メジェドとは
のことを指す。ここでは1について扱う。
メジェド様とは何者か
何となれば、我は彼等の名を知ればなり。而して我は、オシリスの家に住まう彼等の中に居て、己の眼よりは光を放ちながら、しかも他には見らるることなき打ち倒すものを知ればなり。
死者の書 第17章[1]
メジェドとは、「打ち倒す者」という意味であり、現在ではそれがそのまま神の名として扱われている。
実際に当時メジェドと呼ばれていたのか、あるいはある神の別名だったのか、はたまたある神を形容してこう呼んだのかは不明。
死者の書の中に言及があるが情報量は少なく、詳しいことはよくわかっていない。
しかし、数少ない図像では死者から拝礼を受けていることから神であることは間違いなく、またオシリスの館に住まい、豊穣の神たるハピに対し命令する立場であることが死者の書に書かれており、結構高位の神であるようだ。
あんな見た目だが。
なおメジェドが言及される部分は、死者の魂を害する者どもに対し、オシリスの家に住む「打ち倒す者」の名前を知っているぞ、と脅しをかける呪文であるとされる。つまり死者の守り神と言えるかもしれない。
この他、天を巡回したりその目より光を放ったり口から火を噴いたりする模様。口どこだよ。
メジェド様の外見
大変シュールである。
そもそも死者の書にて記述された内容によれば本来メジェドは不可視であるとされる。
そして死者の書に書かれた姿といえば、 両目が書かれた頭巾か何かから足の先だけ見えている、というものである。
恐らくは不可視であることを表現したものだろうが、それにしたって神様にしては単純すぎるほどの御姿である。
死者の書は要するに、死者の冥福を祈り、天国に相当する楽園アアルまでの道しるべを描いた真っ当な宗教的葬祭文書な訳だが、その中でこのある意味強烈な見た目の姿の神が書かれているのである。
あなたがもしアアルへの道すがら、己の魂を害そうとする者が現れたら彼の名前を呼ぼう。
さすれば目と足だけが覗く頭巾が降臨し、空を飛びながら目から光を放ちその敵をバッタバッタとなぎ倒してくれるだろう。
日本での広がり
かくしてエジプトの人々から信仰を集めていたはずのメジェドだが、こと現代の日本においては3000年分積もり積もったエジプト神話の数多くの神々の中でも大物の神しかあまり知られず、メジェドはドマイナーな神の位置に甘んじていた。
転機となったのは、2012年に東京と福岡にて世界最長の死者の書として知られる「グリーンフィールド・パピルス」が公開されたことである。この「グリーンフィールド・パピルス」にメジェドの姿があったのだ。
このパピルスに記された奇怪な神の御姿は一部の来場者の目に留まり、そこから日本のネットの海に広がりを見せたことでより多くの人々の信仰を集めることに成功した。
そして、2016年にはついに「神々の記」においてアニメデビュー。ネット配信も行われ、さらに多くの人々の信仰を集めるに至ったのである。
なお、「神々の記」で描かれるメジェドは、目と足だけが見える頭巾であり、目から光を放ち敵を打ち倒し、さらには(ラーに掴まれていただけとはいえ)天も駆けるという、大変原点に忠実な御姿となっている。
アヌビスやラー、バステトのようにギャグキャラ化した姿だと思っていた方も多いのではないだろうか(著者もその一人)。
およそ2000年の長き眠りより目を覚まし、人々より信仰を集めるその姿は、まことメジェドの神聖さの表れなのである。多分。
なお全くの余談だが、当の現代エジプトにおいてメジェドの知名度はないに等しい、らしい。
最近は日本からの逆輸入で現地でもじわじわ認知され始めている模様。
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関連項目
脚注
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