ムービースターとは、 |
1800mでレコードを連発した快速と天皇賞(秋)での実況が有名。
主な勝ち鞍
1991年:金鯱賞(GIII)、北九州記念(GIII)
1992年:中京記念(GIII)
1993年:中山記念(GII)
経歴
1986年、父ディクタス・母ダイナビームの仔として誕生。
父ディクタス×母父ノーザンテーストは前年生まれのサッカーボーイ、後にはイクノディクタスといった名馬を輩出した当時の有名ニックス。
小柄ながらムービースターの名にふさわしい流星の端正な容姿と、確かな実力を持った快足馬で、
主に芝中距離の重賞戦線で活躍した名脇役である。
1988年9月にデビュー戦を勝利で飾るもその後は鳴かず飛ばずで、4歳時(現3歳)神戸新聞杯にてオサイチジョージの3着に入ったのが目立つ程度。
本格化したのは1991年の6歳時(現5歳)で、条件戦好走を続けた後、格上挑戦の金鯱賞にてラッキーゲラン・ホワイトアロー・イクノディクタスといった実力馬を相手にコースレコードで差し切り勝ち。
さらに次戦の北九州記念もイクノディクタスやヌエボトウショウを相手に、またまたコースレコードで差し切り勝ち。
一躍秋のG1戦線の有力候補となるが、本番ではいまいち伸びきれず天皇賞秋・マイルチャンピオンシップと大敗した。
以降は芝マイル~中距離重賞の常連となり、翌1992年春、中京記念では横一列の直線から抜け出し重賞3勝目。さらに安田記念では最後方から猛然と追い込むもラスト100mで失速、それでも10番人気ながらヤマニンゼファーの3着と好走し初めてG1の掲示板に載る。
ムービースターのハイライトのひとつが同92年の天皇賞・秋である。
ダイタクヘリオス、メジロパーマーの馬鹿コンビによる高速逃げによりトウカイテイオーを初めとした先行馬が総崩れになる中で脚を溜め、得意の後方一気の爆発力を見せるが、同じく待機策をとったレッツゴーターキンには及ばず2着。
しかしこの大荒れのレースとフジテレビの三宅裕司アナによる
「一番外からレッツゴーターキン、レッツゴーターキン、レッツゴーターキンムービースター、レッツゴーターキンムービースター、ヤマニングローバル、ヤマニングロバル、レッツゴーターキンだ!!」
の実況はファンに強烈なインパクトを与え、ムービースターといえば同レースを思い出す人は多い。
翌1993年も8歳(現7歳)にして現役を続行。ヤマニンゼファー等豪華メンバーが揃った中山記念では、ツインターボによるハイペースを見越して後方待機、直線シスタートウショウが抜け出したところで、実況の三宅アナを「あっという間に差し切った!!」と驚愕させた鬼脚を披露し、またしてもコースレコード勝ち。このレコードは1975年のナスノチグサ以来、実に18年ぶりの更新となった。
8歳で58kgを背負いながら実力馬を撫で斬りにしたこのレースが、彼のベストレースと言って良いかもしれない。その後はOP戦を1勝したのみで、同年の六甲ステークスを最後に引退した。
後方からの抜群の切れ味を武器に通算成績50戦9勝で重賞4勝。うち5勝は芝1700・1800m、さらにうち3勝でコースレコードを記録するという、同条件のG1が無いことが惜しまれる名馬であった。
その後
引退後は種牡馬となり、名にちなんだ映画・俳優系の名前の子供達がデビューするも(マイネルロングラン、ホープフルアクター、ハリウッドスターなどなど)、自身のような活躍馬は輩出できず2006年に種牡馬を引退した。
種牡馬引退後は岩手県の湯澤ファームにて余生を送る。ここで愛嬌を発揮し、やんちゃ且つ優しい振る舞いが競馬を知らない人をも惹きつけ、皆に「ムー」と呼ばれる人気者になる。
晩年も一度立ち上がれなくなってから持ち直すなど流石というところを見せたが、2016年10月10日に老衰で亡くなった。オーナー、元スタッフ、熱心なファンといった多くの人々が全国から駆けつけるのを待ってから、皆に見守られて静かに息を引き取る立派な最期だったという。
現役時代だけでなくその後も「ムービースター」の名にふさわしい、魅力に溢れた愛される馬だった。
湯澤ファームでムービースターが過ごした馬房は彼を記念して、今でも他の馬が入ることなくそのまま残されている。
血統表
*ディクタス Dictus 1967 栗毛 |
Sanctus 1960 鹿毛 |
Fine Top | Fine Art |
Toupie | |||
Sanelta | Tourment | ||
Saranella | |||
Doronic 1960 鹿毛 |
Worden | Wild Risk | |
Sans Tares | |||
Dulzetta | Bozzetto | ||
Dulcimer | |||
ダイナビーム 1979 栃栗毛 FNo.21-a |
*ノーザンテースト 1971 栗毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Lady Victoria | Victoria Park | ||
Lady Angela | |||
*ビーチマスト 1967 鹿毛 |
Hormbeam | Hyperion | |
Thicket | |||
Panalady | *パナスリツパー | ||
Lady Cham | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Lady Angela 4×5(9.38%)、Hyperion 4×5(9.38%)
関連動画
関連項目
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