メガロとは、ゴジラ映画第13作『ゴジラ対メガロ』(1973年)に登場する昆虫怪獣である。
概要
海底王国シートピアの守護神である昆虫怪獣。見た目は両手に「半分に割れた」ドリルを持つカブトムシのようであるが、デザインには他にもセミなど複数の昆虫の要素が取り入れられている。その特徴的で悪そうな見た目は、『ゴジラvsモスラ』(1992年)に登場したバトラなどそれ以降の昆虫怪獣のデザインにも影響を与えている。
地中では半分に割れた両手のドリルを合わせて一つのドリルにして進む他、空中ではカブトムシのような羽を広げて飛行することができる(戦闘中などの緊急時には羽を広げなくとも飛行可能)。また跳躍能力は10キロメートル、水中では600ノットで進むことができると言われる。
武器は額の角から発射する(キングギドラの引力光線にそっくりな)レーザー殺獣光線と、口から発射する地熱ナパーム弾である。口からや火炎やビームを発射する怪獣はたくさんいるが、ミサイルはともかくとしてナパームを発射するのは非常に珍しい。しかも生身で。
子供たちに人気の高い昆虫をモチーフにデザインされ、バッタのように跳ねるなど面白く見せようとする演出が行われるものの、残念ながら人気は振るわなかった。しかし、海外ではMegalonと呼ばれ、何故か人気が高い。また、SFCゲーム『ゴジラ怪獣大決戦』でも強キャラとなっており、優遇されている。
劇中での活躍
300万年前に太平洋に沈んだレムリア大陸人(本作ではムー大陸が大西洋、レムリア大陸が太平洋に沈んだとされている)の生き残りであるシートピア海底王国では、地上人の核実験により300万年間続いていた平和が脅かされ、ついには197X年にアリューシャン列島のアスカ島で行われた第二回地下核爆発実験(ゴジラたちの住む南洋にある怪獣島に影響をあたえるほど大きな爆発力であった)によって北地区が全滅。そのためシートピア司令であるアントニオは地上人に報復するためやむを得ず守護神であるメガロを目覚めさせ、日本の北山湖(ロケ地は富士五湖の本栖湖)に地割れを作って侵攻を開始した。
アントニオの命令により地上に現れたメガロはまず北山湖のダム(ロケ地は奥多摩湖の小河内ダム)や橋を破壊。さらに二人のシートピア工作員が、日本の青年科学者・伊吹吾郎が開発した電子ロボット・ジェットジャガーを奪取し、メガロの東京侵攻への先導に使用する。
しかし、伊吹たちによってシートピア人の二人は倒され、ジェットジャガーが取り戻されてしまうと水先案内を失ったメガロは行き先を見失い、ピョンピョンと飛び跳ねる始末であったが、やがて周囲の都市や工業地帯を手当たり次第に破壊を開始。怪獣島にゴジラの増援を依頼しに行って戻ってきたジェットジャガーは、突然自分の意志を持って巨大化。メガロとの戦闘を開始した。突然目の前でジェットジャガーが巨大化したため、メガロは唖然としていた……。
特に戦闘用のロボットではないジェットジャガーは当初劣勢であるものの、徐々にメガロが押されてきたため、アントニオはイースター島のモアイ(本作ではレムリア人の通信施設という設定)で前作『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』に登場したM宇宙ハンター星雲人に協力を要請。前作にひき続いてサイボーグ怪獣ガイガンが派遣され1対2の攻防になって追い詰めていたところに怪獣島よりゴジラが到着、ついに正義の怪獣と悪の怪獣によるタッグマッチの実現となった。
メガロとガイガンは当初優勢で、メガロは両手を打ち鳴らしたりおしりを叩いたりしてゴジラを挑発し、自慢のナパームで攻撃するが、やはり相手は怪獣王。やがて劣勢になって行き、ついにはジェットジャガーに右腕をへし折られたガイガンが途中で宇宙に逃げ帰ってしまう。頼みのパートナーを失ったメガロはジェットジャガーに羽交い締めにされてゴジラのへんてこなドロップキックを何度も受けるなどのめった打ちに会い、ほうほうの体で地上へ登場した際の地割れへと逃げこむ。それを見たアントニオは全部の地割れを閉鎖し、シートピアの侵攻は潰えるのであった。
以降の作品でメガロが登場することはなく、シートピア海底王国がどうなったのかも不明である。そもそも原水爆実験の被害者であるゴジラ(本作では語られていない)が、同じく原水爆実験の被害者であるシートピアのメガロを撃退するというのが皮肉な作品ではあるが、たとえどんなことをされても暴力で返してはいけないという教訓なのかもしれない……。
造形
デザインは井口昭彦だが、造形物は複眼の描き方などがデザイン画とはかなり異なるものとなっている。
気ぐるみは2代目のゴジラスーツ担当である安丸信行がボディを、両手のドリルを後に3代目ゴジラスーツ担当となる小林知己が担当した。角と歯、両手のドリルはFRP樹脂、目はアクリル、背中の羽はお風呂マットなどに使われる硬質ウレタンが使用されている他、羽の葉脈のような血管のような部分は毛糸が使われている。小林は東宝に入社したばかりで、本作が初の造形助手としての参加であった。
また地中進行兼飛行用に1尺サイズのギニョールも造られている。
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関連項目
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