ミサイル(missile)とは、
- 兵器の一種。敵を追いかけて飛ぶロケットのような兵器。 …本記事で記載する。
- 広義には飛翔物のことを指す。RPGで言うマジックミサイルなどは、純粋な魔力の「塊をぶっ放したもの」という意味になるように、矢だろうが石だろうが、なんか飛んでいる奴、のことを指す。
概要
おおむね、爆発などで対象を破壊する『弾頭』、ミサイルを目標に誘導する『誘導装置』、エンジンや燃料を搭載した『推進装置』を持つ飛翔体で、任務/用途/構造により大まかに区分される。
自衛隊では「誘導弾」とも呼ばれる。
無誘導で放物線を描くロケット弾とは異なり、誘導装置によって自動で軌道修正を行う、すなわち「敵/目標を追いかけて飛んでいく」のがミサイルである。
発射された後は推進装置により飛翔、誘導装置が指定された目標に対して進路を制御し対象に命中(爆発でダメージを与えられる距離まで接近)する。
ミサイルは基本的に自分自身で目標を補足し、そこに誘導されていくが、ミサイルに事前に目標に関する情報を与え、適切なタイミングで発射し、時には飛翔中のミサイルに目標の動きの変化を伝えることで有効性を一層高めることができる。
そのためミサイルはレーダーや射撃管制装置(FCS)と組み合わせて「システム」として運用される。
システムは人間が生身で撃つ肩撃ち式の地対空ミサイルから、防空監視システムで目標を探知識別し、戦闘指揮システムで目標を割り当てて各種射程のミサイルを発射、あるいは戦闘機を飛ばして搭載されたミサイルを発射するという国家レベルの防空システムまで様々である。
「対空ミサイル(上)」久保英彦 防衛技術ジャーナル 1998年8月号 より引用
名称について
『弾頭』『誘導装置』『推進装置』の3つを備えたものを「ミサイル」と呼び、誘導装置を持たないものは「ロケット弾」と呼ばれる。
……が、運用組織によって呼称には大きな違いがあり、AGM-154JSOWのように航空機から投下・滑空して目標に向かう、推進装置を持たない誘導爆弾がミサイルに含まれたり、GMLRSのようにGPS誘導のロケット弾をロケット弾と呼んでいたりするので、余りこだわる必要は無い。
ドイツ語やロシア語ではそもそもロケットとミサイルを区別しない。
用途分類
基本的には、発射元(歩兵・車両・航空機・艦船等)と狙う目標によって分類される。
初見では「空対艦って何?どっち?」となるかもしれないが、文字を見ると意外と難しくない。
「対」の文字の前にミサイルの発射元が、「対」の後ろにミサイルの目標が記載される。
- 例えば…
なお、「対戦車ミサイル」と表記されていても、必要に応じて戦車以外の装甲車や陣地に使用されたり、「対空ミサイル」に対地モードが備わっていたりと、あくまで主な用途による大まかな分類である。
一般的には「対○ミサイル」「対○誘導弾(自衛隊)」といった表記が多い。
また、「弾道ミサイル」「巡航ミサイル」のように飛翔形態によって分類するもの、「核ミサイル」のように弾頭を強調する分類も存在する。
英語の略称については、後述の「任務(目標)による区分」を参照。
ミサイルの構造
弾頭
- 炸薬弾頭 - 最も一般的な弾頭。直撃、あるいは目標の近くで爆発しダメージを与える。かつては単純に周囲へ破片をバラ撒く弾頭が一般的だったが、現代は破片のサイズやバラ撒く方向を偏らせた調整破片弾頭や、目標を探知した方向にのみ破片をばらまく指向性爆薬弾頭が一般的。
- 連続ロッド弾道 - AIM-7等で用いられていた炸薬弾頭の種類の一つ。破片ではなく、リング状に溶接された鋼棒を爆風で展開し、目標を真っ二つにする弾頭。
- 運動エネルギー弾頭 - キネティック弾頭とも。その名の通り爆発ではなく運動エネルギーによって目標を破壊する弾頭。着弾時の相対速度が十分に速く、爆発による破壊の必要の無い対艦弾道ミサイルや対弾道弾ミサイルなどで用いられる。
- ディスペンサー - 対人、対戦車、対滑走路用の小型爆弾を多数搭載し、目標上空で散布する弾頭。
推進装置
