時代が求めた16ビット |
「メガドライブ」とは、1988年10月29日にセガから発売された家庭用ゲーム機である。
概要
1983年に家庭用ゲーム機に参入したセガであったが、毎年のようにモデルチェンジを繰り返すものの、任天堂との差は広がる一方であった。同じ8bitでは勝てないと判断したセガは、16bitの新型ゲーム機の投入を決断した。
当時のアーケードゲームは16bit MPUのMC68000が主流であり、次世代機もMC68000の採用を前提とすることとなった。しかし、セガが想定していた納入価格は300円であり、当時まだ需要が旺盛で値下げする必要性を感じていなかったモトローラには断られてしまう。それでも、シグネティックスとの間で交渉がまとまり(30万個の買取保証)、無事MC68000を搭載出来ることとなった。
グラフィックチップ(VDP)はセガマークIIIに引き続きヤマハが開発にあたり、サウンドチップには同じヤマハのFM音源を採用する計画であったが、FM音源の方は一時暗礁に乗り上げてしまう。安価な家庭用ゲーム機から知的財産が流出してしまうのではないかと、楽器事業部から抵抗されたのである。それでも何とか説得に成功し、ついにメガドライブの仕様が固まった。
ゲーム機本体は、CDプレーヤーをイメージしてソルクスという会社がデザインした。後々CD-ROMドライブが接続されることも想定してのものだったという。
当初は自社開発ソフトの出来の悪さにハードの設計を間違えたのかと頭を抱えたが、テクノソフトが『サンダーフォースII MD』を提げて参入したことで、設計そのものが間違いではなかったと胸をなでおろしたそうである。
北米での名称は「GENESIS(ジェネシス)」。欧州やアジアでは日本と同じ「MEGA DRIVE」という名称で売られた。
セガ史上最も成功した家庭用ゲーム機
出荷台数は全世界3074万台(日本358万台)。16ビット機(SFC・MDでほぼ寡占)のシェアは日本国内では約20%とこれでも前世代より大きく伸ばしたが、全世界トータルとしてみると40%弱(メガドライブ・SNESが激戦の日本以外だと45%とほぼ互角・SNESを打ち負かした地域も)と、歴代セガハードの中では抜きんでている。日本ではRPGがダントツ人気のジャンルでメガドライブはRPGをそろえられず苦戦したが、海外特に北米ではスポーツゲームがダントツ人気であり、SNESとのマルチタイトルだとSNES版より売れる傾向があった。
代表作は何と言っても『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』。ジェネシスもソフトが揃わず当初は苦戦したが、ソニックの投入が契機となり、北米市場で一気にシェアを伸ばすこととなった。
だが、日本ではそこまでのヒット作とはならなかった。サードパーティも増えてセガマークIIIとは比べ物にならないほどソフトは増えたが、結局日本での劣勢を最後まで覆すことが出来なかった。
晩節を汚し、大成功した海外市場を失う……
末期にはメガCDやスーパー32Xといったメガドライブの拡張システム(3つもACアダプターが必要、メガタワーと比喩された)も発売したが、高価すぎてあまり受け入れられなかった。特にスーパー32Xは、次世代機だったセガサターンの発売と重なる。結果セガサターンは日本国内ではセガ史上もっとも親しまれた家庭用ゲーム機だったものの、海外の販売台数は、セガ歴代ハードの中で最も普及したメガドライブの1割程度の約300万台と大ブレーキ。シェアをプレイステーションにそのまま奪われる結果になってしまった。
しかし、未だにメガドラが現役の国があった
ただし、南米のブラジルでは、2012年に入ってもほかの次世代機を差し置いて、1990年代後半から現役の家庭用ゲーム機である(最新機種はセガからライセンスを受けた、ブラジルのゲームメーカーが製造販売を行っている。1990年代後半まで当国では現役であったマスターシステムも同様)。どうやらそのからくりには、自国産業保護のため他国製の製品に莫大な関税がかけられるから、高価となり普及しにくい(例としてPlaystation3のブラジルの販売価格は日本円換算で10万円前後と日本や北米の4倍位)。なので、ブラジル製となったメガドラは20年以上たった今でも現役でいられるわけなのだ。
時代を超えてのコラボ
なんと2014年夏、タカラトミーアーツの新ブランドから、トランスフォーマーとのコラボ商品「メガドライブメガトロン」の発売が発表された。
あの破壊大帝がメガドライブに変形する……!
