曖昧さ回避
その他のマンボウおよびマンボウを名前に含む用語についてはまんぼうの記事を参照。 →「まんぼう」
概要
現在フグ目マンボウ科は5種類知られ、マンボウ科マンボウ属には3種類のマンボウが知られているが、その中の普通の「マンボウ」が以下の通り。
【分類】脊索動物門 脊椎動物亜門 条鰭綱 フグ目 フグ亜目 マンボウ科
【学名】Mola mola
【分布】熱帯と温帯の世界中の沖合いに広く分布。
【体長】最大で2.7m程度?
※3m以上の個体も記録されていたが、分類の見直しで多くが「ウシマンボウ」になった可能性が高い。
【体色】灰褐色
【特徴】体は縦に平たく全体的に円形をしている。骨格のほとんどが軟骨。
体の後端に上下一対で縦に細く長い背鰭と腹鰭を持ち、尾鰭は無く独特の舵鰭を持つ。
口に一般的な歯は無く嘴(くちばし)状になっており、クラゲやプランクトンの他、小型の魚や甲殻類も捕食する。
マンボウの生態については現在も不明な点が多く残されている。その体形から海面近くの表層部で生活していると思われていたが、近年の調査で深海にも行き来することが判明したり、他にも海面に平たい体を横にして浮かんでいたり、海面からジャンプするといった行動の理由も諸説あるがまだよく分かっていない。
ただし、マンボウのメスは一度に最大3億個の卵を生むという話があるが、これは疑わしい。
深海に潜るのはエサを食べるためのようだが、水圧変化に対応するためか空気の詰まった浮き袋ではなく水分の多いゼラチン質の層で浮力を稼いでいる。いつものんびり漂っているような印象があるが、危険が迫ると猛烈な速度で泳ぐ。茨城県の「アクアワールド・大洗」によると「本気を出したマンボウは意外に速い」とのこと。この泳ぎは背鰭と腹鰭を一緒に左右に振る、ペンギンの羽ばたき泳法を横倒しにしたような動作による。
生まれたばかりの稚魚には多数のトゲが生えており一見ハリセンボンにも似た成魚とは似ても似つかぬ姿をしている。元々ハリセンボンと同じフグの仲間であるためだろうか。マンボウは食用としても用いられ、身は白く弾力があり、特に肝が珍味として重宝される。身は水分が多くほとんど味がないが、傷みやすいことから、煮物にされたり、刺身の場合はポン酢や酢味噌などと合わせることが多いが、身と肝を和えるとこれまた美味とのこと。
マンボウの愛嬌のある堂々とした姿はなかなかのインパクトがあり、各地の水族館で飼育されている。とくに茨城県大洗町の「アクアワールド・大洗」では、日本一の大きさという巨大水槽で2014年現在7匹が飼育展示されており、ゆったり泳ぐ姿を見ることが出来る。餌の時間には飼育員の方による解説もある。また館内のミュージアムゾーンには世界最大級のマンボウの剥製もあり、マンボウはサメと並んで同館の顔として知られている。
ちなみにアカマンボウはアカマンボウ目に分類され、全くの別モノである。
マンボウ最弱伝説?
水族館での人気の一方で、マンボウは飼育下で弱りやすく、死亡率が高いことでも知られる。旋回が不得意な性質から壁で擦り傷を作って弱ってしまうことが多く、専用水槽の場合ビニール製のカーテンをガラスの内側にたらしてそれを防ぐなどの手法が用いられる。
ここから話に尾鰭がついたのか(マンボウに尾鰭はないのだが)、以下のような「マンボウの死因」がまことしやかに囁かれるようになった。
- 朝日が強過ぎて死亡
- 水中の泡が目に入ったストレスで死亡
- 海水の塩分が肌に染みたショックで死亡
- 前から来たウミガメとぶつかる事を予感したストレスで死亡
- 近くに居た仲間が死亡したショックで死亡
- 近くに居た仲間が死亡したショックで死亡した仲間から受けたストレスで死亡
- 体表に付いた寄生虫を落とすために 空中に飛び上がって水面に体を叩きつけた衝撃で死ぬ
- 前方に障害物があるが泳ぎが下手なため激突して死ぬ
- 水面に浮かんで体表についた寄生虫を鳥に食べてもらった際についた擦り傷が元で死ぬ
- 水面に浮かんで日向ぼっこしているうちに流されて浜に打ち上げられて死ぬ
ほぼ全てデタラメである。
この中の多くは実のところ、このようなネタツイートやネタ絵が得意な絵師であるサッカン氏が2013年に考え、ツイッターに投稿した全くのネタであった(マンボウの死因一覧ツイートその1、その2、その3など)。特にツイート2は突出しており、9000以上RTされている。このツイートが世間に出回ってしまっていることはサッカンも承知しており、2014年に謝罪している(ツイート)。
しかしそこだけが出処という訳でもなく、特に「ジャンプの着水で死ぬ」というデマは、サッカンより3年以上前のWikipediaでも記述が存在したことを、マンボウ博士の澤井悦郎が確認している。
この件についてはテレビやツイッターなどで否定が進み、2014年後半にはほぼデマと見なされるようになった。都市伝説などと言われることもあるが、実際のところわずか4年程度で急に広まりすぐ消えていったネットミームである。
が、まだ信じている人もやはり存在するし、2014年に大流行したスマートフォンアプリ「生きろ!マンボウ!」は現在も特に内容を改めることなく世界中で配信されている。
卵3億?
死因デマが信じられた原因のひとつとして考えられるのが「一度に3億の卵を産むが、生き残るのは2匹」という情報と思われる。
これはWikipediaやサッカンよりまともそうな文献にも書いてあることがあるが、やはりマンボウ研究家の澤井は否定的に述べている。これは「卵巣に未成熟卵が3億あると書いてある論文が過去に存在した」なのだといい、産む数ではない。しかも3億の根拠が論文に示されていないのだという(3億でないと言い切ることさえできない)。もちろん生き残る割合も定かでない。
ただ魚類では多くの卵を生み、その多くが成魚にならず捕食されるのは普通のことである。例えばスケトウダラの卵巣であるタラコには100万個の卵が入っていると言われる。卵一個の大きさはそう変わらないので、それより遥かに大きなマンボウの卵巣には3億の卵が入っていても不思議ではない。その正確な数と一度に全部を生むのかは確認されていないのである。生き残る割合に至っては卵のひとつひとつを確認するのは不可能なので、産卵数とマンボウの生息数から推測するしかない。
マンボウ科の種類
※ヤリマンボウ属のトンガリヤリマンボウは実際はヤリマンボウと同じ種だと言われるが、はっきりはわかっていない。
※マンボウ属のゴウシュウマンボウは研究が進んでウシマンボウと同種とわかり、改名された。
関連動画
関連商品
マンボウ博士として知られる澤井悦郎の著書。2017年前半までの最新情報がふんだんに掲載されている。ただし2017年はマンボウ属の分類がさらに進んだ年であり、本書で触れている未知の種にカクレマンボウという名前がついたことにはわずかしか触れておらず、さらに不確定になっていたマンボウとウシマンボウの学名が確定するのは本書の出版後である。澤井のネット上の記事も合わせて読みたい。
このほか、死因デマにも触れており、サッカンと直接やりとりした話も出てくる。
ちゃっかり献本をもらったサッカンのツイート↓
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/sakkan69/status/903868798066876416
関連項目
- 11
- 0pt