- ロケットエンジン - 保管が容易で扱い固体燃料ロケットが広く用いられる、最も一般的な推進装置。液体燃料ロケットは燃料の保管や注入の手間がかかるなどデメリットが多いため、現在では一部の弾道ミサイルに使用されているのみである。
- ジェットエンジン(ターボジェット/ターボファン) - 主に巡航ミサイルや対艦ミサイルなど、長射程求められるミサイルで用いられる。酸化剤が必要なロケットエンジンと比較し、大気中の酸素を燃焼に利用できるため非常に燃費が良い。ただし最大速度でロケットに劣り、空気が無い高空では飛翔できず、コストが高いなどのデメリットがある。
- インテグラル・ロケット・ラムジェット (ラムジェット)- 超音速によって十分なほど圧縮された空気を、圧縮機を用いずそのまま燃焼に利用するジェットエンジン。ロケットエンジンの最高速度とジェットエンジンの長射程を両立しており、最近の空対空ミサイルや対艦ミサイルなどに用いられる。超音速でしか動作しないため、初期加速にはロケットエンジンが用いられる。
- ダクテッドロケット - ラムジェットの仲間。あちらが取り入れた空気のみで燃料の燃焼を行うのに対し、こちらは空気と酸化剤の両方を使う。ラムジェットと同様に最高速度と長射程に優れるが、空気の取り入れ口が空気抵抗となり速度が低下するため、あえて従来のロケットエンジンを採用することもある。
誘導装置
ミサイルで最も重要な部分と言っても過言ではない装置。
基本的に以下のパーツによって構成される。
- センサー - 目標を捉えたり自身の位置・状態を確認するためのパーツ。前者は特にシーカーと呼ばれる。
- ガイダンスコンピューター - センサーから取得した情報を処理し、ミサイルの飛行経路を計算・制御するパーツ。
- アクチュエータ制御部 - ガイダンスコンピューターから指示を受け、フィンやスラスターを動かし飛行経路を調整するパーツ。
- 慣性航法装置(一部のみ) - 自身の加速度から位置を測定するパーツ。長距離ミサイルなどで補助的に使用される。
誘導方式
ミサイルの誘導形式は多岐にわたるが、ここではざっと解説する。
- ミサイルは目標を追尾するが、人間のような柔軟な思考を持つAIは(現時点では)存在しない。
- 「あの戦闘機に向かって飛んでいけ」と言ってもミサイルは理解してくれない。
- 「何を基準に飛んでいくか」または「何に誘導されて飛んでいくか」が必要となる。
誘導方式には外部からの指令を受ける方式と、ミサイル自体が目標を追尾する方式が存在する。
後者がいわゆる「ロックオン」である。
読むのが面倒な人向け
難しいことを極力省くとこうなる。
- 備考
電波ホーミング誘導
幅広く使われている方式のひとつ。
味方のレーダーやミサイル先端のレーダーから
敵に対して電波を照射しその反射波を、または敵が発する電波を捉えて飛翔・命中するもの。
アクティブホーミング
[電波/照射&飛行計算]+撃ちっ放し能力
アクティブレーダーホーミング(ARH)とも呼ばれる。
例:ミサイル自身がレーダーという懐中電灯で目標を照らしながら追いかけるようなもの。
- 長所:完全自動追尾
- 短所:複雑で高価、探知されやすい
- 備考
セミアクティブホーミング
[電波/受信&飛行計算]
セミアクティブレーダーホーミング(SARH)とも呼ばれる。
例:ミサイル以外がレーダーという懐中電灯で目標を照らすので、それを追いかけるようなもの。
ミサイルが外部からのレーダー情報を受けて飛翔する。
発射母機や地上等のレーダーが目標に対して発した電波の反射波を検知し、そこに向かって飛んでいく。
誘導用の電波を照射するものは「イルミネーター」と呼ばれる。
発射母機や地上等のレーダーによってロックオン状態を維持する必要がある。
ミサイル側は命中するまでレーダー波を常に受け取り続ける必要がある。
パッシブホーミング
[電波/受信&飛行計算]+撃ちっ放し能力
パッシブレーダーホーミング(PRH)とも呼ばれる。
例:懐中電灯(レーダー)を持っている相手を暗闇で追いかけるようなもの。
