ミニ新幹線とは、新幹線からの列車を既存の路線に直通させる運行方式である。
概要
新幹線(の路線)を200km/h以上のスピードで走ってきた列車が、そのまま従来規格の路線(在来線)に直通運転する運行方式を言う。実験走行で世界最高速574.8km/hを叩き出したフランス国鉄の戦闘機高速鉄道「TGV」のアイディアをパクり…いやモデルにしている。
同じ鉄道なのだからできて当然じゃないか、と思われる方もいるだろうが、実現には障害が多い。
新幹線と在来線では、前者のほうが軌間(線路の幅)が広く車両のサイズも大きいといった違いがある。軌間は鉄道史の古くから直通運転を拒んできた厚い壁であり、車両のサイズはオーバーすると周辺民家やトンネル内壁などに車体がぶつかってしまう。
ミニ新幹線建設では課題の克服を既存設備を生かした最小限の対策で行った。軌間は新幹線のものに合わせ拡幅。そこへ在来線サイズ・新幹線スペックの専用車両を用意し、直通を実現している。ただし最高速度は在来線規格のため130km/hどまりの「新幹線直行特急(=超特急ではない)」として運行され、ミニ新幹線区間のみを乗車する場合は在来線特急料金が適用される。新幹線に直通しないローカル列車も、ミニ新幹線区間では拡幅後の軌間で走れるよう専用に作られた。
ミニ新幹線区間は基本的に全線が新幹線用軌間であるが、やむを得ず在来線の車両が乗り入れなければならない状況も生まれた。その区間に限っては、三線軌条という2種の軌間に対応した3本レールの特殊な線路が敷かれている。
後藤新平と原敬
レール幅だけみれば在来線の1435mm化を支持した後藤新平(伊達藩)と1067mmのままを支持した原敬(南部藩)の争いがあっが、速やかに鉄道を敷設させる案が優勢となり後者が勝利してしまう。このような事情からJRの在来線の一部には元々1435mm設計の区間が存在する。
採用例
現在のところ、JR東日本の東北新幹線と直通する2路線のみで採用されている。
- 奥羽本線 福島~山形~新庄 (愛称:山形新幹線)
東京から山形・新庄へつばさ号が直通運転をしている。 - 田沢湖線・奥羽本線 盛岡~大曲~秋田 (愛称:秋田新幹線)
東京から秋田(大曲で方向転換)へこまち号が直通運転している
どちらの路線も乗り換えなしに地域と東京方面とが繋がったため、鉄道の利用客は航空便が窮地に追いやられるほど劇的に増加した。設備の建設・整備費も非常に安価で、最高のコストパフォーマンスである。
しかしこの方式を全国に広めようとしたところ、地元の土建・利権屋とベタベタのお偉いさん達から猛反発を受けた。
構想
九州新幹線長崎ルート
九州新幹線長崎ルートではミニ新幹線の採用計画もあったが、山形・秋田と違い改軌工事時の迂回路が一部区間で存在しない事などから採用はほぼ見送られている模様。但し、JR西日本がフリーゲージトレインの乗り入れに関しては消極的である事などからフリーゲージトレインの採用見送りの場合は採用される可能性も残っている。
北海道新幹線(函館新幹線構想)
北海道新幹線函館駅 - 新函館北斗駅間に導入する構想がある(函館新幹線構想)。これにより函館駅と同駅が立地している函館の中心部が活性化できるとされる。2005年任意団体北海道交通研究会が提唱。2015年頃地元ニュースメディア函館電子新聞が再び提唱する。2021年元鉄道運輸機構職員によって費用が試算され約80億円と発表される。
ジョイフルトレイン新幹線
ミニ新幹線用車両を活用した観光向け新幹線「ジョイフルトレイン新幹線」が登場している。
とれいゆ
JR東日本が奥羽本線区間限定運用を前提にE3系を観光列車として改造した「とれいゆ」を運行している。
現美新幹線
JR東日本がE3系を種車に現代美術を楽しめる「現美新幹線」を上越新幹線にて運行した。
新幹線電気軌道総合試験車
JR東日本仕様のドクターイエロー車両はE3系をベースに製作され、通称East-iと呼ばれている(新幹線E926形電気軌道総合試験車)。
関連動画
関連項目
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https://dic.nicovideo.jp/t/a/%E3%83%9F%E3%83%8B%E6%96%B0%E5%B9%B9%E7%B7%9A