本項では1.について記述する。
概要
初出は「指輪物語」。ミスリルの名の由来は作中に登場するシンダール語(エルフの言語の1つ)で「灰色の輝き」を意味する言葉。
(mith=灰色の、ril=輝き)
クウェンヤ(シンダール語とは別のエルフの言語)では「ミスタリレ(mistarille)」と呼ばれていた。
モリア銀と言う別名もある(後述)。
銀に似た輝きを持ち、「銅のように打ち伸ばす事が出来、磨けばガラスのように光る。銀色に光るが、いつまでも曇る事が無い」と述べられている。ドワーフによって鍛えられると鋼より強く軽くなるという。
モリアと言うドワーフの地下都市付近でしか採掘する事が出来ず、先述の優れた性質も相まって非常に価値の高い金属であった。
しかしミスリルの採掘のために地下深く掘り進みすぎて封じられていた怪物を目覚めさせてしまい、それによってモリアの都市が壊滅し、以降ミスリルの採掘が出来なくなってしまったために、その後の時代では前にもまして貴重な金属とされている。
後の作品
指輪物語以外にも、非常に多くの作品にミスリルは登場している。
なお作品によっては「mythril」という綴りも見られる。「myth」は神話という意味がある単語なので、それを意識した可能性がある。
ファイナルファンタジー
ほぼ全シリーズに登場。
特別な意味を持たず、数ある市販武具の1つにミスリルの名を冠するものがあるだけの作品が多いが、序盤のストーリーのキーとして登場する作品もある。
FF2では、フィン王国がパラメキア帝国との戦争に負けた要因の1つとして「ミスリル製武具の有無」が挙げられていた。FF2におけるミスリルは強く軽く、魔法にもよく反応する理想的な金属とされており、戦争前はパラメキア王国がほぼ独占している状態だった。
フィン王国が敗れてレジスタンスと成り下がってからはこの武具の性能差を解消するため、ミスリル鉱山の奪取を計画する。
FF3でも最序盤にミスリルにまつわるイベントがある。
ミスリルの鉱山を持ちミスリル製武具の製造を行っている町があるが、ジンの呪いによってこの町の人間が透明人間のような姿になってしまっており、ミスリルの採掘がストップしている。ジンを封印し呪いを解くと、飛空挺にミスリルの船首を取り付けて次の地域へと進む道をふさいでいる岩を壊せるようになる。
ミスリルで作られた武器防具の性能としては、序盤の武具の1つに過ぎない事が多い。
キーアイテムとして取り上げられているFF2でも、ミスリル鉱山を奪取して初めて手に入れる事が出来るが、全体で見て10段階評価をすれば2か3程度の位置づけである。と言うか、「ミスリルが無くて負けたフィン王国」の武器屋にはミスリル製武具の倍以上強い武器防具が売っている。
なお「灰色の」とあるが、ファイナルファンタジーシリーズにおけるミスリルは青色の金属として描かれる事が多い。(武器グラフィック等より)
ドラゴンクエスト
中~後半においてよく市販されている防具「魔法の鎧」が、攻略本によると「ミスリル銀」と言う金属で作られているとの事。また、リメイク版DQ3には「ミスリルヘルム」という頭防具も登場する。
「魔法の鎧」の性能は可もなく不可もなくといったところで、守備力だけで見れば10段階中6かそこらである。ただし重装備が出来ないキャラクターでも装備できる場合が多く、しばしば守備力そのものよりも重視される呪文耐性を持っている事から、かなり広範まで愛用される事が多い鎧である。
「ミスリルヘルム」は後半の世界に来て初めて入手できる兜。特殊な効果は特に無いが、賢者などの軽装備の職が装備できる兜としては最高の守備力を持つ。
なおこのシリーズにおける特別な金属としてはオリハルコンがある。
スターオーシャンシリーズ
こちらもストーリーに絡むようなものではないが、アイテムクリエーションの素材に「ミスリル」が登場する。
