概要
「ウルトラマンA」で初登場した、ウルトラシリーズでは初めての、番組を通じての悪の存在である。その命名は「家畜人ヤプー」に由来している。一人称は「私」が多いが「わし」や「俺」を使う場合がある。
超獣製造機で地球生物と宇宙怪獣を組み合わせ(あるいは知的生命体を改造し)て従来の怪獣より強い生物=超獣を作り上げ、地球の征服を狙っている。複数人の存在があるかのような説明がされており、通常は歪んだような映像(セットはTACの作戦室を利用)にトンガリ帽子の人型生命が何人か動いている様子が見られるが個の概念は無く、意識は一つである。劇中では一角超獣バキシムが姿を借りた少年や、吉村隊員が知り合った青年を牛神超獣カウラに変えた僧侶、宇宙仮面、Q歯科の女医が自らをヤプールと名乗っている。その性格は冷酷かつ陰湿極まりない。目的の為ならば手段を選ばない残忍さを備える。また非常に高慢な所があり、地球人を見下す発言をたびたびしている。基本的に物事を冷静に見るが、形勢が有利な時は高笑いをし、作戦に不都合があると語気を荒げるなど、感情の起伏が激しい部分を時折見せる。また、ギロン人やアンチラ星人など数々のエージェント=「ヤプールの使者」を擁しており、数ある侵略者の中でも一大勢力を築いていると思われる。
ヤプールの本質は実体ではなく、観念上の存在である。そのエネルギー源は主に人間の利己心や怨念といったマイナスエネルギーである為、その存在を完全に消すことは不可能である。それゆえに「粘着質」かつ「しつこい」といわれるが、現にメビウスの時代まで登場し、ウルトラ兄弟を苦しめてきた。人間の心にマイナスエネルギーが存在する以上、今後も何らかの形で登場する可能性がある。きたい。
「ウルトラマンA」本編では23話で全ヤプール人が合体、戦闘形態である巨大ヤプールの姿で直接攻撃に打って出たが、破れて爆散する。その破片は以後も様々な超獣の元となり、時にはヤプール人自体の残滓も登場して最後までAを苦しめることとなった。最終回ではサイモン星人の子供に変身して登場、地球の子供たちを唆し、その心を蹂躙せんとした。結果的にはヤプールの目論見は失敗したが、地球上からA=北斗の居場所を無くす事に成功した(詳細は後述)。
その後、「ウルトラマンタロウ」に再生怪獣軍団を率いて出現。戦闘には参加せず、移動要塞から指示を出すにとどまった。時代は経過し、平成に入ってから久々の登場となった「ウルトラマンメビウス」ではUキラーザウルスを生み出したり、悪徳ジャーナリストのヒルカワを利用するなど、その狡猾さは健在である。ヤプール人の変わらぬその様をウルトラマンA=北斗星司は「本物の悪魔」と吐き捨てた。
そんな彼らだが、エンペラ星人相手には幹部待遇とはいえあっさり手下になったり、「大怪獣バトル」ではレイブラッド星人に取って代わろうと戦いを挑むも逆に絶滅寸前までフルボッコにされた事がトラウマになったり、ウルトラマンベリアルを利用しようとするもやはりフルボッコにされて命乞いの甲斐なく叩きのめされるなど、格上には微妙に情けない姿を晒していたりもする。
人間を滅ぼすのは人間だ・・・
ヤプール人の戦法においては、前述のとおり人間の抱える弱さやあさましさ、すなわち心の闇に付け入るものが代表的である。また動物や死者の怨み・呪いの念を利用する事もある。
上記の例として印象深いものとしては、怪魚超獣ガラン戦が挙げられる。漫画家である久里虫太郎の、TACの美川隊員に対する倒錯した欲望を利用、久里の描いた超獣を自由自在に登場させたり消したりする作戦でTACを苦しめた。久里の精神はガランとリンクしていたため、Aの勝利と共に久里はガランと運命を共にすることとなったが、ヤプール自体はこの人間を余程気にいったようで、「ウルトラマンメビウス」における人間体は久里虫太郎をイメージしたものと断言されている(メビウスHPより)。ヤプール「そうだ、この男の姿と魂をモデルにしよう」
