ヤークトティーガーとは、第二次世界大戦においてドイツ軍が開発・運用した重駆逐戦車である。
概要
ヤークトティーガーは第二次世界大戦の後期にドイツ軍が開発・運用した駆逐戦車である。「距離3000m[1]から敵戦車を撃破できる自走砲を作れ」なんて日本軍の兵器開発者が聞いたら発狂しそうな無茶ぶりに応えた結果、ティーガーIIをベースとし、武装は55口径12.8cm砲(距離2000mで148mmの装甲を貫通可能)、正面装甲は厚さ250mm(連合軍が実戦配備した如何なる火砲でも貫通不可能)と、最強の盾と矛を兼ね揃えた正に化物と言うべき重駆逐戦車が出来上がった。ドイツの科学力は世界一ィィィィィ!
その火力と防御力は絶大であり、建物越しにM4シャーマンを撃破した、3キロ先から砲撃してアメリカ軍の戦車隊が誰と戦ってるのかすら理解させずに追い返した、ヤークトティーガーを擁する部隊は包囲するアメリカ軍をさんざん困らせた後、堂々と降伏した、などの逸話・エピソードがある。
しかし得られた火力と防御力の代償は大きかった。
長さ7mもある砲身は、固定しないで移動すると震動で砲架を摩耗させて照準を狂わせた。しかし砲を固定する装置(トラベリングランプ)は車外、それも車体前部にあったので、ヤークトティーガーが移動から発射態勢に移るまでには、生身の乗員が戦車の前(当然、敵がいる方向)で作業する必要があった。また、砲弾は弾頭と推進薬が分離した方式で装填に時間がかかった[2]。
そして何よりも問題だったのが重量である。完成したヤークトティーガーの重量はなんと75t[3]。しかも敵を攻撃するには車体ごと敵に向き直る必要がある駆逐戦車だったので、搭載したエンジン、変速機、ブレーキには過大な負荷がかかり、非常に故障しやすかった。当然重たいもんだから燃費も劣悪だった。 しかも、このバカみたいな重量では普通の牽引車では動かすこともできなかった。[4]この結果、1日に進める距離は歩兵並で僅か30km~40kmであり、燃料切れだの故障だの軽い損傷だので動けなくなって放棄されたり自爆処分にされた数の方が敵軍に撃破された数より多い。
例をあげると、戦車エースであるオットー・カリウスには終戦間際に10両のヤークトティーガーが与えられたが、1両がM4シャーマン3両によって撃破され[5]、1両が味方のパンツァーファウスト誤射により撃破されたものの、残る8両は全て故障で放棄か自爆処分という結果になっている。また乗員は手馴れの熟練者ではなかったため、より扱いに困る結果になったのが実情だとか。
アニメ「ガールズ&パンツァー」に於けるヤークトティーガー
ガールズ&パンツァーにて、黒森峰女学園の戦力として登場している。さび止めと思われる濃い茶色の塗装で登場し、屈指の装甲で前線に立ち、その固さで大洗女子を苦しめたが、市街戦にてウサギさんチームの決死の攻撃で視界を塞がれ、勢い余って川か壕のような場所に落下。主砲の128ミリ砲はへし折れ、自身はひっくり返って戦闘不能になった。
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関連項目
脚注
- *この時代の照準器だと3キロ先の戦車は、天候によっては全く見えず見えたとしても米粒くらいの大きさだった。史実で3キロ先の敵戦車を撃破記録が残っているのは、第二次大戦トップの撃破記録(公式記録168輌 未確認記録195輌(!))を持つクルト・クニスペル曹長くらいのものである。
- *とは言え、弾頭だけで28kgもあるため、これに推進薬を合わせた薬莢式砲弾にした日には人力装填は到底不可能だろう。
- *現用戦車で一番重たいと言われているエイブラムスでも最大69.5tである。
- *戦後、アメリカ軍が街中で擱座して放棄されたヤークトティーガーを撤去するのに通常の運搬方法では歯が立たず、バラバラに分解して撤去したというエピソードもある。
- *正面は分厚くても、側面は80mmと薄い(当車比)のでシャーマンでも十分撃破可能である。
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