曖昧さ回避の記事
メイスとは以下のものを指す。
- メイス(武器) - 棍棒の一種。中近東発祥の武器。殴打用の先端と、柄によって構成される。
- 鉄血メイス - テレビアニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の主役機ガンダム・バルバトスの装備するメイスの通称。該当記事参照。
- メイス(人名)
本記事では、1.について解説する。
解説
日本語では鎚矛、中国語では錘と表記される。発祥はオリエント(中近東)地域という説が有力である(なお、古代中国の殷王朝でも類似品が存在したがこちらはまだ祭器に近かった)。
丈夫な木製の棒の先に、金属塊や石などを取り付けた武器(後に欧州やイスラム地域等の広い地域で全金属製タイプも出現)。重量は約1.5kg程度であり、全長は片手用60~90cm、両手用ならば100cmを超えるが、どちらかといえば片手用のものが多い。その歴史は長く紀元前1万年前から中世の終わりまで世界各地で運用された非常に息の長い武器である。
原始的なメイスは、キャップ状に形成した土器を木の棒の先にかぶせた物だと考えられる。作りやすかったため、青銅器時代でも冶金技術や加工が低かった頃まで有力な武器として重宝された。
その後、加工技術や冶金技術が進歩し、丈夫な接合部を持った戦斧や短剣、革製の鎧が生産可能になるとメイスで有効打を与えるのが難しくなり、一旦ここで武器開発の本流から外れる。
メイスが復権したのは6~8世紀頃の中東地域である。この頃になると全身を覆う鋼鉄製の鎖帷子や小札鎧が出現、騎兵を中心に急速に普及し、従来の刀剣や槍が通用し辛くなったため、このような鎧を着込んでいても殴り倒しやすいメイスが再び注目され瞬く間に、武器の本流に返り咲くことになる。
なお、中世ヨーロッパにおいて戦闘に参加する聖職者は「血を流す事を禁じる」という戒律により刀剣や槍を武器として使用できないからメイス(鈍器)を用いたという逸話があるが詭弁でありデマである。実際の聖職者達も騎士と変わらぬ武装をして戦っていた。
「血を流す事を禁じる」という戒律は聖職者が戦闘に積極的に参加する事そのものを禁じており、鈍器だから良いという問題ではない。
その他の地域
- 中央アジア
中東地域からの伝播かどうかは不明だが、ポピュラーな武器。主に10~14世紀にかけて遊牧民の重装騎兵(貴族)が短槍・刀剣と共に携帯され使用された。 - 東アジア
中華では錘或いは骨朶(こつだ)とも呼ばれる。既に殷王朝(紀元前1520~紀元前1030年頃)に出現しているが、この頃はまだ祭器の類いであり、武器としては隋王朝・唐王朝から徐々に注目されていき重装甲化が最高潮に達した宋王朝に隆盛を迎えた。その後の明・清王朝では火器の発達などに伴い軽装化が進み下火となった。(なお、日本での使用状況は不明。) - 東ヨーロッパ
東ローマ帝国の頃、イスラムの高い技術力や文化を早期に取り入れたため、西ヨーロッパと比較して重装化が進み、メイスもすぐにポピュラーな武器となっていった。後に全金属製のタイプも出現し、特権階級の武器であると同時に権力の象徴としての側面もあったため豪華な装飾が施される場合が多かった。 - 西ヨーロッパ
別名ホーリー・ウォーター・スプリンクラーと呼ばれることもある。(由来は殴りつけた際に敵の血がスプリンクラーのように飛び散るため)
11世紀になるまではあまり知られてなかったようであり、棍棒の方は知られていたが鈍器系統の武器は野蛮人や卑賤の武器とされ、当時の騎士達からは敬遠された。武器として注目されたきっかけは十字軍遠征においてイスラム教徒の軍隊と交戦しその有用性を身をもって経験したからだという説がある。武器として注目されるとハッテンしていき、やがて全金属製の物も現れる。また特権階級の武器でもあったためよく豪華な装飾が施された。
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関連項目
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