ヤード・ポンド法とは、単位表記の系統の一つであり、米国面の象徴である。
概要
ヤード・ポンド法は、長さをヤード、質量をポンドを基本単位とする計量法である。これは日本での呼び方で、英語では「帝国単位(Imperial units)」と呼ばれていたり、「米国慣用単位(United States customary units)」と呼んでいたりする。
現在、日本を含む世界で広く使われている単位は長さはメートル、質量はキログラムである。一方、ヤード・ポンド法を用いているのはアメリカ合衆国、ミャンマー、リベリアの3か国のみとなっている。しかし、ミャンマーやリベリアは国家が主導してメートル法への移行を進めており、実質的にはアメリカ合衆国のみが日常的に使っていることになる。当のアメリカ人は「切り替えるメリットがねえよ」とメートル法化に熱心でなく、それどころか州によっては反メートル法化の動きまである始末だ。
1959年にメートル法との換算について国際的に定義され、現在は「1国際ヤード=0.9144m」「1国際ポンド=0.45359237kg」と定義されている。
今でもなおメートル法と併用されているため、単位系の取り違えによる事故や事件が発生している。特に、ヤード・ポンド法が標準となっている航空業界においては、キログラムで書かれていた燃料の量をポンドと勘違いしてしまい燃料不足でフライトしてしまったという事故は有名な話の一つとして知られている。
ちなみに、「ヤード・ポンド法」をGoogleで検索しようとすると、サジェストに「いらない」や「悪い文明」、「滅ぼそう」と出てくる。カルタゴのように「ヤーポン滅ぶべし」とも言われてしまっている。
ヤード・ポンド法における単位
長さ
面積
体積
質量
その他
- ファーレンハイト度(°F) - 温度の単位
- 英馬力(hp) - 仕事率の単位…大体745.7Wくらい
- マイル毎時(mph) - 速度の単位
- マイル毎ガロン(mpg) - 燃費の単位
- 重量ポンド毎平方インチ(psi) - 圧力の単位
ヤード・ポンド法の変換
長さ
- 1インチ=2.54cm
- 1フィート=12インチ=30.48cm
- 1ヤード=3フィート=91.44cm
- 1チェーン=22ヤード=20.1168m
- 1ハロン=10チェーン=201.168m
- 1マイル=8ハロン=1.609344km
なお、測量フィートという概念もあるが、用途がそれほど多くないので割愛。
また、このほかにもいくつか単位がある。
さらに、DTPで用いるポイントも、インチを用いて定義されている。
同じアメリカでも、別のポイント体系がある。こちらは活字で用いており、83パイカ=35cmと定義することによりポイントを定義する(1パイカ=12ポイントというのは変わらない)。これはヤード・ポンド法とは無関係である。この2種類のポイントを扱う都合上、TEXでは1ポイントを1/72.27インチと定義し、DTPポイントをビッグポイントと呼び、さらにこれらの長さをある程度うまく扱えるようにスケールド・ポイント(sp)を1/65536ポイント(=約5.362ナノメートル)という最小単位の倍数に丸めて扱うことになっている。
なお、航空・海運関係でマイルといった場合、それは海里(1852m、nautical mile)であり、ヤード・ポンド法とは無関係である。
質量
- 1グレーン=64.79891mg
- 1ペニーウェイト=24グレーン=1.55517384g
- 1ドラム=27.34375グレーン=1.7718451953125g
- 1オンス=16ドラム=28.349523125g
- 1トロイオンス=20ペニーウェイト=31.1034768g
- 1トロイポンド=12トロイオンス=373.2417216g
- 1ポンド=7000グレーン=16オンス=453.59237g
- 1ストーン=14ポンド=6.35029318kg
- 1米クォーター=25ポンド=11.33980925kg
- 1英クォーター=2ストーン=12.70058636kg
- 4クォーター=1ハンドレッドウェイト=45.359237kg(米)/50.80234544kg(英)
- 1トン=20ハンドレッドウェイト=907.18474kg(米)/1016.0469088kg(英)
なお、1米トンをショートトン、1英トンをロングトンと呼ぶことがある。この文脈でいう場合、メートル法のトンはメートルトンなどと呼ばれる。
面積
ほかの単位は単なる計算で出るので割愛。
体積
体積は英国と米国で単位の互換性がまるでない(質量はポンドまでは統一されていたが、体積はそれすらない)。さらに乾量と液量でも使う単位が異なるため、非常にカオスになる。
英国乾量
使う単位は立方インチなどのシンプルな組立単位のみ。このため省略。
英国液量
こちらは単位が豊富に存在する。
- 1ミニム=59.19388020833…μL
- 1液量ドラム=60ミニム=3.5516328125mL
- 1液量オンス=8液量ドラム=28.4130625mL
- 1ジル=5液量オンス=1.420653125dL
- 1パイント=4ジル=5.6826125dL
- 1クォート=2パイント=1.1365225L
- 1ガロン=4クォート=4.54609L
- 1ペック=2ガロン=9.09218L
- 1ブッシェル=4ペック=36.36872L
- 1バレル=36ガロン=163.65924L
米国乾量
- 1乾量パイント=33.6立方インチ=550.6053504mL
- 1乾量クォート=2乾量パイント=1.1012107008L
- 1乾量ペック=8乾量クォート=8.8096856064L
- 1ブッシェル=4乾量ペック=35.2387424256L
米国液量
- 1ミニム=61.611519921875μL
- 1液量ドラム=60ミニム=3.6966911953125mL
- 1液量オンス=8液量ドラム=29.5735295625mL
- 1パイント=16液量オンス=473.176473mL
- 1クォート=2パイント=946.352946mL
- 1ガロン=4クォート=231立方インチ=3.785411784L
- 1ビールバレル=31ガロン=117.347765304L
- 1液量バレル=31.5ガロン=119.240471196L
- 1石油バレル=42ガロン=158.987294928L
その他
現在の利用例
前述したように現在は世界のほとんどがメートル法を採用している。日本では「取引または証明について、一部の例外を除き原則としてメートル法以外の計量単位の使用は禁止」されている。しかし、日常生活の中では未だにヤード・ポンド法が使われているものもある。
航空機業界はヤード・ポンド法が主流となって使用されている。これは未だに使い続けているアメリカ合衆国が航空におけるデファクトスタンダードとなっていることが大きな要因である。
その他、テレビの大きさを表す時やゴルフでの距離、ボウリングの玉の重さを表す際にはインチやヤード、ポンドを使って表記されている。さらに電気製品では意外とまだインチが使用されていることが多い。
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関連項目
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