モラルとは、ラテン語の「mōrālis」という単語が語源になっており、これは「習慣に関する」を意味し「品行」「習慣的な礼儀」のような意味でも使われていた単語である。
現在の英単語として「moral」と言った場合は上記の意味を内包する形で「道徳」「善悪や人間の生き方に関する考え」「教訓」「社会的に正しい考えができる」などのような意味でも使われるほか、「心理的」と言った意味合いもある。
また、日本語では「倫理(的)」と言った意味・概念にも「モラル」という言葉が使われることが多いが、英語で「倫理」を表す言葉としては別に「ethics(エシックス)」という単語がある。
概要
日本で「モラル」と言えば「道徳」「論理」などと訳され、「彼はモラルにかける」のような使い方をされている。
なお、「道徳」と「倫理」は広義と狭義では意味が異なるがどちらも「善と悪を判断する事ができるための考え方」のような意味を含んでいる事が多い。
モラル・ハザード
これに関連する言葉として、経済学的・保険業的な言葉として「モラル・ハザード」がある。この場合の意味は「人間の心理的要因に起因するリスクの増大」を意味する言葉であり、次のような意味がある。
- 「使用者と被使用者の関係」において、情報の非対称性により、被使用者の行動について使用者が知りえない情報があることから、被使用者の行動に歪みが生じ効率的な資源配分が妨げられる現象を意味する。例えば部下が出張中に上司に黙って寄り道するなど、仕事をサボることによって非効率が起きているが、上司がそのことを知らないか、あるいは黙認しているため、その状況が表面化されないまま放置されている状態など。
- 保険業界用語で、保険に加入している事により、リスクをともなう行動が生じること。例えば自動車を運転する際に、自動車保険に加入していないと、事故による損害を全て運転者が支払わなければいけなくなるため、自ずと慎重な運転が期待されるが、自動車保険に加入すると、保険会社が事故の代償を負担するようになるため、運転者が大胆な運転をしてしまいがちになり、結果的に事故が起こるリスクが増大する、という概念を意味する。しかし無保険であっても自動車事故は起こるものであるから、いずれにしても人間の行動の最適化を図ることは不可能である、という非効率性を意味する、という点では、広義の1.の意味と同じであると言える。
要約すると、「他人の行動を100%監視することなんてできないから、行動規範に緩みが生まれたり無駄や危険が生じることを完全に無くすことはできないよね」と言うことであり、この概念そのものを「モラル・ハザード」と言うのである。
「モラル・ハザード」の「モラル」とは「心理的」を意味する用法であり、人間の意識、深層心理に基づく「モラル」を語源としているが、この言葉が日本に持ち込まれた際に、従来の「倫理・道徳」という意味と混同されてしまったため、「倫理・道徳の欠如」という意味で「モラル・ハザード」という言葉が誤用される事例が後を絶たない状況となってしまっている。
モラル(ニコニコ動画)
ニコニコ動画は誰でも簡単に利用出来る素晴らしいサイトである。
しかし、「誰でも簡単に利用出来る」とは素晴らしい反面、時には大きな災難を生むこともある。
また、自分の心にある「モラルだと思っていたもの」が、他人の心のなかの「モラルだと考えていた物」とも一致するとは必ずしも言えない。
「モラル」とは何であるかを真剣に考えていきたいものですね。
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関連項目
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