ライラック(競走馬)とは、2019年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牝馬。
主な勝ち鞍
2022年:フェアリーステークス(GⅢ)
概要
父オルフェーヴル、母ヴィーヴァブーケ、母父キングカメハメハという血統。
父は言わずと知れた三冠馬にして超気性難で知られた「金色の暴君」。直近の先輩”ライラック”であるGI4勝のラッキーライラックの父でもある。
母は24戦1勝だが、その祖母スカーレットブルーはダイワメジャー・ダイワスカーレット兄妹の母として知られるスカーレットブーケの全姉にあたる。
母父はNHKマイルと東京優駿を制した変則二冠馬であり、現代日本競馬におけるディープインパクトと並ぶ大種牡馬。
半兄に2019年の札幌2歳S(GⅢ)を勝ったブラックホール(父ゴールドシップ)がいる。
2019年4月28日、テイエムオペラオーの生産牧場として知られる浦河町の杵臼牧場で誕生。馬主は兄ブラックホールと同じく芹澤精一。厩舎も兄と同じ美浦の相沢郁厩舎に入厩した。
主戦のミルコ・デムーロは「気難しく、テンションの上がりやすい馬です」、相沢師は「気性面で父に似たようなところもあります」とコメントするあたり、大人しかった兄と違い、曾祖父*サンデーサイレンス、祖父ステイゴールド、父オルフェーヴルと代々続く癖馬の血を強く継いでいる模様。
紫丁香花の花束を
2歳~3歳
デビューは2021年10月16日に東京競馬場で行われた新馬戦(芝1800m)。鞍上はミルコ・デムーロ。1番人気に推され、好位で先行すると直線で楽々と抜け出し1と3/4馬身差をつけて快勝。
次戦は牝馬ながら牡馬混合の2000m戦、GⅢ京都2歳ステークス(2021年は阪神競馬場開催)に挑戦。紅一点ながら4番人気に推され、道中は5番手につけ早めに仕掛けたが、直線で置いていかれジャスティンロックの8着に敗れた。
ちなみにこの阪神競馬場に輸送する時、馬運車に乗るのにごねて40分以上もかかり、レースでもゲート入りを嫌がるという、若さゆえかあるいは代々続く気性の課題が現れていた。
3歳になっての初戦は2022年1月10日のGⅢフェアリーステークス。出走16頭すべてが収得賞金400万円の1勝馬で、6番人気までが単勝10倍を切る混戦模様の中、本馬は単勝7.1倍の5番人気。出遅れて最後方からのスタートになったが、残り800mからどんどん上がっていき、コーナーも思いっきり大外をブン回して直線に入ってもなお伸びて、1番人気スターズオンアースをクビ差かわしたところがゴール板。重賞初制覇を挙げた。
この勝利で牝馬三冠戦線へ向かうことになり、クラシック登録をしていなかったため、追加登録料を支払いGⅠ桜花賞へ出走。阪神競馬場の輸送は京都2歳S以来だが、今回は輸送に関しては馬運車に乗る練習を何度かしたことで、スムーズに馬運車に乗り輸送できたそうな。デムーロがサークルオブライフに回ったため鞍上は福永祐一。
10番人気の低評価を覆したいところだったが、ゲート内で後ろにもたれてしまいスタートで思い切り出遅れ、最後方からのレースとなってしまう。直線に入っても前が壁になって抜け出す進路は見つからず、前走フェアリーSで破ったスターズオンアースの勝利の陰でほとんど何もできないまま16着に撃沈。
続いてGⅠ優駿牝馬へ。福永はエリカヴィータに取られて鞍上は横山和生。もともと相沢師は「1600mの馬ではありません。距離は延びるほど良いと思います」と語ってはいたものの、12番人気に留まる。
和生騎手いわく返し馬の時点では落ち着いていていい雰囲気だったというが、ラブパイローに蹴られたサウンドビバーチェの放馬による長時間の発走遅れというアクシデントで集中力が切れてしまったらしく、またもスタートで完全に出遅れ後方からになり、見せ場なく11着。一応、同じように待たされて集中力が切れ出遅れで撃沈したサークルオブライフ(12着)やウォーターナビレラ(13着)には先着したが……。
秋はGⅢ紫苑ステークスから始動。デムーロは今回もサークルオブライフに回ったため鞍上は戸崎圭太。オークス2着のスタニングローズが抜けた1番人気であとは混戦模様の中、6.8倍の6番人気。
ここ2戦の最大の課題だったスタートは無難に決まり、中団の外目に構える。積極的に逃げる馬がおらず逃げる予定のなかったサウンドビバーチェが逃げる形になり、3コーナーでは馬群が詰まっていく展開になって一度は下げ気味になるが、4コーナーで外から捲っていき、逃げ粘るサウンドビバーチェと先行抜け出しを図るスタニングローズを猛然と追い込む。最後はもうひと伸びしたスタニングローズに振り切られ、サウンドビバーチェにもクビ差届かず3着に敗れたが、無事に秋華賞の優先出走権を確保した。
春のリベンジを目指し、予定通りGⅠ秋華賞へ。サークルオブライフが怪我で離脱したこともあり鞍上はミルコ・デムーロに戻り、1枠2番、19.9倍の6番人気。
