ミナレットとは、
- イスラム教のモスクに付随し、礼拝告知を行うのに使われる塔のこと。
トルコ語のミナーレに由来し、西欧で使われる言葉であるためアラビアではマナール・マナーラ、東南アジアではマーナールとも言う。 - 1の意味を持つ2010年生まれの日本の競走馬。本稿で記述。
ミナレットとは、2010年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牝馬。
主な勝ち鞍
2014年:ターコイズステークス(OP)
概要
血統、そして一見平凡で地味な競走馬??
父であるスズカマンボは天皇賞(春)を制しており、種牡馬としてはオークスと秋華賞を勝ったメイショウマンボやJBCレディスクラシックを制したサンビスタ、さらに名古屋競馬所属で交流重賞路線でも健闘しているピッチシフターなどやたらと牝馬に活躍馬が多い。
一方、母ノワゼットは競走馬時代も未勝利ならば繁殖牝馬としてもこのミナレットを除けば子どもたちは中央では未勝利、地方競馬も含めて3勝しかしていないという、言ってしまえば地味も地味な繁殖牝馬である。
父のほうはともかく、母方からは活躍馬が出ていないような血統であったためか、北海道オータムセールに掛けられたが84万円という安値で、新潟千直に定評のあるミルファームという馬主に買われることとなった。
そして美浦の大和田成厩舎に入厩し、最終的な成績は41戦5勝、おもな勝ち鞍はターコイズステークス(当時オープン特別)である。
……と、ここまで書くと「なんでこんな馬の記事があるんだ?」と思われるであろう。
実は、この馬には他の馬には到底まねのできないようなとんでもない記録を持っているのである。
ミナレット伝説その1・衝撃のメイクデビュー!
さて、この馬の最初の伝説はズバリメイクデビューである。
2012年8月4日の新潟競馬場でその事件は起きた。
この日のメイクデビューで嘉藤貴行騎手を背にミナレットは競走馬としてデビューをすることになった。(ちなみに同じレースではのちにオーシャンステークスを勝つスマートオリオンもデビュー)
……のだが、先述のような血統であったためか14番人気という低評価であった。
そして、8番で出走したレースでは好スタートから2番手を追走し、直線で逃げ粘るヘイハチピカチャン(6番・12番人気)をわずかに差し切り、3番手から追いかけたファイヤーヒース(14番・10番人気)を抑え1着……になったのだが、何だか新潟競馬場の様子がおかしい。
どうやら、ヘイハチピカチャンとファイヤーヒースが2着同着だったようで配当が減るようである。
さて、その配当は……な、なんじゃこりゃー!!!とファンが叫びたくなるようなものであった。
3連単8-14-6は14,916,520円!(※同着です。的中票数は2)
では、3連単8-6-14は……?
なんと驚きの29,835,250円!!(改めて言いますが、同着です。配当は半額です。的中票数は1)
つまり、同着でなかった場合はさらに凄まじい配当が飛び出していたことになる。そんな馬鹿な。
後者の配当は3連単、そして公営競技史上の高額配当ランキング堂々の1位を更新し10年近く経つ今も破られていない。前者も当時の地点で6位、2023年8月現在12位の超大穴記録である。
ただ、これだけで終わっていればただの一発屋かもしれない。
しかし、彼女のこの伝説は3年後に再び思い出されることとなる。
ミナレット伝説その2・2015年ヴィクトリアマイルの主役は私!
さて、2014年にはターコイズステークス(当時オープン特別)を勝ち、年が明けてからは福島牝馬ステークス(GIII)5着などを経てから、ミナレットとしては初のGIとなるヴィクトリアマイルの出走を陣営は目指していた。
とは言え、オープン特別を勝っただけの馬なので、簡単には出られない……と思われたのだが、桜花賞馬ハープスターが故障のため引退、さらにデニムアンドルビーが天皇賞からの中1週を避けて回避することとなり、登録順でいうと18番目の椅子に滑り込んだ。
しかし、陣営は木曜日まで騎手を決めておらず、木曜日になってある騎手に騎乗依頼をすることとなった。
その騎手は江田照男騎手。
江田と言えば、過去日経賞でテンジンショウグンやネコパンチ、スプリンターズステークスでダイタクヤマトで大波乱を起こした「穴男」の異名を取る騎手である。
そして、レース前の金曜日にミルファームの関係者が伊藤大士調教師にミナレットは無印でしたというLINEを送った際、伊藤調教師からは、「それは無印という立派な印です!頑張ってください」という返信が帰って来たという。
そして、迎えたレース当日。
8枠18番という最後のゲート入りだったミナレットはロケットスタートを決めるとそのまま江田騎手とともに大逃げを打った。
2番手を追走するのはケイアイエレガント、その後ろにはレッドリヴェール・リトルゲルダ、さらにその直後にヌーヴォレコルトとストレイトガール……このような流れでレースは進んでいった。
そして、前半1000mをミナレットは56秒9という結構なハイペースで飛ばしていた。
ところが、直線に入りファンは騒然となる。
ハイペースで飛ばしていたはずのミナレットが止まらないのである。
いや、正確には止まりつつあったのだが逃げ切ってしまいそうな勢いだった。
さらに2番手のケイアイエレガントも止まらないどころか、人気のヌーヴォレコルトとディアデラマドレも伸びない……という、どう考えても大波乱が起きそうな展開である。
最後はケイアイエレガントがミナレットを差し切ったところを、さらにストレイトガールが差して1着となり、2着ケイアイエレガント、3着ミナレットと入線。
馬番順では5-7-18という順番だった。
そして、10分後にファンはその配当に度肝を抜かれることとなる。
まず、配当として5-7-18は2,860,480円と出ていた。
あれ?安くね??と思った方。
これは3連単ではなく3連複です。(ちなみにこの3連複の配当は歴代4位(現5位)の記録である。的中票数は759)
では、3連単の5-7-18は?となりそうであるが……その配当が、20,705,080円という、歴代2位(2021年8月3日現在は6位)の配当が飛び出したのである(当然重賞では歴代1位!)。2008年秋華賞でブラックエンブレムが大穴を空けて以来7年振りの2回目の重賞1000万馬券で、的中票数は196票であった。
さて、メイクデビューでミナレットは3連単の歴代1位と6位の配当を叩きだしているが、この結果、現時点で3連単の1位・2位・6位にミナレットの名前が残るという、とんでもないことになってしまったのである。
というか、そんな馬がもう1回出てきたらそれはそれで大事件である。
二度あることはサンドピアリスなんて言葉もあるが、もしも三度目が起きたらどうなるのだろうか。
ある種のわくわくと恐怖を持ちながらこの馬のレースをその後も見たファンも居たかもしれない。
ミナレット伝説その3・できちゃった婚で引退します!