目標が発するレーダー波の発信源を追尾する。
主に対レーダーミサイルとして使用される。
光波ホーミング誘導
幅広く使われている方式のひとつ。
ミサイル先端のカメラ(シーカー)が
敵の発する熱源や、照準用レーザーの照射先を捉えて飛翔・命中するもの。
目標の熱源を検知して追尾する。(赤外線がメジャーだが、紫外線を探知するものも存在する)
車両や航空機のエンジンが発する熱を追尾する。
・ちなみに、航空機はこんな感じで熱を放出している。(赤外線映像)
また、レーザーによる誘導もあり、そちらは半自動誘導である。
赤外線誘導(IRH)
[光波/受信&飛行計算]+撃ちっ放し能力
発射後、目標の検出と飛行計算はミサイル自身が行う。
目標の熱源を「点」として認識して追尾する。
次項の赤外線画像誘導も出てきたが、現在も幅広く使用されている。
初期のものは太陽(熱源の塊)に飛んでいくドジっ子だったり、エンジン排気が良く見える後方からしかロックオンできず使い勝手が悪かったが、現在のミサイルは敵機正面からでもロックオンが可能になっている。
赤外線画像誘導(IIR)
[光波/受信&飛行計算]+撃ちっ放し能力
赤外線誘導の上位互換。可視光イメージ誘導も併用されている。
ほわほわと浮かぶフレアのような熱源の囮ではなく、航空機・車両の機体っぽい形状を識別して追尾するため欺瞞に強くなった。
セミアクティブレーザー誘導(SALH)
[レーザー照射/受信&飛行計算]
単にレーザー誘導とも呼ばれる。
目標に向けて照準用レーザーを照射し、反射波を受信して追尾する。
「破壊したい目標にレーザーを当てておけばOK」である。
ミサイルの発射母機、照準用レーザーの照射役がタッグを組んで攻撃を行う。
この2つは同じ場所でも良いし、別々の場所でも良い。
照準装置上は後述のSOLCOS(モニター中央に飛ぶ)方式と似ている。
採用例:87式対戦車誘導弾(日)、AGM-114ヘルファイア(米)など
指令誘導
「操作した通りに動け!」or「ここへ飛んでいけ!」と指示してあげるもの。
手動指令と半自動指令(目標に向け続ける)の2種類がある。
有線式は射程と扱いやすさが少し劣るが、
非常に細いワイヤーケーブルで接続されており、欺瞞や電波妨害で使用不能にされない。
手動指令照準線一致誘導方式(MCLOS)
「操作した通りに動け!」
初期のミサイルに用いられた方式。ラジコンのようなもの。
目標に向かって発射後、命中するまでミサイルをジョイスティック等でズレを修正する。
遠距離はミサイルが小さく見えなくなってしまうため、後部がマグネシウム等で発光する。
…有線式と無線式がある。スコープ等を覗きながら操作する。
採用例:64式対戦車誘導弾(日本)、SS.10(仏)、9M14/AT-3(露)など
半自動指令照準線一致誘導(SACLOS)
ミサイルの尾部に光源が付いており、照準器はそれを捉えてミサイルが照準線(照準器と目標を結ぶ線)からずれているかどうかを判別し、ミサイルの軌道を修正する(人間がミサイルの運動を直接コントロールする必要がない)。
照準用のレーザーやレーダーを照射する必要がないため、敵に発射を悟られにくいのも利点。
採用例:TOW対戦車ミサイル(米)、79式対舟艇対戦車誘導弾(日)、9M111/AT-4(露)、9K114/AT-6(露)など
ビームライディング誘導(LOSBR)
発射装置「今ビームを照射してるトコに飛んでいけ!あと飛行計算はお前がやって!」
ミサイル「ビームに乗るように飛ぶけど…計算まで俺がするのか…(困惑)」
前者の半自動指令照準線一致誘導と似ているが、飛行指示の計算をミサイル自身がやる羽目になる。
ミサイル後端にセンサーがあり、照準用のビームが当たっている=正しい飛行ルートと認識する。
利点としてビームに沿って飛翔するため、レーザー誘導のように目標からの反射がなくとも空中目標などを追尾することも一応可能。
プログラム誘導
一部のミサイルを除き単独で使用されることはあまりなく、補助で使用されることが多い。
慣性誘導(INS)
