マルクス・ガブリエル(1980~)とは、ドイツの哲学者である。
概要
29歳でボン大学の教授に就任し、著作も多数出版している若き「天才」と評されている。専門はドイツ観念論であるが、多数の言語に精通し、フランスの構造主義・ポスト構造主義や、古代ギリシア以来の哲学の伝統を理解したうえで新たな哲学を築こうとしている。思想的には、イタリアのマウリツィオ・フェラーリスとともに「新実在論」の立場を推し進め、実在論的転回の旗手の一人となっている。
一般書である『なぜ世界は存在しないのか』にまとめられたガブリエルの思想は以下のとおりである。ポストモダンの問題点は、カントが源泉となっている「構築主義」にあるとする。それに代わる「新実在論」とは、世界は、古い実在論の「見る人のいない世界」だけでもなく、構築主義の「見る人の世界」だけでもない、とする立場である。つまり物理的な対象だけでなく、「思想」、「心」、「感情」、「信念」、「空想」を存在すると考えるのである。
それによって、全てを科学的に還元してしまう「自然主義」的な近年の傾向を、物理的なものやその過程のみ存在することとなり、それ以外は独自の意味を持たなくなる、と批判し、原理的な次元から「実在論」の再考を行おうとしてくのである。
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