メジロティターンとは、1978年生まれの日本の競走馬。種牡馬。芦毛の牡馬。
主な勝ち鞍
1981年:セントライト記念
1982年:天皇賞(秋)(八大競走)、日経賞
血統
父はトウルビヨン系の*パーソロン産駒で史上初となる芦毛の天皇賞馬。だが、授精能力がほとんどなく種なしスイカと呼ばれ、天皇賞馬ながらわずか19頭しか産駒が残せなかった。母はフランスの良血馬で、父がフランスのリーディングサイアー、母はフランスの基礎牝系。自身も競走馬時代にフランスのGII競走(当時)オペラ賞を制している。メジロアサマの天皇賞賞金が2000万円の時代に、メジロ牧場の総帥北野豊吉は2600万円の値で買ったと言われるから相当なものである。日本に持ってくる際には現地で反対にもあった。そんな馬に授精能力がないとされる馬を付けようと言うのは一歩間違えれば狂気の所業であった。
ただ、運命の女神は北野に微笑み、*シェリルは受胎した。その子がメジロティターンである。
メジロ執念の天皇賞馬
1978年、北海道伊達市メジロ牧場にて生誕。1980年の旧3歳時に父と同じ尾形藤吉厩舎へ入厩。
勝利するまでに4戦かかり、春のクラシック二戦には出走出来なかったが、夏ごろから調子を上げていき、条件戦で大差で勝利、更にHTB賞も5馬身差。格上挑戦となったセントライト記念でも勝利を上げた。この時、出走15分前に尾形調教師が死去しており、彼にとってこれが最後の重賞勝利となった。尾形師の長男である尾形盛次調教師の元に転厩したティターンは菊花賞の有力馬となるが、骨折によって休養を余儀なくされた。
休養明けのアルゼンチン共和国杯では敗北したが、日経賞では10馬身差をつけての圧勝。ところが、続く宝塚記念は見どころなく9着に大敗。夏の放牧から明けた後もあっさりと3連敗を喫した。勝つときは圧勝、負ける時は呆気なく、そんな馬だったそうだ。
そんなこんなで重賞4連敗ながら4番人気で臨んだ1982年の天皇賞・秋。3コーナーから順位を上げていき、4コーナーから直線に入ったところで先頭に立つと、他馬の追い上げも届かせず、ヒカリデユールに1馬身半差をつけてゴールを駆け抜けた。記録は3分17秒9のレコード。メジロ牧場にとっては初の自家生産馬による天皇賞勝利。競走馬メジロティターン、騎手伊藤正徳、調教師尾形盛次にとってもそれぞれ親子2代での天皇賞制覇となった。その後の成績は不振に終わり、翌年の有馬記念6着を最後に引退した。
1984年に種牡馬入り。種牡馬入りの同年、「ティターンの仔で天皇賞を勝て」との遺言を残して次の日に豊吉が死亡。天皇賞後の不振もあって人気はなかったが、初年度産駒のメジロマーシャスが函館記念を制する。そして3世代目のメジロマックイーンが菊花賞、天皇賞春を制して、親子3代による天皇賞制覇を成し遂げるにいたった。
その後、目立った産駒は出ず2000年で種牡馬を引退し、2009年10月13日に老衰のため31歳で死亡。父系としてはマックイーンが繋いだが、2006年にティターンより先立つ形で死亡。重賞を勝った産駒はいたもののGI勝利馬は終ぞ出ず、血統保存のためのギンザグリングラスも亡くなって父系存続はいよいよ赤信号が点灯している状況。有珠山の噴火と、所有馬の成績不振から2011年にはメジロ牧場も解散の憂き目に会ってしまった。
だが、メジロ牧場も解散して暫くした2015年、メジロマックイーンによく似た芦毛の馬が、春の天皇賞を1着でゴール板を駆け抜けた。ゴールドシップ ―メジロマックイーンを母父とする馬― である。マックイーンが出した600頭以上の産駒の内、半分近くは牝馬。そこから、母父として4頭ものGI馬(ドリームジャーニー、オルフェーヴル、ゴールドシップ、タイセイレジェンド)を出している。彼らはいずれも種牡馬入りし、オルフェーヴルやゴールドシップに至ってはGI勝利した産駒もいる。まだまだ血統表でメジロティターンの名前、豊吉の執念を見る機会はありそうである。
主な産駒
記事のある馬は太字
- メジロマーシャス (1985年産 牡 母 メジロツシマ 母父 *バウンティアス)
- メジロマックイーン (1987年産 牡 母 メジロオーロラ 母父 *リマンド)
- パリスナポレオン (1991年産 牡 母 メジロキャニオン 母父 *モガミ)
戦績
日付 | レース名 | 競馬場 | 距離 m | 馬場 | 頭数 | 騎手 | 着順 | 着差 | |
1981/1/25 | 新馬 | 東京 | ダ1400 | 良 | 11 | 臼井武 | 3 | ||
1981/2/7 | 新馬 | 東京 | ダ1200 | 良 | 8 | 臼井武 | 2 | ||
1981/2/15 | 新馬 | 東京 | ダ1200 | 良 | 15 | 臼井武 | 2 | ||
1981/3/7 | 未勝利 | 中山 | ダ1200 | 良 | 12 | 臼井武 | 1 | ||
1981/3/29 | 400万下 | 中山 | ダ1200 | 良 | 15 | 臼井武 | 4 | ||
1981/6/13 | 400万下 | 札幌 | ダ1500 | 良 | 10 | 伊藤正徳 | 4 | ||
1981/6/27 | 400万下 | 札幌 | ダ1500 | 良 | 9 | 伊藤正徳 | 1 | ||
1981/7/12 | 800万下 | 札幌 | ダ1500 | 良 | 7 | 伊藤正徳 | 5 | ||