ミサイルが自身の方向と加速度を計測し、事前に設定された進路とのズレを補正する。
主に巡航ミサイルや弾道ミサイルで使用される他、長射程の空対空ミサイルの中間誘導に使用されることもある。
他の誘導方式と比較すると精度に劣るため、多少のズレが気にならない核弾頭を搭載したり、終末誘導には別の誘導方式が用いられる。
予測照準線一致方式(PLOS)
慣性誘導を用いた珍しい誘導方式。主に対戦車ミサイルで使用される。
無誘導兵器で移動中の目標を攻撃する場合、射手は目標の未来位置を予測して射撃する、いわゆる偏差撃ちが必要だが、これを自動で行ってくれる誘導方式。
あくまで事前に計算した未来位置へ飛翔するだけなので、目標が加速・停止した場合は外れてしまう。
- 長所:手軽に利用でき、即応性に優れる
- 短所:射程が短い、射手が危険に晒されやすい
採用例:FGM-172 SRAW(米)、NLAW(瑞、英)など
地形等高線照合方式(TERCOM)
レーダーで地表をスキャンし、ミサイルに保存されたデジタルマップと照合して自身の位置を特定する方式。主に巡航ミサイルで使用される。
上記のINSと同時に用いられるほか、最近はさらにGPSが併用される。
補足
目標を指定して射撃後、何も誘導せずとも目標まで勝手に飛んでいってくれるアクティブホーミングやパッシブホーミング、赤外線誘導は「撃ちっぱなし(fire and forget)」が可能になるため、発射する側の生存性向上に有利である。近年の電子装置の小型高性能化に伴い、そのような撃ちっぱなし能力を持つミサイルも増えている。
最近ではさらに発射前ロックオン=LOBL(Lock On Before Launch)から、発射後ロックオンLOAL(Lock On After Launch)へと進化しているミサイルも登場している。LOBLの場合、ミサイルが自身のマーカー(あるいは母機のレーダー等)で目標を捕らえたのちに母機から射出されるが、LOALでは発射後、独自、あるいは母機からのデータリンクで目標を追尾することで命中能力が向上しているものがある。
その他誘導
- GPSなど位置座標情報に対して飛翔するものも存在する。
- 長射程のミサイルは慣性航法など、発射前に位置座標を指定しある程度目標の近くまで飛ばすものもある。
- ミサイル先端のカメラ映像を見ながら誘導するミサイルもある。MGSのニキータミサイルではない。
- 神風特攻隊のような人が乗り込み直接目標に突っ込むのも一種の誘導方式といえる。[1]
- ミサイルへの対抗策は後述。
飛翔形態による区分
- 弾道ミサイル(BM)
- 大気圏外もしくは大気圏上層を弾道飛行するミサイル。非常に高価なため、コストパフォーマンスの面から弾頭に大量破壊兵器を搭載していることがほとんどである。長射程で、射程により短距離弾道弾(SRBM)、中距離弾道弾(IRBM)、大陸間弾道弾(ICBM)と区分される。潜水艦発射のものは潜水艦発射弾道弾(SLBM)と呼ぶ。
なお、宇宙開発用ロケットはペイロードが宇宙船に変わっただけで、原理的には弾道ミサイルとほぼ同じものである。実際、初期の宇宙開発には弾道ミサイルを流用したロケットが使用されていた(スプートニクロケットやタイタンロケットなど)。 - 巡航ミサイル(CM)
- 低空を長距離飛行するミサイル。単に長射程の対地/対艦ミサイルとも言えるが、長距離を飛行するため揚力を生む翼とターボジェットエンジンを備えていることが多く構造上はジェット機に近い。亜音速でちんたら飛んでいるといい的になるため、最近ではステルス化や超音速化が進められている。
任務(目標)による区分
- 対地ミサイル
- 地上目標を破壊するためのミサイル。大都市を一撃で灰燼に帰すICBMや、肩撃ち式の対戦車ミサイルも広義の対地ミサイルである。大まかに「対戦車ミサイル」とカテゴライズされる場合もある。
(→対戦車ミサイル) - 対空ミサイル
- 空中の目標(航空機、敵のミサイル)を破壊するためのミサイル。対衛星ミサイルのような特殊なものもある。「SAM」「地対空ミサイル」とも呼ばれる。高射砲の後任。