しかし残念ながら、以後掲示板に載ることも無く2016年5月のレースを最後として同年10月に引退した。
引退したのだが…
ミナレットは近々JRA登録を抹消する予定です。本馬は5/1の前走後北海道に移動しモンテロッソを交配、無事に受胎しました。皆様にはこれ迄 沢山の応援をいただき心から感謝しています。本当に有難うございました。最後はさりげなく引退させていただければ嬉しく思います。
なんと最終レース後、つまりは現役中にモンテロッソと交配を行い、受胎確認後に引退したのであった。
産駒実績
そのモンテロッソとの子は2017年に無事生まれ、競走名「コルニリア」として中央で活躍中である。
2021年3月6日の1勝クラスでは10番人気1着で馬連14,960円(三連単420,940円)、2022年5月28日の2勝クラスでは16番人気3着でワイド21,270円(三連単210,270円 複勝も3,440円ついた)と万馬券を生み出しており、母の後継として穴党の注目を浴びている…かもしれない。
2018年産駒プレカーリー(父マクフィ)は地方競馬を転々としており、勝っても負けても概ね人気通りで推移している。
2021年には父カリフォルニアクロームの牡馬が生まれている。
果たして産駒達は母の血を継ぎ、大穴的な活躍をしてくれるのだろうか?将来が楽しみである。
参考 歴代3連単ランキング(2021年8月3日現在)
太字がこの馬が絡んだものである。なお、ここで「500万円以下」とあるのは現在の「1勝クラス」に、「1000万円以下」とあるのは現在の「2勝クラス」に概ね相当する。
順位 | 日付 | 競馬場 | レース番号 | レース名(区分) | 組み合わせ | 100円あたり払戻金 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2012/8/4 | 新潟 | 5 | メイクデビュー新潟(新馬) | 8-6-14 | 29,832,950 |
(参考) | 2020/1/24 | 大井(地方) | 7 | C1一二 | 7-12-5 | 28,481,550 |
2 | 2015/9/21 | 中山 | 1 | 2歳未勝利戦 | 4-14-5 | 27,929,360 |
3 | 2017/12/3 | 中京 | 7 | 3歳上500万円以下 | 15-14-11 | 22,946,150 |
4 | 2017/12/9 | 中山 | 7 | 3歳上500万円以下 | 3-14-11 | 21,802,320 |
5 | 2021/2/20 | 東京 | 4 | 3歳1勝クラス | 16-6-8 | 20,738,890 |
6 | 2015/5/17 | 東京 | 11 | ヴィクトリアマイル(GI) | 5-7-18 | 20,705,810 |
7 | 2011/2/13 | 小倉 | 4 | 3歳未勝利戦 | 8-3-13 | 19,507,010 |
8 | 2005/10/22 | 東京 | 12 | 3歳上1000万円以下 | 3-11-4 | 18,469,120 |
9 | 2019/2/10 | 東京 | 8 | 4歳上1000万円以下 | 4-6-15 | 18,068,890 |
10 | 2023/8/20 | 札幌 | 7 | 3歳以上牝馬1勝クラス | 10-14-12 | 17,730,000 |
12 | 2012/8/4 | 新潟 | 5 | メイクデビュー新潟(新馬) | 8-14-6 | 14,916,520 |
(参考) | 2008/10/20 | 京都 | 11 | 秋華賞(GI) | 4-1-15 | 10,982,020 |
血統表
スズカマンボ 2001 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*スプリングマンボ 1995 鹿毛 |
Kingmambo | Mr. Prospector | |
Miesque | |||
*キーフライヤー | Nijinsky II | ||
Key Partner | |||
ノワゼット 2001 鹿毛 FNo.1-l |
*ウォーニング 1985 青鹿毛 |
Known Fact | In Reality |
Tamerett | |||
Slightly Dangerous | Roberto | ||
Where You Lead | |||
*ファーディーン 1995 栗毛 |
*ファーディナンド | Nijinsky II | |
Banja Luka | |||
Conquisto | Conquistador Cielo | ||
Gauri | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Nijinsky II 4×4(12.50%)、Hail to Reason 4×5(9.38%)、Mr. Prospector 4×5(9.38%)、Raise a Native 5×5(6.25%)
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関連項目
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