メガネウラ(Meganeura)とは、かつて地球上に存在した最大級のトンボである。
概要
約2億9000万年前の地球に生息していたとされるトンボで、石炭紀末期頃に出現。厳密にはトンボとは別の進化を遂げた昆虫(オオトンボ目)らしい。名前の由来はメガ(巨大)+ネウラ(翅脈)。つまり巨大な翅脈を持つ生物という意味である。別名ゴキブリトンボ。ひでー名前。
1880年、フランス東南部のコマントリーにある炭鉱から化石が初めて出土。古生代炭鉱紀後期の地層で見つかったという。1885年にメガネウラと命名された。これを皮切りにアメリカ大陸でも化石が次々に発掘されるようになり、生息域はヨーロッパ各地やアメリカ大陸と推測されている。1937年、カンザス州エルモで発掘された化石は全幅71cmと巨体だった事から、メガネウラが巨大生物だと判明した。一方でヤゴの化石は未だ見つかっておらず、全容は明らかになっていない。
生態
全長は70cmに及び、現代で最も大きいテイオウムカシトンボ(約16cm)を遥かに上回る。例えるなら、羽根を広げたカモメと同じサイズである。当時の地球は酸素濃度が高かった(32%)ため、昆虫たちは軒並み巨大化。メガネウラも進化して巨大になった。濃い酸素が巨体の維持を可能としていたのだ。メガネウラには肺が備わっており、酸素を効率よく活用して大空を駆け巡っていた。
現代のトンボ同様、メガネウラにも複眼が備わっており360度全方位を見渡す事が出来た。獲物を捕えるための前足やアゴは強靭に発達しており、これらを使って狩りをしていた。昆虫の中では大変凶暴で、飛行性昆虫の中でも指折りの実力者だった。食性は肉食で主に爬虫類や他の昆虫類を捕食し、時には共食いさえしたという。石炭紀の空にはまだ天敵の鳥がおらず、まさにメガネウラの天下であった。食物連鎖の頂点に立ちながら悠々自適に暮らしていたものと推測される。ただ、トンボのようにホバリングしたり、空中で停止するような飛び方は出来なかった。トンボの例に漏れず、幼虫はヤゴである。水中で魚や両生類を捕食しながら変態の時を待ち、やがて成虫となる。
一時は大空を支配した彼らだったが、石炭紀が終わると一気に終焉へと導かれてしまう。環境の変動により酸素濃度が低下。一説によると火山の噴火があったらしい。こうなると巨体を維持できなくなり、多くの個体が死に至った。さらに生息域だった森に水が浸入してきた事で生きる場所を奪われ、その数を急速に減らしていった。空の王者と言えど、自然には勝てなかった。何だかんだでペルム期初期までは生きていたが、やがて絶滅。自然淘汰されてしまった。一方、2009年の最新の研究ではペルム期末期まで生存していた可能性が出てきている。
おまけ
ちなみにゴジラシリーズの怪獣メガヌロン、メガニューラ、メガギラスはこのメガネウラをモチーフにしている。石炭紀から現代に迷い込んだ成虫メガニューラが卵を産んだ事で渋谷が大騒ぎになる。ゴジラと戦った怪獣の元ネタという事で、特撮ファンには一定の知名度を得ている。
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関連項目
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