- 対艦ミサイル
- 艦船を破壊するためのミサイル。洋上で大型の艦船を破壊する関係上大型で長射程のものが多い。
- 対潜ミサイル
- 潜水艦を攻撃するためのミサイル。水中を飛翔することはできないので、弾頭部に短魚雷を搭載している。
ミサイルの区分でよく見られる「SAM」「AAM」と言う略語は発射プラットフォームと目標を組み合わせたものである。「SAM」は(surface/ship to air)で地上/艦上発射対空ミサイルを、「AAM」は空対空(air to air)ミサイルをさす。地(艦)対地(艦)ミサイルはSSM、空対地(艦)ミサイルはASMとなる(潜水艦は「underwater」で「U」を用いる)。
対抗策
逆に「ミサイルを撃たれる側の視点」として見ていく。
相手は歩兵・車両・航空機と様々である。他国といった超長距離から撃ってくる場合もある。
もちろんミサイルを撃たれる側も、命中するまで黙って見ているわけではない。
ただし技術が向上しているため、互いにいたちごっことなっている部分もある。人間が搭乗しないミサイルの方が人間が即失神するレベルの急激な機動ができるといった長所もあるし、発射機や誘導方式の特性や、互いの相対位置などもあるため一概には言い切れない。
航空目標の対抗策
- 射程外へ逃げる
- 急激な機動・方向転換
- ミサイルの発射/発射準備を早期警戒する
- フレア(赤外線誘導対策/高温の熱源体 …エンジン排気等の熱源を疑似生成)
- チャフ(レーダー誘導対策/細かいアルミ箔のようなもの …レーダーに機影を疑似生成)
- フレア/チャフは飛んできたミサイルに対して使い分けるのではなく、同時に放出するものも多い。
- セミアクティブ誘導の場合、誘導員やレーダー照射源への攻撃
- 航空機の後部にデコイ(囮)を牽引し、そちらに命中させるもの
- 最初からステルス設計する
- 電波妨害(ECM)、電子戦によってレーダーを使用不能にする
逆転の発想
追尾してくる赤外線誘導(熱源誘導)ミサイルのセンサー特性を逆手に取った対抗策も存在する。(関連動画も参照)
- 過剰な赤外線を照射(フレア)
- 「そんなに熱源が欲しいならくれてやるよ!」とばかりに、直接センサーを狙いバルスレーザーで目潰ししてしまう(DIRCM)
- 目標の座標位置を誤認させる
- ミサイルの座標位置を誤認させる
地上目標の対抗策
戦車といった車両はもちろん、駐機中の無防備な航空機や艦艇も含める。
- 急激な機動・方向転換・蛇行運転。
- 塹壕を掘る、周囲に土を盛るなどして砲塔以外を地形下に隠す。
- デコイ(囮)。どうせ撃たれるなら破壊されても問題ない物を用意する。
- 敵に発見されなくする(被発見率の低下)
- 煙幕を展開する。
- 攻撃されても大丈夫な場所に格納する。
- 攻撃されても被害を最小限に抑える。
ちなみに赤外線映像(いわゆるサーマルサイト)で見ると、自然環境下の植物と戦車の金属では温度差があるため、エンジンを起動していなくても割と「なんかある」程度には見える。ただし前述のダミーバルーンなど、手の込んだものはヒーターを取り付け、実物同様に発熱させるものもある。
迎撃・物理的に叩き落とす
- 時々話題となっているPAC-3、イージス艦といった装備を活用する。(該当項目に任せる)
- 100%迎撃できるかといえばそうでもなく、守備範囲もそこまで広くはない。
- CIWSのような、20mmのバルカン砲で飛んできた対艦ミサイルを猛烈な弾幕で物理的に叩き落とすロマンの塊のようなものもある。(→CIWS)
- 戦車においては、飛翔してきた対戦車ミサイルやロケット弾を指向性散弾を撃ち出し物理的に叩き落す方式も考えられ一応できてはいるが、誤作動[2]や周囲への被害、精度の問題もあるためまだまだ改良の余地が多い。
先手必勝
- 撃たれる前に発見/破壊する、地域や広域を監視/制圧する
- 敵の基地・拠点・空母等を直接攻撃する。(敵基地攻撃能力)