そして同年12月、ニンテンドー3DSの本体更新で追加されたメニュー画面のテーマ変更機能の配信コンテンツとして「セガハード・メガドライブ」が配信。
ニンテンドー3DSのメニュー上画面に初期メガドラパッケージデザインを意識したメガドライブロゴと線画のメガドライブが表示され、しかもメガCDの起動デモのBGMが流れるという粋な計らいも見逃せない!
しかし、これだけでは終わらなかった…。なんとゲームソフトを起動すると『セーガー』のボイスが鳴るのである。それも起動時の『NINTENDO3DS』ロゴが表示しきるところまでという始末。一部からは『セガが任天堂ハードを侵略した』『任天堂は懐が深い』と評価されたほどである。
これは企画したセガの奥成Pによると、『3DSにメガドライブのロゴ等をデコレーションしている人がいた』事からメガドライブタイトルも収録したセガ3D復刻アーカイブス発売に合わせたものであるという。
メガドライブファミリー
- 初代機
日本では1988年10月発売。AV出力ケーブルはマークⅢのものが使用できるが、そのためにAV端子からの音声はモノラルのみ。その代わり、本体前面にヘッドホン端子があり、そこからステレオサウンドを楽しめる。…のだが、製造ロットによってはノイズだらけ。
初期ロットでは色の滲みが発生していたため、小さな基板(小亀ボード)を載せて解決していた。 - テラドライブ
1991年5月発売。セガを代表する「バカハード」の一つである。メガドライブとIBM PCを合体させた画期的なパソコンであり、PC側とメガドライブ側でバスも共有されていてメガドライブをクロップアップさせる隠し機能があった。PC-9801に比べれば確かに安価だったが、当時の日本にしても明らかに型落ちな80286を搭載したため海外のPCゲームをプレイするには力不足だった。
メガCDへも対応せず、メガドライブとPCを一体化したメリットを活かすソフトもほとんど発売されないまま5万台で販売を終えた。[1]
あまりにも売れないためセガは本機を途中でキャンセルしたが、IBMとは「これだけの数を納入する」という契約が事前に結ばれており、揉めに揉める事態となった(セガも「今どき80286はないだろ」と反論)。この手打として、セガはアーケード基板にIBMのCPUを採用することが決まった。MODEL3基板にPowerPCが搭載されているのは、実はこれが理由なのである。 - Amstrad Mega PC
1993年には欧州と豪州で発売された。こちらはライセンスによるものでセガからの販売ではなかったが、単に2つのハードが相乗りしたものでテラドライブより機能的に劣ったことや、PC側のCPUが80386SXという当時にしては型遅れだったことなどの要因からヒットしなかった。 - メガCD
日本では1991年12月発売。MD本体よりも高速なMPUを搭載し、さらにグラフィックの拡大縮小回転機能のためのDSP(デジタルシグナルプロセッサー)やPCM音源(8音送出可能)など、拡張機能が充実。しかし最も望まれた同時発色数の増加がなされず、ソフトも揃わなかったことから低調に終わった。初期の小売価格は49800円だった。 - ワンダーメガ
日本ビクターとセガから1992年4月に発売された、メガドライブ/メガCD一体型機。MIDI出力、S端子などを備える。79,800円という超高価格機であり、当然全く売れなかった。翌1993年7月に廉価版のワンダーメガM2が59,800円で発売された(こちらはビクターのみ)。後述のスーパー32Xを接続した状態での蓋の開閉が出来ないため、ビクターに送って改造してもらう必要があった。 - メガドライブ2
日本では1993年4月発売。初代機の廉価版で、小型化されていたり、本体のヘッドホン端子が廃止されている。AV出力端子が変わり、マークⅢ・メガドラ初代機のものは使えない。価格12800円。 - メガCD2
日本では1993年4月発売。同時発売のメガドライブ2に伴う小型化。価格29800円。 - メガジェット
本体・6ボタンコントローラ一体型のメガドライブ。もともとは旅客機内の貸し出しサービス用として、日本航空と共同開発したもの。一応見た目は携帯機ではあるが、電池やバッテリーパックは対応なし。1994年3月には15000円で市販された。 - レーザーアクティブ
1993年8月にパイオニアより発売された、レーザーディスクプレイヤー。専用パックをつけることで、メガドライブとメガCDのソフトプラスメガLDソフトを楽しめる。(別の専用パックをつければPCエンジンシリーズとLD-ROM2ソフトも楽しめる。) - メガCDラジカセ CSD-GM1
アイワから1994年9月に発売された、CDラジカセ一体型のメガドライブ。当然、メガCDとしても動作する。そろそろセガサターンも出ようかという時期に45,000円という高価格で発売されたということもあり、全く売れなかった。本体にスピーカーを内蔵しているにも関わらず、音質も最悪だったそうだ。 - スーパー32X
