グスタフ・マーラー (Gustav Mahler, 1860-1911) とは、19世紀後半から20世紀初頭のウィーンで活躍したユダヤ人の作曲家、指揮者である。
曖昧さ回避
概要
若くして指揮者となったが、まだ無名の時代に既にブラームス、チャイコフスキーなどから認められていたなど、その才能はかなり抜きん出たものだった。のちにウィーンフィル、ニューヨークフィル、ウィーン宮廷歌劇場などの指揮者を務めたが、自身の活躍を通してブルーノ・ワルターら後代の指揮者たちに多大な影響を与えた。
妻であるアルマの残した伝によれば、性格的には狷介な部分があり、曰く『敵を作ることでも天才だった』そうである。またアルマのことをミドルネームであるマリアと呼びたがっていたことからも分かるとおり、マザー・コンプレックス的な感情がとても強かったとされる。その一方では、当時、作曲家として不遇な状態にあったブルックナーの数少ない理解者として振る舞い、またシェーンベルクやツェムリンスキーなど若い世代の作曲家たちからは慕われるなど、ある種の新しい音楽世代が成長して行く、その庇護者的な役割を積極的に努めようとしていたことでも知られる。
作曲においては、大規模なオーケストラ構成と声楽パートを含むのが特徴とされる。 オーケストラにおいて一般的ではない楽器も含まれ、先に挙げたように殆どの曲で大編成を要求するため、
アマチュアオーケストラはおろかプロオーケストラでもエキストラが必要になるほど演奏には人員確保が大変である。
また、彼の交響曲は総じて長大であり、第1番、第4番以外の作品は演奏時間が1時間を超える。
彼は交響曲を全部で10曲完成させたが、そのうちの9番目の交響曲は番号なしの『大地の歌』という曲である。
これは『大地の歌』が一般的な交響曲の様式から大きく外れた異色作であったためだが、ベートーヴェン以降の著名な作曲家に『交響曲第9番』を最後の大作として亡くなる人が多く、そのジンクスを気にしたためとも言われている。
その後、彼は「死」を強く意識した内容の10番目の交響曲に「第9番」という番号を与えたが、11番目の交響曲である「第10番」は未完成のまま死んでしまった。
結果として彼は「第9番のジンクス」を強化することに貢献してしまい、この後も多くの作曲家にとって『交響曲第9番』は死亡フラグの1つとなっている。
無論、『交響曲第10番』以降を書いてもピンピンしてる人は多いが(ショスタコーヴィチとか)。
ニコニコ動画においては、『交響曲第8番』第1部の展開部が『涼宮ハルヒの憂鬱』の劇中で用いられたことで有名。
有名な作品
- 交響曲第1番ニ長調 「巨人」
- 適度な演奏時間と明快な曲調から、アマチュアによるものを含めて比較的演奏頻度が高い。
当初は評価が芳しくなく、楽章一つを丸ごと削除するなどの大規模な改訂を繰り返して再評価された。 - 交響曲第2番ハ短調 「復活」
- 第1番から一連のストーリー性を持って構想された作品。こちらは初演から成功を収め、マーラーの名声を確立させた。第1楽章の初稿版は「交響詩”葬礼”」として発表されている。
- 交響曲第3番ニ短調
- 演奏時間約100分の超大曲。特に最初と最後の第1・第6楽章が長く、この2楽章だけで約1時間ある。
- 交響曲第4番ト長調
- マーラーの交響曲の中では例外的と言ってよいほど明るく、牧歌的な雰囲気に満ちているため、初めてそれらを聴く人にお勧めの作品として比較的名の挙げられることが多い。その一方では、既存の歌曲集「子供の魔法の角笛」や他の交響曲との関連も密接なものがあり、マーラーらしさも充分堪能することが出来る。
- 交響曲第5番嬰ハ短調
- ウィーンに活動拠点を置いていたころの”絶頂期”に書かれた楽曲。1970年代のマーラー人気下では、暗→明という分かりやすい進行や聴きごたえのあるサウンドにより、この交響曲が人気を集めていた。
- 交響曲第6番イ短調 「悲劇的」
- ハンマーを組み込むなど、編成の拡大が図られている(→関連動画)。マーラー「打楽器に特に力入れた」
- 交響曲第7番ホ短調 「夜の歌」
- 第5番のような明確さを欠けているころから。難解的な作風という評価の多かった交響曲。こちらもマーラー人気にかけて再評価が進み、時代の進行と共に新しい解釈が進んでいる。
- 交響曲第8番変ホ長調 「千人の交響曲」
- マーラーの生前に初演された最後の交響曲。パイプオルガンや声楽を含む極めて大規模な編成をとり、最低でも800人程度の奏者を必要とする超大作。「千人~」という名称は、初演時に1030人が出演して大台を超えたことを興行主が宣伝し定着したもの。あまりの規模による演奏会の興行の困難さと、後期作品の中では「浮いた」肯定的な曲調から、知名度の割に演奏機会が少ない。
- 交響曲「大地の歌」イ短調
- 漢詩のドイツ語訳を歌詞に用いている。
全編に声楽を含むという、第8番に続く特殊な構成の作品で、連作歌曲としての要素が強い。 - 交響曲第9番ニ長調
- 完成された最後の交響曲。マーラーの死去から約1年後に初演された。
マーラーの最高傑作とする人が多いが、存命であれば第4楽章を中心にさらに改訂していただろうと考えられている。 - 交響曲第10番嬰ヘ長調(未完成に終わる)
- 第1楽章のみがほぼ完成しており、通常は第1楽章のみが演奏される。
第2~第5楽章は大まかな構想などが残されており、これを元にした補筆が何人かの作曲家によって行われている。 - 歌曲集「さすらう若人の歌」
- 歌曲集「亡き子をしのぶ歌」
マーラーの楽曲を使用した作品
- ヴェニスに死す(映画)
- 交響曲第5番第4楽章:アダージェットが、作品の表題的役割を担っている。また、原作小説の作者トーマス・マンが主人公の作家に「グスタフ」の名を付けたほか、映画版監督のルキノ・ヴィスコンティはこの主人公の職業を「作曲家」とし、よりマーラーに近い人物像に転換するなど、マーラー本人にも関係の深い作品である。
- 涼宮ハルヒの憂鬱(アニメ)
- 交響曲第8番第1部を使用。最終話(TV放映順)において、展開部から再現部にかけての最も盛り上がる部分がクライマックスを彩る。
- 銀河英雄伝説(アニメ)
- OP・ED・挿入歌以外のBGMに専らクラシック音楽のみを用いたことで有名な作品だが、中でも交響曲第3番第1楽章冒頭がメインテーマとして扱われており、他にも第1番、第2番など多数が使用されている。
- のだめカンタービレ(テレビドラマ)
- 言わずと知れたクラシック漫画の実写化作品。作中では交響曲第1番 、第8番が使われている。
関連動画
ピコカキコ
プレイヤー | タイトル | スレ |
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交響曲第1番 第1楽章より | う~たん#1 | |
交響曲第1番 第2楽章より | う~たん#2 | |
交響曲第1番 第3楽章より | う~たん#3 | |
交響曲第1番 第4楽章より | う~たん#4 |
関連項目
- 音楽家
- 作曲家一覧
- クラシック
- ロマン派
- ウィーン
- 指揮者
- フランツ・シューベルト
- エクトル・ベルリオーズ
- リヒャルト・ワーグナー(先輩)
- リヒャルト・シュトラウス(友人)
- アルノルト・シェーンベルク(後輩)
- 死亡フラグ
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