課題のスタートは今回も無難に決めたが、ハミを噛んでしまい、デムーロが抑えようと手綱を引いた結果、下がりすぎて最後方ポツンのレースになってしまう。大外から上がり2位の33秒9の脚で追い込んだものの、さすがにあまりにも後ろ過ぎてどうにもならず、見せ場はなく10着まで。デムーロは「うまく乗れませんでした」と反省の弁。
続いては強気にも、引き続きデムーロを鞍上に、GⅠエリザベス女王杯に参戦。国内3歳勢からは彼女の他に秋華賞1着のスタニングローズと2着のナミュール、また桜花賞5着・オークス4着ながら賞金不足で秋華賞を除外となり同日の西宮Sを圧勝したピンハイが参戦。牝馬三冠全て2桁着順のライラックはこのメンバーの中では明らかに格下と見られ、52.9倍の12番人気に留まった。
今回も後ろから2番目の位置でのレースとなったが、雨の重馬場で内を通る先行勢の脚が鈍り始めると、3コーナーから徐々に進出を開始。直線では大外から前をいくジェラルディーナを猛追する。結局ジェラルディーナには完全に振り切られたが、先行勢から唯一粘ったウインマリリンを捕らえ、全くの横並びでゴール。長い写真判定の末、ウインマリリンとの2着同着となった。デムーロは「パンパンの馬場よりも今回のような柔らかい馬場の方が良かったです」とのコメント。
悔しい結果に終わった牝馬三冠から一転、古馬相手にパワフルな力走を見せ、道悪適性を示したライラック。ダートでも強いオルフェの血か。3歳シーズンを翌年への希望を持たせて終えた。
4歳
明けて4歳、2023年初戦はなんと3月のGⅡ阪神大賞典を予定していたが、さすがに3000mは無謀だったか、同じ天皇賞(春)のステップレースである日経賞にスライド。不良馬場になったこのレース、向こう正面まで最後方での競馬になったが、彼女にとっては平常運転である。3コーナーから早めに仕掛けて上がっていき、4コーナー時点で7番手。上がり600mは1着タイトルホルダーに0.1秒遅れる36秒9でまとめ上げる(なお2コーナーからずっと先頭を走ってる模様)が、37秒0でまとめたボッケリーニ(昨年の目黒記念覇者、なお昨年の日経賞も2着)、タイトルホルダーとともに逃げ、突き放されたディアスティマ(一昨年の札幌日経オープンの覇者。その後長期休養明けの京都大賞典5着)には届かずの4着に終わった。だが、人気の軸であった昨年の菊花賞馬アスクビクターモアがスタートでしくじって9着に沈んだこともあり、きちんと実力を示した格好となった。
次走はアフターダービーのハンデ重賞・目黒記念。引き続き2500mの長距離に近い中距離という事で、凱旋門賞を目指すサリエラらを相手に秋のGⅠ戦線に向けて得意の距離で存在感を見せておきたい。
咲き誇る場所を求めて挑戦を続けるじゃじゃ馬娘ライラック。2022年クラシック世代の牝馬でも見逃せない存在となりそうである。
同名の競走馬
- 初代は1962年生まれ(中央28戦2勝、主な勝ち鞍: 4歳以上50万下(今の3歳以上1勝クラスに相当))。
正確なつづりは「ライラツク」。当時は小文字を使用できなかったため。繁殖入りしたがこれといった産駒はない。 - 2代目は1995年生まれ(地方9戦0勝)。*ノーザンディクテイター産駒。
- 3代目は2003年生まれ(地方60戦5勝)。メジロマックイーン産駒。
血統表
オルフェーヴル 2008 栗毛 |
ステイゴールド 1994 黒鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
ゴールデンサッシュ | *ディクタス | ||
ダイナサッシュ | |||
オリエンタルアート 1997 栗毛 |
メジロマックイーン | メジロティターン | |
メジロオーロラ | |||
エレクトロアート | *ノーザンテースト | ||
*グランマスティーヴンズ | |||
ヴィーヴァブーケ 2006 青鹿毛 FNo. 4-d |
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo | Mr. Prospector |
Miesque | |||
*マンファス | *ラストタイクーン | ||
Pilot Bird | |||
ブルーリッジリバー 1999 黒鹿毛 |
フジキセキ | *サンデーサイレンス | |
*ミルレーサー | |||
スカーレットブルー | *ノーザンテースト | ||
*スカーレットインク |
インブリード: *サンデーサイレンス 3x4(18.75%)、*ノーザンテースト 5x4x4(15.63%)
4代母のスカーレットインクは、ダイワスカーレットの祖母である。
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