メルカリとは、株式会社メルカリが運営するフリーマーケットアプリである。「メルカリ」の由来はラテン語の「商いする(mercari)」から来ている。
大きな特徴は、売りたい人は商品の写真を撮り、価格と説明を決めてアプリを通して出店する。買いたい人は、出店された商品から購入したいものを選び、購入手続きを済ませて購入する…と、手軽に取引ができることである。
沿革概要
2013年2月に設立。2019年現在の代表取締役社長は山田進太郎。日本で数少ないユニコーン企業(評価額が10億ドル以上の未上場のスタートアップ企業)として話題となったが、2018年6月に東証マザーズに上場した。
2019年7月、Jリーグ・鹿島アントラーズの経営権を約16億円で取得することを発表した。
2022年6月、東証の上場市場がグロースからプライム(旧第一部)に変更される。
利用層
手軽なことから、若者から主婦層に至るまで幅広い年齢層に利用されているのが特徴の一つである。
PCでも利用はできるが登録や一部基本機能などスマートフォンでしかできないことがあり利用するにはスマートフォンの所持が必須である。
料金
登録利用料は無料である。
購入時は「クレジットカード決済」「FamiPay決済」「メルペイ残高/メルカリポイント/dポイント支払い」「メルペイスマート支払い」を利用する場合のみ、決済手数料が無料である。それ以外の決済方法の場合は100円の決済手数料が徴収される。
出品は無料だが、売れた時の販売手数料として設定価格の10%が運営側に支払われる。
売上金には定められた振込申請期限があり、期限を過ぎると登録済み口座へ自動振り込みされる(自動振り込みできなければ失効する)。売上金の振込手数料は、振込金額にかかわらず200円かかる。
当初、振込手数料は売上金が10,000円未満で210円、10,000円以上は無料であったが、2019年4月23日から一律200円に変更された。事前発表時には反発や不安の声などが上がったが、結果的に大事にならず沈静化した。
特徴的なルール
外部リンクの直接記載や、メルカリ外へのサイト誘導も完全に禁止している。
アダルト商品の出品は禁止されており、フィルターによる区分はない。
商品に問題があっても、返品に応じないと記載することを禁止している。そのためジャンク品の出品において、予防線を張るには気を遣った言い回しが必要になる。
購入者側が受取を報告する際は、併せて出品者の評価を「良い」と「悪い」の2つの選択肢から行う必要がある。
メルカリの風土
個人間取引の場であるため、値引きやバラ売りの交渉が気軽に行うことが可能。
交渉が成立した相手に対してのみ売るために、"○○様専用"と記載した取り置きが行われることがある。
また、マイルールをプロフィールに記載し、その確認(つまり同意)を購入の必須条件にしているケースが多い。(ただし、所詮はマイルールであり、「交渉・確認の必須化」や「先に交渉に入った人優先」などのガイドラインに記載の無いマイルールは(規約上では)拘束力は全くない)
トラブル
- 2017年と2021年に顧客情報が流出している。
- 2017年に「現金を出品する行為」が大きな問題となった。
同年2月14日、コレクター向けの希少な紙幣や貨幣のやり取りを解禁した後から、現金をそれが持つ価値よりも1割ほど上乗せした金額で出品する行為が爆発的に流行した。その他のオークションサイトでも見られるようになり、「カードで現金化すること」「隠れ副収入を得る」などマネーロンダリングに相当する犯罪臭の強い行為に、ネットだけでなく社会的に大きくざわつかせた。
同年2月24日、事態を深刻に受け止めた運営は「現金の出品」を禁止。しかし、これ以降もチャージ済みSuicaや商品券、プリペイドカードなどの出品が相次ぎ、いたちごっこのような状態に発展してしまった。現在「現行流通している国内外の貨幣、通貨、仮想通貨」のほか「現金同様の価値があるチャージされたプリペイドカード類(Suica、楽天Edy、nanaco、WAONなど)」、「オンラインギフト券(iTunesカード、Amazonギフト券など)」の出品は全面的に禁止されている。 - 2018年、メルカリ自体の利用制限をかけられ、本人確認を求められるケースが大量に発生した。その際、確認を求められた理由が不明、問い合わせには紋切型の返答、審査が数か月以上終わらないなどの混乱を招き、中には審査の遅れにより数十万円の取引が失効されたケースもある。この再確認はもともと今までの本人確認が不十分で違法行為が横行していたが、株式上場に伴い強化が必要になったためという見方がされている。
上記にも関わらず各種ポイントの出品は後を絶たず偽ブランド品や盗品の報告も見られる。 - 2024年、「戦車のプラモデルを販売したところ、「パーツが破損している」などの理由で返品に応じた際に、出品したプラモデルに似た別の箱にパーツが丸ごと抜き取られた状態で返品された」という被害が発生した。
