マリガン(Mulligan)とは、人名を由来とする用語である。
曖昧さ回避
1.の概要(人名)
アイルランドを起源とする姓。ひいては、アイルランド系(移民)の通称でもある。
モリガン(Morrigan)やモルガン(Morgan)はスペルが異なる。カタカナ表記では混同されることがあり、下記のゴルフ用語では「モリガン」という人もいる。
2.の概要(ゴルフ)
ショットを打ち損ねた時、やり直しを認めるプライベートルール。
仲間内や接待ゴルフだけで通じるルールで、公式には存在しない。
公式の競技では故意にボールを動かしたということになり、打罰どころか競技失格ものである。
プライベートルールの中では「OKパット」と並んで有名。アメリカでは割と頻繁に行われており、ゴルフ場によっては「No Mulligans」の立て札がある場合も。
ティーショットをチョロったなど、どうしようもない大失敗をしたときに「ごめーん! マリガンしていい?」などといいながら、同伴競技者の同意を得た上で行うのが一般的。
「第1ホールのみ」「ハーフごとに1回ずつ」「ティーショットのみ」など、一定の制約があるのが普通。どこまでマリガンを認めるかは状況により異なるが、あまりも手前勝手なマリガンは顰蹙を買うので控えた方がいい。
ただし、顰蹙を権力で踏みにじれるのなら話は別である。アメリカ元大統領ビル・クリントンは、特に宣言するでもなく何度も打ち直すめちゃくちゃなマリガンをすることで有名で、ビリガン(Billigan)と揶揄されるほどであったという。あなたがTAPと見まごうばかりのマリガン無双をしたいのであれば、総理大臣か大企業の重役になって接待ゴルフをしてもらえばいいのである。そんなことをやって権力を維持できるかどうかはともかく。
これとは別に、チャリティーの大会などでは、マリガン権が売りに出されることがある。ショットをミスった場合、一定額をチャリティーに寄付することで打ち直しができるものである。この場合は後ろ指を指されるいわれはないので財布の中身が続く限りマリガンをして、恵まれない人たちを救おう。不当な遅延になるかもしれないが知るかそんなもん。
由来は諸説あるものの、マリガン、あるいはそれに似た名前のゴルフプレイヤーがいたということについては大まかに共通する。
- マリガンがティーショットをミスしたとき、衝動的に二打目を打ったら良い当たりで、それを正式なショットとしたことで、二打目が打てるルールが「マリガン」と名づけられた
- マリガンが朝一番のティーショットを必ず失敗していたため、彼に限ってこのルールを適用するようになった結果、そのルール自体が「マリガン」と呼ばれるようになった
3.の概要(カードゲーム)
カードゲームで、最初の手札が悪いときに一定のペナルティの下にもう一回引き直し・交換ができるというルール。由来は前述のゴルフ用語で、カードゲーム用語としての起源は「マジック:ザ・ギャザリング」である。
トレーディングカードゲームでは、多くの場合、はじめに数枚カードを引き、手札を揃えてからゲームを開始する。通常は序盤に場を固めるのが何より重要なため、本人の実力以上に初手の引きがそのまま勝敗につながってしまうことがしばしばある。
そのため、ゴルフと異なり、多くのゲームで公式に認められている。
マリガンは1回きりの場合と、何度もできる場合がある。何度もできる場合は、回数に応じてペナルティが大きくなる場合がほとんどである。
マジック:ザ・ギャザリング
カードゲームでの用法はこのゲームが初めて採用したものである。
他のTCGでは通称の場合も多いが、MTGでは公式の名称である。
マリガンの方法は、時期により異なる。
原則として、初めて採用された大会の地名から名前がつけられている。
ノーランド/オールランド・マリガン(~1997)
手札に土地が1枚もないか、すべて土地である場合、手札を公開した上で1回だけ無罰で引き直せる。
しかし、1枚でも土地があれば、もしくは7枚中6枚が土地であっても引き直せない。
また、マナを出さない土地であっても手札にあれば引き直せなくなるため、事故率が高かった。
パリ・マリガン(1997-2015)
手札の内容に関係なく、何度でも引き直せる。その代わり、引き直すごとに1枚減らす。
バンクーバー・マリガン(2015-2019)
引き直すごとに1枚減らすのはパリ・マリガンと同様。
ゲーム開始時の手札を決定した後、1枚以上手札が初期から減っている場合は、山札の1番上を見て、それを1番上のままにするか、1番下に戻すか選ぶことができる。これは、MTGの能力で言う「占術1」と同じ操作である。
ロンドン・マリガン(2019-)
何度目のマリガンであろうと、始めは初期手札と同じ枚数(通常は7枚)カードを引く。
その後、N回目のマリガンならば、N枚を山札の一番下に戻す。
手札決定後の占術は廃止される。
ヴァイスシュヴァルツ
各ゲームの開始時に1度だけ不要なカードを控え室(=他のTCGにおける墓地のようなもの)に置き、同じ枚数引く。
カードファイト!! ヴァンガード
各ゲームの開始時に1度だけ不要なカードを山札の一番下に置き、同じ枚数のカードを引いた後、山札を切り直す。
ポケモンカードゲーム
このカードゲームでは、たねポケモンのカードが初期手札に存在しない限りゲームを開始することができない。そのため引き直しが強制的に行われるルールが最初期から採用されている。
現行のルールでは、たねポケモンのカードが初期手札にない場合、手札全てを公開し、手札を山札に加えて切り直し、もう一度手札を7枚(これは初期手札枚数と等しい)引き直す。これをたねポケモンが手札に来るまで何度でも繰り返す。
どちらかがより多くこの手順を行った場合、その回数が少なかったほうはその差分に等しい回数の枚数まで山札からカードを引いてもよい。
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関連項目
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