ミリアム・ローザス(Miriam Rosas)とは、「銀河英雄伝説」に登場する”単語の女神さま”である。
概要
外伝「螺旋迷宮」に登場する自由惑星同盟の市民。
宇宙暦788年秋に17、8歳ごろで、髪をポニーテールに括った少女。”730年マフィア”最後の生存者である退役大将アルフレッド・ローザスの孫娘であり、ハイネセン・メープルヒル一七番地のローザス邸に居住していた。
OVAでは青年時代の祖父同様の金髪をポニーテールにしている。
ヤン・ウェンリーの来訪
ミリアムが「銀河英雄伝説」の物語に登場するのは、宇宙暦788年10月、「ブルース・アッシュビー謀殺説」を調査していたヤン・ウェンリーが、メープルヒルの居宅にアッシュビーの盟友ローザス退役大将を訪ねたときのことである。この時、帰り際のヤンがアッシュビーを「ローザス提督の親友」と評した言葉に、ミリアムは強い否定を返している。ミリアムは、ブルース・アッシュビーという男にたいし、常に否定的であった。
彼女が言うには、アッシュビーはローザスの武勲を偸んだのだ、ということであった。これは本人自身も「酷いこと」「無責任な意見」と認めるたぐいのものではあったが、ヤンとしては調査のためにどんな意見でも集めておきたいところであり、その意見にはなんらかの根拠があるのか、と尋ねている。しかし、ミリアムは「自分で調べたらいかが、憲兵さん」と皮肉を返すのみであった。
次に二人が出会ったのは、ローザスの葬式においてのことである。この場でミリアムは、ヤンの意見に半ば同意して「七三〇年マフィアの面々が、それぞれの人生に満足し、意義を見いだすのは、彼らにとっての真実でしょうよ」と答えながらも、こう続けた。「だけど、客観的な事実として、彼らの正当な権利が侵犯されているとしたら、それを見すごすのは、不公正というものだわ」と。彼女は、当事者の主観ではともかく、客観的には730年マフィアの各人に帰されるべき評価までもが不当にもアッシュビーひとりに集中している、というのである。
「参謀の功は司令官に帰す」といった一般論ではない、とミリアムは主張したが、結局、二人はそれ以上の意見を交わすことなく別れた。翌789年1月、ミリアムから息災を知らせる手紙を受け取ったヤンは、彼女の意見について、やはり「特殊論のよそおいをした一般論であったのだ」と感じている。一将功成りて万骨枯る、指揮官はつねに兵士たちの武勲に拠って立つ存在であると自覚すべきなのだ、と、そう思いながら……。
家族
祖父は前述の通り退役大将アルフレッド・ローザスであり、祖母は宇宙暦745年にすでに死去している。また、ローザス死去の時点でその遺族がミリアムのみとなっていたことから、両親もそれ以前に死去していたものと思われる。
これら家族とは別に、ミリアムの15歳年上で商船の機関士をしている婚約者がいる。特段の才能も美貌もないが篤実であるとしてローザスが選んだものであった。
補遺
ローザスとふたり暮らしていたメープルヒルの邸宅には愛着があったようで、ローザスの軍部葬は彼女の強い要望によりローザス邸で行われた。ローザスの死因は睡眠薬の過剰服用であったが、ミリアムに累がおよばぬよう、覚悟の上での服用であることを文書に遺している。
アッシュビーの評価について、ヤンと会話する時のミリアムには、しばしば理屈っぽいところがあった。ヤンは、「この少女を相手にしていると、言葉の持つ意味や定義を、ひとつひとつ検討し、再確認せずにはいられなくなる」と表現している。この時ヤンがうっかり頭に浮かべかけながらも、賢明なことに口には出さずにすませた端的なミリアム評が「単語の女神さま」であった。さすが名将は引き際を心得ておられる
関連動画
関連項目
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