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メタノール(Methanol)とは、アルコールの一種である。アルコールランプの燃料やホルマリン漬けの材料として使われている。
概要
メタノールとは、メチルアルコール、メチール、カルビノールなどとも呼ばれるアルコールの一種である。数あるアルコール類の中で、最も単純な分子構造でできていることでも知られている。沸点が64℃と水より低く、揮発性は高い。見た目は無色透明だが刺激臭があり、可燃性である。主に接着剤や合成繊維、塗料、ホルマリンの原料などに用いられている。
吸入や誤飲、皮膚への接触によって体内に取り込まれると、代謝されて毒性の高いギ酸を生成するので、取り扱いには注意が必要である。具体的には、保護メガネや手袋といった保護具の着用、火気厳禁、十分な換気など。また、妊娠や出産・授乳機能に影響を及ぼすため、女性はメタノールを扱う屋内作業場での業務に就いてはならない。
そんなメタノールだが、過去には飲む人が絶えなかった。それは、純粋な酒に比べて価格が安かった(酒税の対象外だった)からである。戦前、戦後の日本において密造酒として流通し、飲用して失明する人が続出した。中には命を落とす人もいた。
漫画・アニメ『じゃりン子チエ』に登場する「ばくだん」という酒の成分はメタノールである。登場人物の台詞で「ばくだんを飲むと目がつぶれる(失明する)」「あんなタチの悪い酒はほかにない」と言われているのはそういった理由からである。失明することから当時は「目散るアルコール」とも呼ばれていた。
現在では毒劇法により劇物に指定されており、規制値を超えてメタノールを含有する酒精飲料を飲用に供することは禁じられているものの、いまだ海外ではメタノールを飲んで病院に搬送される事例や集団死する事例が起きている。昔の日本と同じように、その背景には酒類の価格高騰がある。
メタノールを消毒用エタノールの代わりに用いてはならない。2020年、SARS-CoV-2感染症COVID-19のパンデミックによって消毒用エタノールの需要が増大した際、消費者が名称のよく似た燃料用メタノールを購入するケースが頻発した。見た目が似ている製品もあるため、店員が誤って同じ棚に陳列していたとの報告もある。
メタノールの誤飲などによる中毒の解毒薬として、ホメピゾールやエタノールが用いられる。エタノールが用いられる理由は、代謝酵素への親和性がメタノールよりエタノールのほうが高く、メタノールの代謝を遅らせることができるためである。
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