マービン・ブラナーとは、プレイステーション専用ソフト『バイオハザード2』に登場する人物である。
概要
ラクーンシティの警察(R.P.D.)に所属する黒人の男性警官。階級は巡査。正義感が強い真面目な性格で、射撃の腕も高い優秀な人物。部下として配属される新米警官レオン・S・ケネディのために歓迎パーティーの準備をするなど部下想いな一面もあった。S.T.A.R.S.との交流もあったようだが、洋館事件から命からがら生還した彼らの必死の訴えを信じなかった(ただバイオハザード発生後はこの事を後悔している)。
ところがレオンが来る前にT-ウイルスの漏洩事故が発生し、ラクーンシティにゾンビが溢れかえる異常事態が発生。混迷を極める中でもマービンは職務を放棄せず報告書を律儀に書き上げた。彼は他の同僚とともに警察署に籠城、指揮やバリケードの設置に注力していたが、同僚の発症やゾンビの侵入などにより少しずつ追い詰められ、自身も負傷してゾンビ化が避けられない状態となってしまう。警察署が壊滅した後も満身創痍で生き残っていたが最後は無念のゾンビ化を遂げた。『アウトブレイク』では女性警官のリタから好意を寄せられていた事が判明。ただ愚直なまでに職務に没頭していたからか本人は気付いていなかった。
元々は名前付きのモブに過ぎないキャラであったが、ラクーンシティ事件を描いた作品が複数世に出た結果、必然的に彼の出番も増えていき出演作に恵まれた。そして漢らしい彼の言動はプレイヤーの心に刻まれ単なるモブキャラに留まらない強烈な存在感を残している。
マービンは没になった『バイオハザード1.5』の登場人物としてデザインされたキャラで、当初は生き残る予定だったとか。しかし『1.5』は既に全て廃棄処分となっているため彼本来の活躍を見られる事はもう無いと思われる。
出演作
バイオハザード2
本作にて初登場。
警察署のエントランスホールから行ける部屋でレオン(もしくはクレア)が最初に出会う生存者(9月29日夜)。既に重傷を負っており、ロッカーにもたれながら力なく座り込んでいる。自分はもう助からないと悟っているからか、自分の事より他の生存者を助けて欲しいと願い、主人公に自らのカードキーを託してエントランスのロックを解除出来るよう取り計らう。それでもマービンを見捨てられずに迷う主人公には銃口を向けて「行くんだ」と促した。言われた通り外へ出ると、彼のいる部屋は内側より施錠されてしまう。間もなくゾンビ化するのを理解していたのだろうか…。
その後、オフィスの奥で座り込んでいるマービンの姿が見られるが、近づくと急に立ち上がって主人公の目の前でゾンビ化。生ける屍となって襲い掛かってくる。銃弾で永遠の眠りに就かせてあげるか、そのまま逃げるか。判断はプレイヤーに委ねられる。ちなみに表シナリオでマービンゾンビを倒さなかった場合、裏シナリオでもオフィスを徘徊している他、本来オフィスに出現するはずのゾンビ2体が出現しなくなる。
バイオハザード3
「ラクーン市警 マービン巡査だ」
「ゾンビに襲われて手のほどこしようがない」
時系列的に『3』は前作『2』の少し前に当たるため、まだゾンビ化していない。したがってジルが警察署を訪れた時(9月28日夕刻)は存命だったものの、この時には既に重傷を負って西側オフィスで昏倒しており、残念ながら会話は出来ない。彼の体を調べると「マービンの報告書」が手に入る。多数の殉職者を出す異常事態にも関わらず真面目に職務をこなしていた事が窺える。
ちなみにマービンが倒れているオフィスにはゾンビ2体が徘徊しているが、何故喰われないのかは永遠の謎。
バイオハザード アウトブレイクFILE2
警察署を舞台にした「死守」シナリオにて登場。時系列は『3』の更に前で、重傷を負う前の姿が見られる(詳しい日時は不明)。
署内に侵入したゾンビとの度重なる戦闘やリッカーの出現により殉職者が相次ぎ、生き残った警官はマービンを含めて僅か4名にまで減少。もはや警察署の維持は困難と判断した彼らは脱出計画を練っていた。マービンが見つけてきた美術館時代の図面によると外へと通じる換気用のトンネルがあるらしく、警官たちはその入口を探すべく危険な署内を探索する。たまたま警察署に逃げ込んでいた民間人の協力もあり、エントランスホールに隠されたトンネルの入口を無事発見、入口が狭いので最も小柄な婦警リタが通って外部に救助を求めにいく事に。その際、マービンは彼女に連絡用の通信機を手渡している。
やがてリタからの通信が入り、救援のトラックを正門前につける事を伝えられた彼は玄関付近の確保に注力するも、ゾンビに右脇腹を噛みつかれて負傷(リタの通信があった後にその場所へ行くと負傷する場面が見られる)。負傷した彼に話しかけると署内の生存者を集めるよう頼むかどうかの選択肢が現れ、頼むとマービンが放送で呼びかけてくれる。が、このイベントはボス戦の始まりを意味する。放送直後にゾンビの大群が玄関前に侵入してきて救援が到着するまで正門を「死守」しなければならない。
