メタンハイドレートとは、メタンを中心にして周囲を水分子が囲んだ形になっている固体結晶である。
概要
天然ガスの主成分であるメタン分子が水分子のつくるかご状の構造に取り込まれている氷状の物質で、深海の海底面下や永久凍土地帯など、低温で圧力が高い環境下で存在することがわかっている。[1]
日本近海は、世界有数のメタンハイドレートの埋蔵場所である。特に、紀伊半島から九州にかけての西日本の南側の海底が最大の埋蔵地域となっている。日本近辺だけでも、予想される埋蔵量は7.35兆㎥。日本で消費される天然ガス約100年分である。ぶっちゃけた話、尖閣諸島近海の天然ガス資源(2000億㎥)が霞むぐらいの、洒落にならない埋蔵量である。おまけに、よっぽど政府がヘマをしない限り、他国に掠め取られる可能性も低い。この莫大な埋蔵量から、上手くいけば日本が未来の資源大国になれる重要な要素とされている。
…と言われてはいるが、実際の埋蔵量については調査しないことには分からない。また、生産方法も確立していないので回収率を算出できないため、採掘可能な埋蔵量も推定できない。
問題点
- 採掘コスト
メタンハイドレートからのメタンガス採掘コストは1バレルあたり200ドル以上かかると言われている(サウジアラビアのガワール油田は10ドル以下)。井戸を掘れば勝手に吹き出す石油や天然ガスに比べ、海底から吸い上げるためのコンプレッサーやポンプを稼働させるための電力エネルギーが別途必要になり、本格的な商業化のためには海洋から陸上まで効率的に輸送する手段も考えなければならない。現状では経済的な優位性はまったく期待できない。[2] - 天然ガスの資源としての価値が石油を上回るのかどうかが不明。
枯渇すると言われ続けているが、未だに(それこそ尖閣諸島近海のように)新たな埋蔵地域が発見され続けている為、石油が資源としての重要性において天然ガスに劣るようになるかどうかはかなり怪しい。
莫大な金をかけて採掘しても、石油中心の国際社会であることは変えられない。 - 環境の面では、むしろ危険である。
今後地球温暖化が進めば、メタンハイドレートが揮発、温暖化係数が二酸化炭素よりはるかに高いメタンにより加速度的に温暖化が進み、地球は灼熱の星と化す。むやみな開発はそれを加速しかねない。
日本がこの資源を有効に活用するには、兎に角技術の発展が不可欠である。可能な限り低コストで採掘する技術の開発と、天然ガスを有効に活用できる工業技術の開発、そしてその普及である。
関連動画
発見のきっかけは魚群探知機に映った柱だそうです。
独立総合研究所、自然科学部長 青山千春氏のメタンハイドレード解説。
関連項目
脚注
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