メトロイド ドレッド(METROID DREAD)とは、任天堂より販売されたNintendo Switch用ゲームソフトである。
概要
メトロイド ドレッド | |
基本情報 | |
---|---|
ジャンル | 横スクロールアクション |
対応機種 | Nintendo Switch |
開発元 | 任天堂 MercurySteam |
発売元 | 任天堂 |
発売日 | 2021年10月8日 |
価格 | ■通常版 7,678円 ■スペシャルエディション 10,978円 |
対応年齢 | CERO:B(12歳以上対象) |
ゲームソフトテンプレート |
2021年6月15日の「Nintendo Direct E3 2021」で発表された、『メトロイドフュージョン』以来約19年ぶりとなる2Dサイドビュー型メトロイドシリーズ完全新作。2017年から開発中の『メトロイドプライム4』の続報を期待していたメトロイドファンの度肝を抜いた。
「ドレッド」の名前自体は2005年ごろに任天堂が開発中のラインナップとして関係者向けに発表したタイトルの1つとして噂になっていた時期があり、ファンの間でも度々話題となっていた[1]。メトロイドシリーズのプロデューサーである坂本賀勇氏によると、このころから本作のアイディアを温めていたが、ハードのスペックや開発チームの人員不足など技術的な都合で表現できなかったという。その後もなかなか開発が進められない状態が続いていたが、『メトロイド サムスリターンズ』を共同開発した「MercurySteam」の開発力とセンス、そしてメトロイドシリーズの理解力の高さに坂本氏が惚れ込んだことで本作の再始動が決定し、この度ついに日の目を見ることになった。
初報PVでは「METROID 5」の文字も登場し、坂本氏によるとシリーズ全体の物語の最新エピソードであると同時に、初代より描かれてきたサムスとメトロイドの奇妙な関係にピリオドを打つ物語であると語られている。
紹介映像等では一新されたデザインのパワードスーツ(公式サイトのレポートによると、寄生生命体「X」に侵された部分の除去や、メトロイドワクチンの投与によって大幅に形状変化した『フュージョン』当時の有機的なスーツが少しずつ以前のメカニカルなそれに戻りつつある段階という設定らしい)を身に纏うサムスと、「E.M.M.I.(エミー)」と呼ばれるロボットの追跡から逃れるシーンがクローズアップされており、メトロイドシリーズの特徴である「探索」と今作のタイトル「ドレッド(DREAD)」が意味する「恐怖」の組み合わせを押し出したゲーム性が特徴。
また、本作ではこれまで各惑星に点在する遺産・文明やサムスの回想上でしかその存在を確認出来なかった鳥人族の生きた個体がゲーム内で初めて本格登場し、ストーリーにも深く関わってくる。
通常版のほか、特典としてアートブックなどが収録された『メトロイド ドレッド スペシャルエディション』、「サムス」「E.M.M.I.」のamiiboなどもソフトと同日の2021年10月8日に発売。
発表から発売にかけて、公式サイトでは「メトロイド ドレッド レポート」と題したレポート記事が不定期に更新され、開発者による今作の詳細な解説が掲載された。発売が迫る9月から10月にかけては、JR山手線の各駅に巨大な看板広告が設置されたほか、発売前日には、YouTubeの人気ゲーム実況者が本作を同時にプレイし、制限時間内に5つの課題のクリアを目指す「バウンティハンターチャレンジ」が行われた[2]。これらの広報活動が功を奏したのか、発売週の売り上げは8.6万本を記録し、メトロイドシリーズとしては(記録が残っている中で)過去最高の初動となった[3]。
2022年3月期の決算発表によると、今作の売上は290万本を記録[4]。『メトロイドプライム』の売上(283万本)を超え、シリーズ最大のヒット作となった。メディアからの評価も高く、The Game Awards 2021では「Best Action/Adventure Game」を、Golden Joystick Awards 2021では「Nintendo Game of the Year」を受賞している。
ストーリー
生物に寄生して死に至らしめ、
DNA情報を元に擬態する恐るべき生物「X」。不覚にも寄生されてしまった私は、
「X」の天敵であるメトロイドから生成された
ワクチンにより一命を取り留めたばかりか、
銀河の平穏を脅かすこの生物に対抗可能な
唯一の存在として生まれ変わった。そしてフルスペック状態の自分自身の擬態
「SA-X」との死闘の末、
ついに「X」を惑星「SR388」もろとも全滅させることに成功した。
ところが……時が経ったある日、
あろうことか「X」の存在を示す映像が銀河連邦本部に送信されてきた。
連邦は発信元と見られる未踏の惑星「ZDR」に、
調査ロボット「E.M.M.I.」7体からなる
特殊部隊を派遣し、実態解明に乗り出したものの、
その部隊は「ZDR」到着後
原因不明のまま消息を絶ってしまった。果たして「X」は実在するのか?
