えば宗教色が強いが、コスモ貴族主義にも思想を宗教的に捉える団体がおり、必ずしも特徴とは言えない。
最初の活動域はサイド1のアルバニアンであったが、最終的にサイド2のアメリアに移り、信者らがザンスカール帝国を建国しマリアは女王となった。
前史
0100年のジオン共和国消滅と共に連邦とコロニーは共通の敵を失い、コロニー数の増加もあって徐々に連邦の権勢はコロニーに及ばなくなって行った。この間隙をつき、0123年にはコスモ貴族主義を奉じるクロスボーン・バンガード軍が再建された旧サイド5(フロンティア)を占拠。コスモバビロニアを名乗り、連邦と戦闘状態に入ると言う事件が勃発する(コスモバビロニア建国紛争)。
この紛争は短期間で終結するが、旧来のジオニズムに依らない思想の誕生は反連邦的な思考を持つ者に大きな衝撃を与えた。
0133年、木星に拠点を築き地球に対して偏執的な憎しみを抱いていたクラックス・ドゥガチが地球圏へと侵攻を開始。こちらも、新生クロスボーン・バンガードと独立し始めていた各コロニーの治安部隊の活躍により排除される。しかし、連邦政府にはもはや彼らの協力なくして地球を維持する力は存在しないことも明らかになり、0140年を境目にコロニーに対する干渉政策は取れなくなり各コロニーにはなし崩し的に自治権が与えらえることとなった。
だが、各コロニー間には元来、経済格差や資源を巡る争いが存在し、コロニーの武装化もあって紛争状態が頻発。宇宙は極度に不安定な時代を迎えた(宇宙戦国時代)。
マリア・ピァ・アーモニア
この混乱の中でコロニー住民の人心も荒れてしまう。0124年に生まれたマリア・ピァ・アーモニアは幼少期に両親の離婚を経験し、サイド1のアルバニアンにおいて売春婦として弟(クロノクル・アシャー)を育てると言う極貧生活を送っていた。ついには父をも知れない子供(シャクティ・カリン)を妊娠し辛酸の限りを嘗め尽くす。
しかし、この妊娠と出産を機にヒーリング能力を中心とした霊能力に目覚めた。この能力を利用して、0141年当地において人生相談所または代替医療的な医院を設立。少なからず人々の支持を集めて行く。
0144年、支持者がマリアの言葉を集めた書籍を出版。宇宙戦国時代の不安を背に反響を呼び組織は急速に拡大。弟であるクロノクルの助けもあり、同年には「マリアの光の教団」と言う宗教団体に発展する。
フォンセ・カガチ
ここまでは新興宗教に過ぎず、教団自体もマリアのカリスマによって立つ在り来たりなムーブメントであった。しかし、拡大する組織に木星公団の重役であったフォンセ・カガチが着目。0145年にカガチはマリアと接触し、翌年には宗教政党であるガチ党が結党され世俗政治に参入を開始する。
カガチにオルグされたガチ党は巧みに選挙を戦い抜き、0147年には信徒が多かったサイド2アメリア政庁の第三勢力にまでのし上がる。これを好機と見たカガチは贈収賄に関与したグループをギロチンにかけて処刑。このマリア主義と世俗における行動のギャップは大きな衝撃を持って迎えられ、反対派は次々に口をつぐみついには政権を奪われてしまう。
0149年、サイド2はほぼガチ党一派に掌握されザンスカール帝国の建国を宣言。カガチはマリアを女王として祭り上げた。
0152年、地球への進攻を開始し、連邦の無関心をよそに占領地を拡大。リガ・ミリティアなどの抵抗分子と戦いながら作中世界開始時点である0153年を迎えることとなる。
思想
本質的にはマリアのカリスマとカガチのオルグ(組織)による宗教であり、思想と言えるモノではないのかもしれない。
マリアの考えとしては、宇宙に人類が移住し、その地において自治権を獲得してもなお争いを止められない人類に猛省を促すと言う単純なモノだった。自身の経験からこの遠因を男性社会に求め、それを改めるために女系社会への回帰を主張。また、母なる存在の象徴である地球を大事にし崇拝すると言う側面も存在した。
歴史的には日本における邪馬台国を彷彿とさせ、マリアは卑弥呼にクロノクルはその弟に擬せられる側面があった。また劇中における予告のセリフであるが、シャクティは「母の力を過信した者」と評しており母性を中心とした教義であった。その究極の狙いは0153年に建造されたエンジェル・ハイロゥであり、サイコウェーブにより人類の闘争心を摘除。幼児退行させて紛争を消滅させ、ザンスカール帝国やマリア主義の理想を完遂すると言うものだった(ただし、マリアはそこまでの強制力があるものだとは認識していない)。
一方、カガチのマリア主義に対する信仰は疑問視されており、最終局面の追い詰めらた情勢ではあるが「占い師から育ててやった恩を忘れたのか!」と叫んだことからもマリア本人は体よく利用できる存在でしかなかったようだ。また、ギロチンもマリアが意図したものではなく、あくまで国家的な催事(処刑された人間も悪人ではなく、自分たちの理想の礎になるのだと言う考え)として取り入れたのも彼であると推測できる。
ただ、「穏やかな人類を再建したい」と言う本音を吐露する場面もあり、エンジェル・ハイロゥによる人類の強制的な幼児退行化作戦についても「赤子こそ平和への無垢なる祈り」と述べ、マリア主義と自身の理想が近かったからこそ支持したのだとも取れる。
最終的にこの両者によって立つザンスカール帝国は指導部全員の死亡により崩壊。エンジェル・ハイロゥもマリアの娘であったシャクティ・カリンの活躍により無力化した。
ジオニズムとの関係
既にジオンを国号とする国家が消滅してから半世紀が経過しており、大きな影響は確認できない。エレズムと地球崇拝との関係に関連性を見る指摘もあるが、あくまでマリア主義では大切にすると言う程度の認識である。
これの裏返しか、厳格な意味では反連邦思想ではない。既に連邦の力は形骸化しており、アースノイドにもかつてのような優位性はなくなっていたのである。ただし、衰えたとは言え、本格的な反攻を企図されれば物量的にザンスカール帝国(サイド2のみ)の国力では太刀打ちできないため、表向きは和戦両様で臨みエンジェル・ハイロゥ建設までの時間を稼いでいる。
カガチはあくまで人類に絶望していたと言われており、宇宙戦国時代に翻弄された経験を持つマリアも同様の思考を持っていたため、ジオニズムのような希望を煽る思想ではなく諦めの宗教である。この点がある意味では最大の相違点と言えるのかもしれない。
また、ニュータイプ思想はこの現実を前に宇宙からほぼ一掃され、代わりに地球生まれ・地球育ちのニュータイプであるウッソ・エヴィンが反マリア主義勢力であるリガ・ミリティアに参加している。結果的ではあるが、これが致命傷ともなった。
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関連項目
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