- あえて敵に地対空ミサイルを発射させ、居場所を暴露させる「ワイルドウィーゼル」といった戦法もある。1機が囮となり、僚機が発射機を破壊するといったもの。もちろん撃たせるため危険性は高い。
- 敵のミサイルの射程外から攻撃し無力化する。(アウトレンジ攻撃)
ロケット弾との比較
ミサイルのほうが誘導してくれるぶん長距離や移動目標に対する命中精度は高い。
「じゃあロケット弾は必要なくない?」と思ったかもしれない。…だがちょっと待ってほしい。
- 一発あたりの価格、操作や構造が単純、軽量といった面ではロケット弾のほうが有利
- 安ければ同額で大勢に配ることができ、大勢・広範囲に対戦車火力を付与できる。
- ロケット弾のほうが弾薬を詰め替えるだけで多彩な弾種を使用できる。(安価で汎用性が高い)
- 森林や市街地では、携帯式の対戦車ミサイルでも自慢の長射程が発揮しづらい。
- センサーや飛行姿勢制御用の可動翼を動かすための構造が複雑となる。
ただし、ロケット弾はミサイルのように未来予測や横風に対する自動補正を行わないため
遠距離や不規則な風の起きやすい複雑な地形では不利となり、射手の技量にも左右される。
ロケット弾一発当たりの価格はミサイルより安いため、訓練でも(多少は)実弾を使いやすい。
ミサイルは方式に限らず一発が非常に高額なため、当たるか否か分からない人間全員に気前よく撃たせる訳にはいかない。[3]
このようにロケット弾とミサイルでは一長一短である。
その他
- 射撃時の発射炎や煙で存在・位置を暴露し、長居していると反撃を受ける危険がある[4]
- ミサイル発射機と誘導機材を別々に配置し操作・発射し、速やかに離脱できるものもある。
- 状況によっては離脱優先で、命中・破壊といった結果を他者に確認してもらうといった工夫も必要。
- ミサイルは発射地点から目標まで完全に一直線に飛ばない。
- 飛行経路を補正しながら飛ぶため、少しふらつきながら飛ぶのはご愛敬である。
- 目標を自動追尾する反面、味方だった場合は悲惨。(→フレンドリーファイア)
- 同じミサイルでも異なるプラットフォーム(乗り物等)に搭載&使用される場合もある。
- 弾種のひとつとして、戦車の主砲から発射可能な対戦車ミサイルもある。
- 「戦闘機にミサイルを積んでおけば機関砲なんていらなくね?外したろ!」
- 現在は真横や真後ろの目標をロックオンする事も可能となった。
- エースコンバットのような対地・対艦・空対空と何でもイケる万能ミサイルはない。
- 空中給油は可能だが、ゲームのように弾薬の空中装填技術は(今のところ)ない。
- ミサイルの最大携行弾数は10~12発程度(改修予定案では16発)
- 1982年のフォークランド紛争においては、スコープを搭載して長距離狙撃型と化したブローニングM2重機関銃で武装したアルゼンチン軍に英軍が一方的に狙撃されまくり被害甚大、苦肉の策で高価な対戦車ミサイルで一つずつ破壊して回るといった費用対効果最悪な対応を強いられた。
- ミサイルとは異なるが、誘導爆弾という物も存在・使用されている。
- ゲームによっては目視できる速度で飛んで来たりするが、実物はかなり速い。
大百科に記事のあるミサイル兵器/装備
関連リンク
関連動画
追尾方式・対抗策など
関連コミュニティ
関連項目
分類自衛隊兵器のみを集めたもの |
脚注
- *戦時中は高性能なセンサーを搭載したミサイル自体が無いとはいえ、フレア・チャフといった囮に欺瞞されず、(大型目標であれば)目標を正確に認識して飛んでいく点ではAIより上とはいえ、採算度外視、人権無視、桁外れの非人道的兵器である。
- *近辺を飛翔する鳥などをミサイルと誤認してしまい、装置が作動してしまう。
- *ジャベリン対戦車ミサイルにおいては、模擬的なシミュレーターで好成績を残さないと撃たせてもらえない。
- *欠点は、無反動砲・ロケットランチャーといった重火器にも共通する。
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