ラインラント(Rheinland)とは、ドイツ西部を流れるライン川の流域を指す地理用語である。
概要
ラインラントは、「ライン川」を意味する Rhein と、「土地」を意味する Land との合成語であり、ライン河畔の土地を指しているが、ドイツ南西部のバーデン地方(現在のバーデン=ヴュルテンベルク州のライン沿岸の大半)などは含まない。現在の行政区分でいうと、ラインラント=プファルツ州のほぼ全域と、ノルトライン=ヴェストファーレン州の南西部が主たる構成要素といえる。なお、ノルトライン=ヴェストファーレン州の「ノルトライン」という用語自体、ラインラントの北側(ドイツ語で Nord- )を意味している。
ライン川は古代から交通の要であったため、その沿岸に多くの都市が築かれた。上流から見ていくと、マインツ、コブレンツ、ボン、ケルンなどが挙げられる。ライン川の支流モーゼル川の沿岸にあるトリーアなどもラインラントに含まれる。中世にはマインツ、ケルンおよびトリーアの大司教(選帝侯)に属していた地域も多い。ナポレオンによってフランスに併合されるなどの変遷があったが、ナポレオン没落後は主にプロイセンに属するようになった。
近代になると北部のルール工業地帯(ライン川の支流ルール川がライン川に合流する一帯)を中心に工業化が進展した。第一次世界大戦後のヴェルサイユ条約によって「非武装化」が定められたが、ヒトラー政権下でそれを反故にする「ラインラント進駐」が行われた。
関連項目
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