メルトショックとは、2007年12月13日付の総合マイリスト登録ランキングで起こった事件である。
「初音ミク現象」の一つに数えられ、後のボカロシーンの流れを決定付ける最大の要因となった。
概要
8時更新~13時更新の総合ランキングの1位から4位まで『初音ミクがオリジナル曲を歌ってくれたよ「メルト」』に関連する動画(原曲
、halyosy ver.
、ガゼル ver.
、ミク+halyosy ver.
)が並んだ。
さらにはhalyosy+ガゼル ver.も一時7位まで迫り、5位まで独占もありえたというものである。これらが全て同じサムネイルであったことから、その異様な光景を目のあたりにした多くのニコニコユーザが衝撃を受けた。
最終的なランキングとしては「沙都子は大変なトラップを仕掛けていきました」と「スキ?キライ!?パピ!!!
」が追い上げた形となったものの(→ニコニコチャート
参照)、100位までにメルト関連が9動画、10位までに初音ミク関連が7動画と、結果だけ見れば当時人気の絶頂であった初音ミクの勢いを説明付けるものだったといえる。
「初音ミク現象」におけるメルトショック
初音ミク黎明期にはミクを題材としたキャラクターソング的な楽曲が人気だった。しかしメルトはクリエイター(第三者)の世界を投影した歌詞で、それをバーチャルシンガーのミクが表現するという逆転現象が起こっていた。
メルトのヒットは、以降のボカロシーンの流れを決定付けた。メルトと同様にクリエイター個人のセンスを色濃く投影したバラエティ豊かな曲が急増し、それまでの図式を大きく塗り替えたのである。
初音ミク現象において、ミクのキャラクター性/人気を象徴する「みくみくにしてあげる♪」に対し、一人の バーチャルシンガーとしてのミクを象徴するのが「メルト」だと評価される。どちらも世界に羽ばたいた“電子の歌姫”初音ミクを形作った金字塔である。
また、メルトはクリエイター個人に光を当てるきっかけになった。コアな音楽ファン以外は「歌手」以外を軽視(あるいは無視)して語ることが多く、楽曲の制作チームなどは曲の選定基準にも成り得なかった。しかしボカロシーンではメルトのヒットと楽曲配信プラットフォームにおける「feat.」表記と併せて、クリエイター個人が注目されるようになった。
米津玄師がミクたちピアプロキャラクターズの総合イベント「マジカルミライ 2017」のテーマ曲として提供した「砂の惑星」にもメルトショックという歌詞が登場する。米津はこの曲の歌詞について、古くからのミク廃に刺さる曲(意訳)と言っている。
参考書籍:『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』『初音ミク 公式ガイドブック ミクペディア』『初音ミク -Project DIVA- F 2nd メモリアルファンブック』『初音ミク 10th Anniversary Book』『初音ミク マジカルミライ2017 オフィシャルブック』
人気に対する異説
しかし原曲が6日間連続ランクイン(この日までに2位→7位→41位→26位→7位→2位)していたこともあり、この事態を不審に思ったyoutube板住人がボカロSNSの関与説を唱え始めるなど、関連スレッド(ニコニコ本スレ、工作対策スレ、工作支持スレ、ボカロアンチスレ、歌ってみたアンチスレ)は工作を事実化した書き込みで溢れ返った。これが元々あったアンチ行為を一層煽り、関連動画は荒れに荒れたのである。そしてこの事件以降、ファンとアンチの対立は激化していくことになる。
一方で、当日はサムネの強烈な印象からその存在に触れる声は少なかったが、実は原曲以外は歌ってみたであり、11/28の自演発覚祭り以来一時的に萎縮していた歌ってみたが復活の狼煙を上げた日でもあったといえる。
余談だが、この事件と2008年1月11日のゴースト法発覚祭り・翌日のマイメモリ法発覚を契機にニコニコユーザは次第にランキングシステムに不信感を抱くようになったともいわれる。
関連項目
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