ミラーサイクルエンジンとは、現状でもっとも熱効率の高いガソリンエンジンである。
概要
ミラーサイクルエンジンを理解するには、まずエンジンの「圧縮比」と「膨張比」を分けて考える必要がある。吸気弁が閉じてから上死点までの容積比が「圧縮比」。上死点から本格的な排気行程が始まるまでの容積比が「膨張比」である。
ほとんどのオットーサイクルエンジンは圧縮比=膨張比であるが、圧縮比を高くするとノッキング・デトネーションといった異常燃焼が発生し、最悪エンジンが壊れる。そこで何らかの方法により圧縮比のみを落とし、膨張比を高く保つことにより熱効率を向上させ、なおかつNoxの生成も抑えこむことによりいわゆるクリーンで燃費の良いエンジンが出来上がることになる。
このエンジンを最初に日本に紹介したのが、元いすゞの技術者であり「究極のエンジンを求めて」シリーズの著者、兼坂弘氏である。彼が提唱したのは、リショルムコンプレッサーと組み合わせ、吸気弁を直前のロータリーバルブにより早閉じしてしまい膨張サイクルを吸気行程内に発生させて圧縮比のみを落とす形式であった。そのままブースト圧を上げていき、その分どんどん弁閉じタイミングを早め圧縮比だけを落とし、最終的に1.5L4気筒のエンジンで3LV8エンジンと同じ出力・トルクを出してしまおう、というのが彼の主張であった。
このエンジンを最初に実用化したのがマツダである。1993年発売のユーノス800に搭載された2.3LV6・KJ-ZEM型エンジンはリショルムコンプレッサーを搭載し、吸気弁閉じタイミングを遅らせることにより圧縮比のみを下げる方式であった(この方式には、カムプロファイルの変更だけで作れるので設備投資が安い、自然吸気式のエンジンでもミラーサイクルに出来る、というメリットもあった)。このエンジンに対し兼坂氏は「遅閉じ式は早閉じ式より効率が悪いが、リショルムコンプレッサーも使っているしまあ合格」と著書でコメントしている。
その後、プリウスでトヨタが、三代目デミオでマツダがそれぞれ自然吸気式のミラーサイクルエンジンを市販している(トヨタは自社のエンジンを「アトキンソンサイクルエンジン」と紹介している)。マツダはSKYACTIV構想の一環として膨張比を14.0にまで高めたP-VPS型エンジンを現行デミオに搭載している。
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