ボス戦ではマービンは手伝ってくれないが、代わりに玄関前にはマービンのカードが落ちており、これを拾うか否かの選択肢を表示している間はゾンビの攻撃対象にならなくなる仕様がある。このためゾンビの猛攻を凌ぐのに有用だったりする。ただし、一度拾ってしまうとこのテクニックは使えなくなる。「死守」シナリオは難易度が高いので初心者はマービンの厚意(?)に甘えよう。
一定数のゾンビを撃破すると、ようやくハリーが運転する警察用トラックが正門前に到着。リタの誘導により民間人がトラックに乗り込む。しかしマービンはゾンビに包囲されてエントランスから出られなくなっており、「行け!早く行け!!」「俺に構うな、早く行くんだ!」と発車を促す。間もなくゾンビの接近に耐えられなくなったハリーがマービンの乗車を待たずに発進。彼は包囲網の中でただ一人取り残されてしまう。好きな人を見捨てる形となったリタはすすり泣く事しか出来なかった。同僚のケビン・ライマンはマービンの事をこう語った。
…心配することはねえ やつは根っからの警官さ
あんな程度でくたばるもんかよ
まだナマイキな新米どもをシゴき終わってねえしな…
そうだろ?…マービン
ケビンの言う通りマービンはまだ生き残っていた。重傷を負いつつも、たった一人でエントランスに侵入したゾンビの群れを掃討。そして「まだ…死ねん…」と呟きながら『バイオハザード2』で彼がいた部屋へと向かっていくのだった。
バイオハザード ダークサイド・クロニクルズ
レオン・S・ケネディの回想の中に登場。あくまで回想という形式だからか過去作とは異なる点がある。
警察署のエントランスホールで負傷しているところをレオンとクレアに発見される。最初こそ銃口を向けてきたが相手がレオンだと分かるとすぐに降ろし、「新人か せっかくの歓迎会がとんだサプライズパーティーになったよ…」「(レオンの「あんたは?」という問いかけに対し)マービン・ブラナー おまえの上司になるはずだった男さ」と語った。手当てをしようとするクレアに「俺のことより他の生き残りを助けてくれ」と頼むなど漢っぷりは健在。
2人が再びエントランスホールへ戻ってくると既にマービンは息絶えていた。エントランスから立ち去ろうとする2人だったが突如としてマービンがゾンビ化し、銃弾を浴びて今度こそ本当の死を迎える。レオンは「あんたと働きたかったよ」と彼の死を悼んだ。
バイオハザードRE:2
レオン・S・ケネディ、貴官に重大な特別任務を与える。
その恐るべき内容とは――、
なんと「自分の机の鍵を開けること」だ!
ヒントは6人の先輩のファーストネームの頭文字だ。
順番は、机の並びと同じにしてある。
鍵は机の左右に1つずつだ。両方ちゃんと外せよな。
ま、ようするに、仲間の名前を覚えるのがお前の
初仕事ってわけだ。
成功を祈ってるぜ。
スコットの野郎から聞き出すのは、ちっとホネだろうけどな。
バイオハザード2のリメイク作品にも登場。わずかに生き残った警官とともに、警察署から脱出する経路を探っていた。異変を知らずに署内に入り、ゾンビに足を掴まれたレオン(クレア)を助けた。主人公によって応対の仕方が少々異なる。レオンに対しては上司として接し、クレアに対しては警官として接する。
既に右脇腹を負傷しているものの、まだ自由に歩きまわれる状態。しかし先は短いと悟っており、「俺は置いていけ」「俺は足手まといになる」とレオンについていかなかった。代わりに持っていたナイフを渡し、「怪しい奴らには躊躇い無く引き金を引け」とアドバイス。台詞から察するに、ゾンビ化した同僚を撃つ事に躊躇したがために噛まれて負傷したと思われる。苦しそうにソファに腰掛け、生存者の支援をする。
脱出ルートを探っているとマービンから通信が入り、エントランスに戻るイベントが挿入される。戻ってきた主人公に、防犯カメラにクレア(あるいはレオン)が映っていた事を伝え、その場所への行き方を教えてくれる。探索の末、主人公は地下へ続く抜け道を発見。ようやく脱出経路が見つかったが、マービンはもうゾンビ化寸前であった。「俺はもうダメだ。一人で逃げろ」「頼むから行くんだ、俺を助けると思って」と、主人公に脱出を促した後、自らの意思でエントランスに留まった。そして……。
なおオリジナル版(PS)では巡査だったが警部補にまで約3階級ほど昇進している。(アメリカでは州によって警察階級の扱いが変わるため日本の巡査→巡査(部)長→警部補とは限らない)
本作でもレオンの上官になる人物だった。重大任務と称して先輩の名前を覚えさせるミニゲームを用意しており、レオンにいち早く職場に馴染んで貰おうと取り計らっていた。優しい先輩と自称しているが、その自称に違わぬ良き先輩っぷりを発揮した。
バイオハザードRE:3
カルロスパートにて登場。原作と違って(登場時点では)無傷であり、ジルとも出会っていない。
警察署前でゾンビ化したブラッドと遭遇し、「マジかよブラッド お前まで…」と嘆いていた。発砲するが、まだ意識が残っていたブラッドから「許してくれ…」と言われ、攻撃を躊躇。その隙を突かれ、脇腹に噛み付かれる。彼を殺せなくなったマービンは、トドメを刺す事無く署内へと逃げ込んだ。直後にやってきたカルロスによってブラッドは真の眠りについた。
これによりRE:2で負っていた傷は、ブラッドによるものだと判明した。
関連項目
- 8
- 0pt