スターオーシャンセカンドストーリーでは鉱物の中で最もランクが高いものとされ、主人公クロードの最強武器・エターナルスフィアを作成するのにも必須となっている。
オリハルコンも登場するが、オリハルコンよりもミスリルの方が上とされている。
モンスターストライク
本作では鉱石ではなく、モンスターとして登場。2020年5月14日のモンストニュースで実装が発表され、5月22日より配信された超絶クエスト「銀氷凍てつく秩序の邪鉱神」でドロップする。
鉱石を題材にした邪鉱神の1体で、水属性の女性型モンスター。性格は処刑を好むドS。進化後の絵は背後にアイアンメイデンが林立する恐怖の構図となっている。恐怖を以って秩序をもたらしている事が分かる。他の邪鉱神クエストと比べると難易度は低め、しかもアンチアビリティにアンチダメージウォール/アンチウィンド、ゲージでアンチブロックを持ち3つのギミックに対応できる器用さを発揮。ドSな設定に反して優秀な性能でプレイヤーを助ける。
モデル
ミスリルのモデルとなったと思われる金属は諸説あるが、以下に一部を記載する。
- アルミニウム
鉄よりも軽く、錆びる事が(あまり)なく、銀色の輝きを持ち、かつ加工しやすい金属。ただし強度は鉄に大きく劣り、簡単に傷がつく他、刃物などの素材としては使えない。
単体のアルミニウムとして自然産出される事は非常に稀。19世紀前半に単体での分離が成功して以降も電気分解による大量生産技術が確立するまでは非常に貴重な金属と見做され、「魔法の金属」「奇跡の金属」などと呼ばれる事があった。 - ゲルマニウム
鉄よりも軽く、強度が高く、銀色の輝きを持つ。
ただしこの金属は実際には強度の高い金属としての用途よりも、半導体である事や赤外線に対する屈折率が高い事等の性質から、精密機械の心臓部の素材に使われることが多い。
なお、健康器具によく「ゲルマニウムが~」と謳っているものがあるが、原則えせ科学の類だと思ったほうがいい。 - チタン
鉄よりも軽く、強度が高く、非常に錆びにくく、銀色の輝きを持つ。上記のゲルマニウムと同じ硬度でありながら、ゲルマニウムよりも軽い。ただし加工はどちらかと言うと難しい。
ゲルマニウムと違って純粋にその強度・耐腐食性のために金属素材として使われる事が多い金属。発見自体は18世紀初頭とかなり昔だが、これを実用出来る純度で生成できるようになったのは20世紀に入ってからと言う、アルミに似た背景を持つ。 - プラチナ
金と同じくとても希少で価値の高い貴金属として知られる。銀色に似た美しい輝きを有し、金やチタンと同等の耐腐食性など、化学的には極めて高い安定性を持つが、鉄よりもやや柔らかく、また非常に重い。
この金属の精製自体は10世紀ごろにはある程度出来ていたようで、古くは古代エジプト王朝にもプラチナ製の装飾品が存在していたと言われる(純度は7~80%程度と現代に比べれば非常に不純物が多いが、それでも当時の技術レベルから考えるとかなり進んだ技術である)。しかしプラチナの最大の特徴とはその希少性にあり、現代まで地球上で産出されたプラチナを全て集めても、1辺が6mの立方体程度の大きさにしかならないと言われている。
英語表記でplatina、ラテン語ではplatinumと書き、元素記号はPtと表記するが、これらの語源になったものはスペイン語の「platina del Pinto」である。「ピント川の小さな銀」を意味し、名前からして「特別な銀」と言う意味合いを持つのもミスリルに似ている。
ちなみにスペイン人が略奪で大量のプラチナを本国に持ち帰った事があるが、その時は普通の銀と勘違いしていたため、銀用の精製施設に突っ込んで加工できなかった(銀よりも融点が遥かに高い)ために、略奪してきたプラチナを全部捨ててしまったという逸話がある。
関連項目
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