ミスアンコール(Miss Encore)とは、日本の元競走馬・元繁殖牝馬である。
概要
父キングカメハメハ・母ブロードアピール(母父Broad Brush)。
父は言わずと知れた「最強の大王」、変則二冠馬にして大種牡馬。母ブロードアピールは勝ちこそG3止まりであるものの(そのG3を6勝してるけど…)、特に根岸ステークスの追い込みは、インターネット動画黎明期において最古のバズ動画の一つとして今なお語り継がれている。
ミスアンコールは父と同じくノーザンファームで生まれ、両親と同じく最強の個人馬主・金子真人オーナーの所有馬となった。
現役時代
調整が遅れ3歳のデビュー。2009年1月、C.ルメールを鞍上に新馬戦を迎えたが11着惨敗し、このままでは未勝利戦がなくなってしまうというという間際の7月18日、5戦目にして未勝利を脱出。しかし500万下(現1勝クラス相当)は全て二桁着順に終わり、2010年4月に引退。ノーザンファームに戻り繁殖牝馬となる。
通算成績9戦1勝。獲得賞金775万円。
繁殖馬として
2番仔ハマヒルガオのみクロフネとの配合だが、それ以外はすべてディープインパクトをつけている。
1番仔テンダリーヴォイス(父ディープインパクト)がいきなりオープン入りと好調な成績を見せる。7頭の産駒がいるが、全馬勝ち上がっている。
そんな中、4番仔ワグネリアンが日本ダービーを優勝。鞍上福永祐一に念願のダービーをプレゼントするというドラマを生み出し、その後も長く現役を続けていたのだが…
7番仔ミスフィガロは2勝ながら、G3紫苑ステークス3着、G1秋華賞にも果敢に挑戦し、重賞制覇も見えるかというところまで存在感を示している。
母の母としても、上述のテンダリーヴォイスがマリアエレーナを産しG3愛知杯2着、ルビーカサブランカと共にワンツーフィニッシュを金子HDで飾り、早くも活躍馬が出始めている。
北海道胆振東部地震
ミスアンコールの繋養されていたのは、繁殖牝馬・幼駒を預かるノーザンファームYearlingだが、同場所在地は北海道勇払郡安平町早来(胆振総合振興局)。ほぼ震央であり、震度6強の巨大地震が生まれたばかりの子どもたちや出産後・妊娠中の母馬達を直撃した。
地震が起きた時刻は午前3時頃。停電・断水があったもののノーザンファームスタッフの尽力により人的被害はなかった。当初人馬ともに被害なしとの発表であったが、明け方、1頭骨折が判明した。
その1頭こそがミスアンコールだったのである。この時ミスアンコールは深夜放牧中で、その後左後ろ肢の飛節骨折との診断。予後不良によりやむなく安楽死となってしまった。
胆振地区は馬産地・育成地を多数抱える競走馬の一大拠点であり(ノーザンファームYearlingも559馬房を備える)、これほどの巨大地震で犠牲を1頭に抑えられたのは幸運かつ偉業というほかない。しかし、だからといってひとつの貴重な命が失われたことには変わりなく、それがダービー馬の母であったこともあり競馬ファンは悲しみに包まれた。
これに伴い、同年4月に出産した7番仔、後のミスフィガロが最後の仔となった。
死後
12歳で母に先立ってしまったミスアンコールだが、3年後の2021年9月18日にはその母ブロードアピールも27歳の天寿を全うした。親子2代、天国で子や孫の活躍を見守ったり、これから生まれる孫や曾孫を楽しみにするはずであったが…
なんと2022年1月5日、愛息ワグネリアンが多臓器不全により急死するという悲劇に見舞われた。わずか7歳、それも現役中での出来事だった。
かくして親子3代は天国で一緒になった。しかし本来ならば、それはもっとずっと先の未来になるはずのことであった。ミスアンコールの血統は今も3頭の繁殖牝馬が繋いでおり、残りの産駒も現役で活躍している。彼女のアンコールはまだ終わらない。
関連動画
関連静画
関連商品
関連リンク
関連項目
- 2
- 0pt