そして「ZDR」で何が起きているのか?
現地に赴くことができるのは、
「X」への耐性を持つ私をおいて他にはいない…………ここはどこだ? 私はなぜ倒れているのだ?
朦朧とする意識の中、私の目があるモニュメントを捉えた。
すると……
ここで気を失うまでの記憶がリアルに蘇ってきた。「惑星ZDR」の深層部に到達して程なく、そいつは現れた。
ただならぬ威圧感を放ち立ちはだかった
その「謎の鳥人族」は、
高出力のビームを躊躇なく私に発射した。そいつは、その巨体にそぐわぬ俊敏さで襲い掛かってきた。
身に纏ったオーラは、私の攻撃をことごとく無効化してしまう。
一瞬の隙を突き、攻撃の糸口が見えたと思ったのも束の間、
そいつは瞬時に間合いを詰め、易々と私を捕らえた。自由を奪われ、為す術のない私にとどめを刺すつもりなのだろう。
そいつはビームをチャージしながらある言葉を発した。
「HADAR SEN OLMEN(ハダール セン オルメン)」
私は、この言葉の意味を知っている……薄れゆく意識の中で、自分の身体に生じる異変を感じていた。
そして、何かが沸き上がるような感覚がピークに達したところで
私の記憶は途切れたのだった。……今、私は確かに生きている。
あの「謎の鳥人族」は、なぜ私を放置して姿を消したのだろう。
気づけば私の装備は初期状態になっていた。あの時自分の身に起きた異変は何だったのだろう。
そして……
左手に残るこの違和感は?考えている暇などない。先を急ごう……
主な登場キャラクター
- サムス・アラン
- シリーズの主人公にして"銀河最強"の呼び声が高いバウンティハンター。
『フュージョン』にて寄生生命体Xに寄生され、メトロイドの細胞をワクチンとして投与された結果、Xへの耐性を身につけた宇宙唯一の存在となる。調査ミッションの為に足を踏み入れた未知の惑星「ZDR」にて新たな脅威に遭遇する。 - アダム
- 『フュージョン』の一件で銀河連邦より支給されたスターシップのコンピューターに搭載されたAI。サムスがかつて銀河連邦軍に所属していた時の上官「アダム・マルコビッチ」の頭脳が組み込まれている。今回のミッションでも同型のスターシップを使用しており、「アクセスステーション」という施設からサムスをナビゲートする。
- E.M.M.I.(エミー)
- 銀河連邦によって作られた調査ロボット。惑星外多形態機動調査機(Extraplanetary Multiform Mobile Identifier)の略で、惑星「ZDR」へ調査のために派遣されていたが、サムスが訪れた時にはどういうわけだかサムスを執拗に追いかける行動を取るようになっている。通常時は「E.M.M.I.ゾーン」と呼ばれるエリアをうろつき、サムスの物音に反応して近づくが、サムスの通常攻撃は一切効かず、捕まったらほぼ即死という強すぎる敵である。しかしいくつか対抗策はあり、サムスはE.M.M.I.をやり過ごしながらミッションをこなさなければならない。色違いや装備違いなど複数の個体が存在するらしく、銀河連邦は全部で7体のE.M.M.I.を惑星に送り込んだという。
- 寄生生命体X
- 惑星SR388に生息していた狂暴な生命体で、他の生物に寄生・擬態する能力を持つ。『フュージョン』の一件で絶滅したかに思われたが、惑星「ZDR」にて存在が確認された…という所から物語が始まる。
- レイヴンビーク
- 武闘民族「マオキン族」の長であり、惑星「ZDR」に降り立ったサムスが最初に遭遇した鳥人族。以前より存在が仄めかされていたが、本作で満を持して登場。サムスが身に纏っているそれに似たパワードスーツで武装しており、フルパワー状態のサムスと互角以上に戦える程の凄まじい戦闘能力を持つ。『力』を妄信しており、その武力と頭脳を以て銀河の支配を目論んでいる。ゲーム冒頭での戦闘後、サムスに何故かとどめを刺す事なく姿を消すが、その真の目的は…。
- クワイエットローブ
- マオキン族とは対照的に科学技術に優れる「ソウハ族」の科学者。1体のE.M.M.I.に襲われ窮地に陥っていたサムスを間一髪で救った後、彼女にレイヴンビークの正体と目的を打ち明けるが…。
サムスの能力・装備
アビリティ
- フリーエイム
- 前作『サムスリターンズ』で実装。ボタンを押している間、砲身を360度動かして自由に攻撃することが出来る。本作では移動しながら進行方向へフリーエイムで攻撃できるようになった。
- メレーカウンター
- 前作『サムスリターンズ』で実装。敵の攻撃にあわせて近接カウンターによるダメージを与える。ボス戦で発動させると特殊演出に移行して追加ダメージのチャンスとなる「グラブシーケンス」も健在で、さらに本作では走りながら敵に近づきカウンターを与える「ダッシュメレー」が追加。
- スライディング NEW!!
