モーセとは、古代イスラエルの民族指導者である。「モーゼ」、イスラム教では「ムーサー」とも。
概要
※イメージです
これはモーセたちヘブライ人(イスラエル人)がエジプト王国の追っ手から逃げようとした際、海際に追い詰められてしまったモーセが神(唯一神:YHWH)の言葉に従い杖を振り上げたところ、海が割れて逃げ道ができた…というエピソード。その結果ヘブライ人は逃げて生き延び、エジプト人は追いかける途中で海が閉じて溺れ死んだ。
その後に、シナイ山で神から「人を殺してはならない」「盗んではならない」などの10のルール「十戒」を受け取ったとされる。これらはユダヤ教やキリスト教では聖典(旧約聖書)、イスラム教では啓典(モーセ五書)の一部として載っており、それらの宗教の中でも最も基本的なルールになっている。
このようにユダヤ教・キリスト教・イスラム教などでは、モーセは預言者(神の言葉を受け取った人)とされている。一方、旧約聖書以外のモーセに言及する史料が少ないため、歴史学ではその存在について見解が分かれている。
生涯(モーセ五書から)
※表現をところどころ省略・改変しているので、正確な文章は原典を参照すること
出エジプト記第1章~2章
当時のエジプトではヘブライ人があまりにも豊かで、そして人口が増えすぎており、そのために重い労働を課せられていたが、効果は無くどんどんヘブライ人が増えていった。やがてエジプト王はヘブライ人の男の子が生まれたら全員ナイル川に投げ込むよう命令する。
ある日、ヘブライ人の女性にヘブライ人の男の子が生まれる。殺されるのを恐れ、しばらくは隠していたがそれも難しくなり、パピルスの舟に入れて川に流してしまう。すると下流でエジプト王女に拾われ、哀れに思った王女に育てられる。水から引き上げたため、マーシャー(ヘブライ語で「引き上げる」)から「モーセ」と名付けられた。
その後成長したモーセは、ヘブライ人を厳しく働かせているエジプト人を見て、誰も見ていないのを確認しエジプト人を殺す。それが発覚してしまったため、モーセはエジプトを抜け出しアラビア半島で暮らすようになる。
出エジプト記第3章~12章
アラビア半島での生活の最中、神から「ヘブライ人を『乳と蜜の流れる地』へ導け」という言葉を受け取る。さらに人々に預言者であると信じさせるため「持っている杖が蛇になる」「自分の手がハンセン病で白くなる」「ナイル川の水が血になる」という力を授けられる。ちなみに2つ目の力は特に役立たなかった。
エジプトに戻ったモーセは、ヘブライ人を全員エジプトから逃がすため国王に許しを請う。神の言葉に従い、王を説得させるため杖を蛇にしてみたが、エジプト王は頑固になって話を信じなかった。後に、神の言葉に従い、許しを出さなければナイル川の水を血にすると国王に伝えるが、結局言うことを聞いてくれなかった。というわけで、実際にナイル川を血の川にした。
その後、「許しを出さなければ○○する」と、神を代理してモーセは何度も国王に伝える。実際、この後エジプトではその言葉通り、カエル・ブヨ・アブ・家畜の病気・肌の腫れ・雹(ひょう)・イナゴが異常発生し、エジプトが真っ暗になって国民の長男・長女が全員死んだ(十の災い[1])。
出エジプト記第12章~16章
度重なる災いを受け、国王からヘブライ人がエジプトを出ることを認められ、モーセたちは『乳と蜜の流れる地』へ出発する(出エジプト)。しかし一転して国王は軍を差し向け、モーセたちを海際へ追い詰める。その際、先ほど言ったようにモーセが海を割り、ヘブライ人たちは逃げることができた。
荒野を旅する中、モーセは空から降ってきた蜜入りのパンのような食べ物をヘブライ人に与えた。「何これ?」とヘブライ人は思ったが、名前がわからないのでとりあえずそのまま「なにこれ」と呼ぶことにした。「なにこれ」をヘブライ語では「マーンフー」と呼んでいたため、この食べ物はそこから転じて「マナ」と呼ばれるようになったとされる。荒野を彷徨っている40年間、ヘブライ人はこれを食べ続けたようだ。飲み水も岩を叩けば出てきたが、これが原因となってモーセは約束の地に行けなくなってしまう(後述)。
出エジプト記第20章~32章
その後、シナイ山の山頂で40日という期間を経て十戒を受け取り、人々に伝えようとするが、40日の間にヘブライ人は金の子牛の像を神として拝むようになっていた。これは十戒の一つ「偶像崇拝の禁止」に反するため、モーセは像を破壊し、神の言葉に従って偶像崇拝をしていたヘブライ人を殺すよう指示、実際に3000人が処刑された。
その後
その後120歳まで生きたとされるが、最後にヘブライ人が住むことになる『カナンの地(約束の地、パレスチナ)』に入ることはできなかった。あるとき、民衆に「飲み水がない」と不満を言われた時、いら立って「岩に命じて水を出せ」という神の指示に従わず、「岩を2回叩いて水を出す」ということをしてしまい、神の怒りを買って約束の地に入ることを許されなかったためとされる(民数記第20章:12)。
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関連項目
脚注
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