ヤプール人が超獣製造機で作り出す超獣よりも恐ろしいのは、利用される人間自身の心である。その闇が深ければ深いほど、生み出される結果は悲惨なものとなる。竜隊長以下、TACの面々は異次元人、そしてそれ以上に人間の内包する恐ろしさに言葉を失ったのであった。
また、大蛍超獣ホタルンガ戦ではミサイル輸送防止の為に交通事故で母親を奪われた少女の恨みと母への思慕を利用し、鬼女に仕立て上げたうえで道行く車を襲わせて運転手を事故死させたり、これ以外にも人間ではないのだがおとめ座の精であるアプラサをおとめ座の爆破から救った事を盾に取り、地球への攻撃を強要させるという卑劣な策に出た事もある。いずれにせよヤプールの人間の心の隙間を突く作戦の多さには定評がある。
お前はお前を信じなさい、ホレ信じなさい
巨大ヤプールとの戦いを描いた23話「逆転!ゾフィ只今参上」で出てきた歌である。日本各地に出没した謎の老人が歌ったものであり、市中においては末法思想に似た演説をした後、子供たちを異次元世界へ誘拐した。歌はクレイジーキャッツの「学生節」のパロディである。
無論、これもヤプールの作戦の一つであるが、北斗のあまりの信頼度0っぷりをおちょくるかのごとく歌っているのではと思うのは…考え過ぎですね、ハイ。
そしてヤプールはのたもうた
勝った者は負けた者の恨みと怨念を背負って生きていくのだ!
女ヤプールは「Q歯科」の看板を掲げて歯医者を装い、虫歯になった北斗の歯に幻覚を見せる機械を埋め込み、彼の精神を徹底的に追い込んだ。計略発覚後のラストに発したのが、地球侵略の頓挫よりも自分たちを敗北させたA個人への呪詛とも取れるこの発言。ヤプールは北斗=Aに怨念を吹き込む事で、未来永劫の苦しみという十字架を背負わせようとしたのである。
地方の福山市で一介のパン屋をしていた北斗星司。彼はその勇気を光の国に認められ、ウルトラマンAと一体化して復活したが為に、望むと望まざるに関わらず山中隊員という受難と向き合い続ける宿命を負ってしまった。ウルトラの命を与えられた代償であり、光の国の勇士として戦う者が避けられない道だとしても、元々地球の片隅で市井の人として暮らしていた北斗(あるいは夕子も)にその十字架を背負わせる切っ掛けをもたらしたことはある意味、ヤプールの鬼畜さを象徴していると言えよう。北斗「いいよな、ハヤタ兄さんやカグラやカイトは…最後に分離出来たんだから」
遊牧星人 サイモン星人
最終回に登場した宇宙人で実はヤプール(の生き残り)がその姿を模している。Aへの恨みを晴らすべく、子供たちから人間性を奪う事を目的としている。幼年体で登場し、ヤプールに追われたと騙りTAC隊員や地球の子供たちに取り入った。地球の言葉は話さないが(北斗に対してのみ)テレパシーを使い、そしてそれこそが最大の武器である。最強超獣ジャンボキングを暴れさせる一方で自分の正体を北斗に明かしたうえ、子供たちの目の前で自らを殺すように仕向ける。子供たちにテレパシーは聞こえないので北斗の行為は虐殺と映り、そして人間不信に陥って怒り悲しむ子供たちに対して北斗が出来た、ただ一つのことは…。
ちなみにサイモン星と地球とは何らかのつながりがあると劇中で語られている。
命名の由来は新約聖書の人物である熱心党のシモンと言われている。ただ、個人的には無理やり十字架を背負わされた―ここではヤプールに利用されたと言う風であるが―キレネのシモンの方がしっくりくる。
声・人間体
ヤプールの声は「ウルトラマンメビウス」ではシュワちゃんの声やコンボイ司令官でおなじみの玄田哲章が担当しているが、「ウルトラマンA」本編や「ウルトラマンタロウ」における声優はウルトラマン80やスカイライダー、仮面ライダースーパー1の脚本を担当した脚本家の土筆勉(高田拓土彦)である。ちなみに一時はキャシャーン役で知られる西川幾雄ではないかと言われていた。
人間体の俳優は女ヤプールを高毬子が、「ウルトラマンメビウス」においては前述のとおり、かつて久里虫太郎を演じた諸岡様、もしくはリー・ケフレン清水紘治が担当している。
ヤプールの台詞
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