- 基本アクションとして追加。従来ならモーフボールとなって進む必要のある狭い隙間をスピーディーに通り抜けたり、E.M.M.I.の脚部の間を潜り抜けて逃げ出したりなどに使える。
- スパイダーマグネット NEW!!
- 壁や天井の「マグネットサーフィス」と呼ばれる青い部分を磁力のような力で捕まって進める。
- モーフボール
- サムスおなじみの能力。狭い場所やパイプ状の通路を転がって移動する。しゃがみ状態時にスティックを下に入力する方法だけでなく、動いていない状態でZLボタンを押すことによっても変形する。
- スピードブースター
- 一定距離を助走すると超高速で駆け抜け、ブロックを破壊したり、敵にダメージを与えたりする。一定方向に飛び続ける「シャインスパーク」も可能。使い勝手が良くなっており、キッククライムやスライディング中もブースターが維持される。また、上り坂に向かってシャインスパークでぶつかると、そこからスピードブースター状態に戻ることができる。
- スピンブースト NEW!!
- 回転ジャンプ中にもう一度空中ジャンプができる能力。後に無限に空中ジャンプができる「スペースジャンプ」にパワーアップする。
- グラップリングビーム
- ロープ状のビームを発射し、特定のポイントにつなげて移動する。
つながったポイントにぶら下がって前後にスイングしたり、仕掛けを引っ張ったりすることが可能。マグネットサーフィスに向けて発射すると、その位置まで移動して張り付くことができる。 - スクリューアタック
- 回転ジャンプ中に超高出力エネルギーを身に纏い、敵を攻撃したり障害物を破壊したりできる。
ウェポン
- ビーム
- サムスのアームキャノンに備わっている基本的な装備。
今回はビームの切り替え機能はなく、パワーアップアイテムを取るごとに性質が追加・強化される。
「ワイドビーム」「プラズマビーム」「ウェイブビーム」といったおなじみのパワーアップのほか、壁に命中すると爆発して少し壁奥まで攻撃できる「ディフュージョンビーム」が追加された。 - ミサイル
- 弾数制限のある小型重火器、こちらも切り替えではなくパワーアップ形式。
高威力の「スーパーミサイル」、敵を凍らせる「アイスミサイル」へと強化されていく
さらに、小型誘導ミサイルを大量発射する「ストームミサイル」も使用できるようになる。 - ボム
- モーフボール状態で使える武器。複数個を連続でセットでき、しばらくすると爆発する。
上下左右に爆発する「クロスボム」、超強力爆弾「パワーボム」も使用可能になる。
尚、今作でも無限ボムジャンプが可能。 - オメガキャノン NEW!!
- E.M.M.I.ゾーン内にある管理用マザーコンピューターの「セントラルユニット」のエネルギーをサムスが取り込み、「アームキャノン」が一時的に変形する特殊な装備。連射攻撃である「オメガストリーム」をE.M.M.I.に連続で当て続けることでプロテクターを破壊し、チャージショットに相当する「オメガブラスター」を露出したコアに撃ち込めばE.M.M.I.を完全に破壊できる。
『メトロイドプライム ハンターズ』においても同名の兵器が登場しているが関係性は不明。
エイオンアビリティ
『サムスリターンズ』から登場した、特殊なエネルギーを消費して使用する能力。
- ファントムクローク NEW!!
- 光学迷彩により透明となる能力。E.M.M.I.をやり過ごす貴重な手段となるが、発動中はエイオンゲージを消費し続け、発動中に動くとゲージをより多く消費してしまう。エイオンゲージが0になると代わりにエネルギーゲージを消費し、それも1になると強制的に解除される。
- フラッシュシフト NEW!!
- 前方または後方に瞬時に移動する能力。追加入力で再度発動でき、最大で3回連続で発動する。
- パルスレーダー
- エリア内の破壊可能なブロックを検知する探索用の能力。
関連動画
関連リンク
関連項目
- 任天堂
- Nintendo Switch
- メトロイドシリーズ
- メトロイドフュージョン(ナンバリングの『4』に相当する作品で、時系列上の前作にあたる)
- MercurySteam
脚注
- *米国のゲーム雑誌「Game Informer」の2005年6月号に掲載されていた事がある。このラインナップには『スーパープリンセスピーチ』や『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』なども含まれており、そのほとんどが実際に発売されている。
- *Nintendo Switch『メトロイド ドレッド』に挑む8人のチャレンジャー。体験の模様を発売直前に同時配信。 - 任天堂公式サイト
- *【ソフト&ハード週間販売数】『メトロイド ドレッド』が8.6万本で首位。新型Switch(有機ELモデル)は13.8万台のセールスを記録【10/4~10/10】
- *2022年3月期 決算説明資料
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