1981/8/9 | 800万下 | 函館 | 1800 | 重 | 12 | 伊藤正徳 | 1 | 大差 | |
1981/8/22 | HTB賞 | 函館 | 2000 | 不 | 7 | 伊藤正徳 | 1 | 5 | |
1981/9/27 | セントライト記念 | 中山 | 2200 | 良 | 15 | 伊藤正徳 | 1 | 1 1/2 | |
1982/4/4 | アルゼンチン共和国杯 | 中山 | 2500 | 重 | 13 | 増沢末夫 | 6 | ||
1982/5/16 | 日経賞 | 東京 | 2500 | 良 | 9 | 伊藤正徳 | 1 | 10 | |
1982/6/6 | 宝塚記念 | 阪神 | 2200 | 良 | 15 | 伊藤正徳 | 9 | ||
1982/8/29 | 函館記念 | 函館 | 2000 | 良 | 14 | 伊藤正徳 | 6 | ||
1982/9/26 | オールカマー | 中山 | 2000 | 稍 | 12 | 伊藤正徳 | 5 | ||
1982/10/10 | 毎日王冠 | 東京 | 2000 | 稍 | 12 | 伊藤正徳 | 5 | ||
1982/10/31 | 天皇賞・秋 | 東京 | 3200 | 良 | 14 | 伊藤正徳 | 1 | 1 1/2 | |
1982/12/26 | 有馬記念 | 中山 | 2500 | 重 | 15 | 伊藤正徳 | 8 | ||
1983/1/23 | アメリカジョッキークラブカップ | 中山 | 2500 | 良 | 14 | 伊藤正徳 | 8 | ||
1983/2/20 | 目黒記念 | 東京 | 2500 | 稍 | 9 | 大崎昭一 | 9 | ||
1983/3/13 | 中山記念 | 中山 | 1800 | 不 | 10 | 大崎昭一 | 4 | ||
1983/4/3 | アルゼンチン共和国杯 | 中山 | 2500 | 稍 | 12 | 大崎昭一 | 4 | ||
1983/5/15 | 日経賞 | 東京 | 2500 | 良 | 7 | 大崎昭一 | 3 | ||
1983/11/12 | オープン | 東京 | 1800 | 稍 | 8 | 伊藤正徳 | 2 | ||
1983/11/27 | ジャパンカップ | 東京 | 2400 | 良 | 16 | 伊藤正徳 | 12 | ||
1983/12/25 | 有馬記念 | 中山 | 2500 | 良 | 16 | 伊藤正徳 | 6 |
血統表
メジロアサマ 1966 芦毛 |
*パーソロン 1960 鹿毛 |
Milesian | My Babu |
Oatflake | |||
Paleo | Pharis | ||
Calonice | |||
*スヰート 1951 芦毛 |
First Fiddle | Royal Minstrel | |
Rueful | |||
Blue Eyed Momo | War Admiral | ||
Big Event | |||
*シェリル Cheryl 1971 鹿毛 FNo.8-c |
*スノッブ 1959 鹿毛 |
Mourne | Vieux Manoir |
Ballynash | |||
Senones | Prince Bio | ||
Sif | |||
Chanel 1961 黒鹿毛 |
Pan | Atys | |
Pretty Girl | |||
Barley Corn | Hyperion | ||
Schiaparelli | |||
競走馬の4代血統表 |
関連動画
関連リンク
関連項目
JRA賞最優秀父内国産馬 | ||
優駿賞時代 | 1982 メジロティターン | 1983 ミスターシービー | 1984 ミスターシービー | 1985 ミホシンザン | 1986 ミホシンザン |
|
JRA賞時代 | 1980年代 | 1987 ミホシンザン | 1988 タマモクロス | 1989 バンブービギン |
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1990年代 | 1990 ヤエノムテキ | 1991 トウカイテイオー | 1992 メジロパーマー | 1993 ヤマニンゼファー |1994 ネーハイシーザー | 1995 フジヤマケンザン | 1996 フラワーパーク | 1997 メジロドーベル |1998 メジロブライト | 1999 エアジハード |
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2000年代 | 2000 ダイタクヤマト | 2001 該当馬無し※1 | 2002 トウカイポイント | 2003 ヒシミラクル | 2004 デルタブルース | 2005 シーザリオ | 2006 カワカミプリンセス | 2007 ダイワスカーレット |
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※1.該当馬無しを除く最多得票馬はナリタトップロード。 | ||
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