メガドライブのパワーアップアダプタで、セガサターンにも使われているSH-2 CPUを2基搭載し、同時発色数は32768色。これによりメガドライブが32ビット機になり、当時大ブームのバーチャファイターも楽しめる。(メガドラ + メガCD + スーパー32X(俗にいうメガタワー仕様)だと、Z80、68000x2、SH-2x2とCPUが5基となり、とてもユニークな仕様のシステムになる。ただし、動作させるにはACアダプタが3個も必要になるため、コンセントへの差し方等に苦労を強いられる。)
メガドライブの後継機である「セガサターン」の開発が進行する中でもGENESISは北米で売上を伸ばし続けていたため、アメリカ法人の「サターンへの切り替えは時期尚早」という意見に応えて急遽開発されたスーパー32Xは北米で1994年11月に発売、日本では同年12月に発売されたが、北米でも1995年5月にセガサターンが投入されたことでユーザーやソフトメーカーがどちらに注目すべきか迷うことになったため、結局1995年内に展開を終了した。[2]
令和初の新ハード・メガドライブミニ
セガサミーが、2018年4月に開催した「セガフェス2018」で「メガドライブミニ」を2018年内に発売することを発表した。2018年というとメガドライブ発売30年に当たる。プレスリリースによると、当時の専用カートリッジは差せないが、当時のデザインを再現しつつ約1/4のサイズになった本体をテレビにつなぐだけで、本体に内蔵された多数の作品をプレイできるの事。ただ、この発表には落とし穴があった。
実は日本向けのみでの発売の発表であり、日本よりはるかに市場規模が大きかった北米や欧州向けの発表はなかった。当然海外のファンに「何でこっちでリリースしないんじゃコラァ!」などと反響が大きく、丸30年になる約1か月前の9月に2018年内発売を白紙に戻した。
その後の2019年。年号が令和に変わろうとしている矢先の4月にセガは改めて「メガドライブミニ」の発売を発表。当時の仕様を一から設計し直した上で海外向けの需要にも対応し、”令和初の新(ゲーム)ハード”の名のもとに40+新規2タイトル(新規製作の『ダライアス』と、幻となったが今回新たにアーケード版を移植し直した『テトリス』)収録をアナウンスした。さらにメガドライブミニのサイズに合わせたメガCD・スーパー32X・ロックオンカートリッジ・ゲームカートリッジの装飾品セット「メガドラタワーミニ」の同時発売も発表している。どうして作った。セガらしいけど
主なメガドライブのソフト
ハードメーカーの垣根を越えて任天堂のWiiのバーチャルコンソールでもプレイ可能なソフトがあるので詳細はググること。
- スペースハリアーII
- サンダーフォースII/III/IV
- アフターバーナーII
- ダライアスII
- フェリオス
- 武者アレスタ
- カース
- XDR
- バトルマニア
- スーパーモナコGP
- ハードドライビン
- バーチャレーシング
- ピットファイター
- ストリートファイターII
- モータルコンバット
- ベアナックルシリーズ
- おそ松くん
- 大魔界村
- ゴールデンアックスシリーズ
- ソニック・ザ・ヘッジホッグシリーズ
- ガンスターヒーローズ
- モンスターワールドシリーズ
- ソード・オブ・ソダン
- ファンタシースターII〜IV
- スーパーハイドライド
- ソーサリアン
- シャイニング・シリーズ
- ランドストーカー
- レンタヒーロー
- スーパー大戦略
- アドバンスド大戦略
- 忍者武雷伝説
- バハムート戦記
- ハイブリッド・フロント
- ヘルツォーク・ツヴァイ
- ダイナブラザーズシリーズ
- ぷよぷよ
- コラムス
- エコー・ザ・ドルフィン
- リスター・ザ・シューティングスター
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
- ゲーム
- セガ (SEGA)
- MD (MEGA DRIVE)
- サンダーフォース
- ファンタジーゾーン
- アレスタシリーズ
- 全ソフトカタログ
- 播磨体操第一
- 据置型ゲーム機一覧
- Hi☆sCoool! セハガール - セガ原作・監修のCGアニメ。擬人化されたメガドライブが主役の一人として出演
- メガドライブミニ
関連リンク
脚注
- *「ホビーパソコン」とは何だったのか? その歴史をその言葉の始まりから調べてみた 2023.11.22
- *【連載】セガハードストーリー第5回 家庭用ゲーム機新時代の幕開け『セガサターン』 | セガ 2018.3.1
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