概要
モーターとは、電気エネルギーを力学的エネルギー、特に回転運動に変換する装置のことである。モータ、電動機ともいう。構造や電源の制御方法によってさまざまな種類があるが、どのモーターにも共通する基本的な構成要素は永久磁石、コイル、電源の3つである。
電源により直流(DC)モーター、交流(AC)モーターに大別され、ここから構造、動作原理、用途に従って、誘導モーター、同期モーター、リニアモーター、ブラシ付きモーター、ブラシレスモーター、ステッピングモーター、サーボモーター、…などに分かれる。
動作原理
磁石同士を近づけると電磁気力により引き合ったり反発したりする。また、コイルに電流を流すとコイルの中が磁石になる。モーターは基本的にこの2つの現象に従って回転している。
最も基本的なモーターであるブラシ付き直流モーターの場合、永久磁石と反発する向きにコイルに電流を流して回転させ、一定量回ると「ブラシ(整流子)」と呼ばれる部品でコイルに流れる電流を切り替えて、再び磁石とコイルが反発するように切り変える。こうして反発→回転→反発→回転→…を繰り返し、回転させる。
このようにして永久磁石とコイルの間に働く電磁気力を利用して力学的な力、特に回転運動に変換し、コイル(または磁石)を回転させる。モーターと呼ばれるものは「ほぼ」全てこの原理で作動している。
コイルが1つだけだとどちらの向きにも回転するので、ミニ四駆などのモーターは磁石を2つ、コイルを3つ使用して始動する向きをコントロールしている。
主な損失
モーターは電気エネルギーを100%力学的エネルギーに変換することはできない。主な損失は、コイルの巻き線の電気抵抗で発生する熱(銅損)、鉄芯の磁界変化に伴うヒステリシス損と渦電流損(鉄損)、回転に伴う機械的な摩擦や振動である。主な対策は以下のとおり。
銅損:巻き線を抵抗の低いものにする。線を太くする。密に巻く。
鉄損:鉄芯を積層構造にして渦電流を抑える。保磁力の低い材料を使いヒステリシス損を減らす。
摩擦:軸受けにベアリング、潤滑油を使う。摩擦の起こる面積を減らす。
振動:加工精度を上げ歪みを小さくする。回転で変形しない剛性の高い素材を使う。
動作原理の異なるモーター
世の中にはモーターといいつつ、上記のモーターと異なる原理で動作するものもある。以下は主な例である。
- 油圧モーター:油圧をピストン等にかけ、ピストンエンジンのように直線運動をクランクや斜板等で変換して軸を回転させる。電気式モーターでは実現できない極めて大きなトルクを生み出すことができる。
- 超音波モーター:電圧を加えると変形する素子(圧電素子)を利用して回転させる。超音波以上の周波数でオンオフを切り替えるため超音波と名付けられたが、動作原理に超音波は関係しない。
関連項目
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