販売したユーザーは、当初メルカリ事務局に、返品された偽の箱と商品の画像を送り、経緯なども連絡していたが、「購入者は返品したものに間違いはないと主張している」として「サポートの継続困難」と「被害補償は不可能」であることを一方的に伝えられたという。
上記の経緯と一連のやりとりの画像をSNSに投稿したところ、同様の被害に遭ったという返信が集まり大炎上。そうすると、なぜかこれまでの対応から一転して、「被害を補償する」との連絡があった(その際、なぜかメルカリ事務局ではなく、SNSのDMを介してSNS担当から「対応を見直すよう働きかける」旨の内容が先んじて伝えられたとのこと)。
販売したユーザーは、警察に被害届を提出しており、メルカリからは「購入者側に対しては『然るべき対応を実施』する」とのことである。
以上の事案を踏まえ、メルカリは以下の3つの施策を打ち出した。上記のように「介入する方向へ舵を切ったことは大きな前進」だとする一方、「根本的な解決に至っていない」とする意見もある。
メルカリ出品のプラモデル 返品で別物が届いた女性が被害届 - NHK
ライバル
ユーザー間取引のサービスとして最大手だった、ヤフオクと比較されることが多い。もっとも、向うはオークション形式なので、そのまま比較することはできない。ちなみにヤフーが開始した、「PayPayフリマ」はあきらかにメルカリを意識したサービスであるが、こちらは販売手数料が5%となっている。また、楽天も同じように「ラクマ」というフリマサービスを開始しておりPayPayフリマとインターフェイスが非常によく似ている。
メルカリには、メルカリボックスというユーザーによるQ&Aコンテンツがある。ここで、ヤフオクを引き合いに出して、メルカリの不満をこぼすことはおすすめしない。特に、古参のメルカリユーザーに引っかかると微笑ましいことにもなるからである。(メルカリボックスはサービス終了済み)メルペイ
子会社の株式会社メルペイが運営するスマホ決済サービスで、メルカリアプリ内から利用できる。
FeliCa対応端末ではiDとして利用可能で、非対応端末でもQRコード決済が可能。支払い用の銀行口座を登録することで、銀行口座からチャージ(入金)して買い物に利用することができる。また、メルカリの売上金をメルペイの残高に移すこともできる。 アプリ内で入金手続きを行えるため、チャージ式の電子マネーと比べて、所定の場所に行く必要がないというメリットがある。メルカリの売上でメルカリの商品を購入する場合は、売上金をメルペイに振り替える必要がある。また、メルペイ残高がなくても、クレジットカード不要で翌月支払いができる「メルペイスマート払い」という機能もある。利用枠は、メルカリ・メルペイの利用実績が多いほど増加(場合によっては突然減らされることもある)。スマート払いの最大額は20万円。
2020年1月23日、国内でのQRコード決済のパイオニア企業であった「origami」の買収を発表し全株式を取得・吸収した。取得金額は非公開だが、ある報道によると当時時価総額約400億円だったorigamiの株式を、メルペイは1株1円というはした金で買収。origamiの発行株式数は約250万株だったことから、約250万円で買い叩いたということになる。
メルペイのorigami買収に伴い、origami Payのサービスは2020年4月28日の22時にカードの新規登録・カードを指定した支払い・口座を指定した支払いを終了、同年6月30日22時にorigamiアプリ全機能(履歴閲覧・返金手続きなど)を終了し、4年間にもわたるキャッシュレス文化への貢献に幕を閉じた。撤退事業
メルカリアッテ
2016年3月に始まった事業。手数料などが不要の完全無料サービスで、地域コミュニティ間での直接取引を行うサービスだった。いわば「メルカリ版ジモティー」みたいなものだった。しかし、利用者間でのトラブルが絶えなかったことから、2018年5月にサービス終了となった。
メルチャリ
2018年2月に始まった事業。レンタサイクル(自転車シェアリング)サービスであった。他社のシェアサイクル同様、専用のポート(貸出拠点)間であれば乗り捨て可能。福岡市内、博多駅・天神駅・博多港から半径3キロメートルに約30箇所設置。2018年6月には福岡市の「福岡スマートシェアサイクル実証実験事業」に選ばれた。しかし、2019年6月に事業撤退を表明し、クララオンラインに事業を売却。その後、2020年4月からサービス名を現在の「チャリチャリ」に変更した。
関連動画
関連リンク
関連項目
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