ラクロスとは、網付き棒(クロスと呼ばれる)を使ってボールを奪い合い、相手のゴールに入れる球技の一種である。
概要
wikipediaによると、北米大陸南東部のインディアンの儀式、または部族間抗争の平和的な解決の為に行なっていたもので、最大規模では優に1チームが1,000人以上で争われた事もあったらしい。
後にフランス系移民がスポーツとして取り入れ、競技用スティックがキリスト教の僧侶が持つ杖に似ていた事から、定冠詞「La」+「crosse(杖)」で「ラクロス」と呼ぶようになったそうな。カナダではラクロスの魅力に取り付かれた歯科医によって現代競技として整理・普及。1869年に公式ルールブックが出版。同年にカナダの国技(今日では、アイスホッケーも1994年に国技と定められたため、夏を代表する国技)となった。
日本でも明治時代には知られていた競技だそうだが、ブームとなったのは80年代後半~90年代中盤ぐらいからで、女子大生からオシャレなファッションスタイル(当時のユニフォームがポロシャツとミニスカートだった。現在はシャツと巻きスカートである)として広められ、現在では徐々に裾野が広がり、女子を中心に2万5000人ほどの競技人口がいる。それでも他球技に比べ少ないのは殆どのラクロス経験者が大学からであり、高校以下の学校でのラクロス部(特に男子)は極めて少ないことと、また社会人チームがあまり存在しないことである。だが、近年は就職に有利なスポーツとしても脚光を浴びている(スポーツ推薦枠での入学者が皆無なので、いわゆる脳筋タイプがいないためだとか)。
それゆえ、日本ではかなり偏ったイメージが植え付けられており、ちょっと活発なお嬢様が優雅にプレイする女子ラクロスのイメージが強い(尤も、この傾向は海外でも見られるようである)。しかし、後述するが女子ラクロスは実際プレイを見るとかなり激しく、スピードと高い技術と知略が求められる華麗かつ、戦略的なスポーツとなっている(フィールドホッケーがそれに近い)。
対して、相手に直接触れる事自体が違反行為となる女子ラクロスと違い、男子ラクロスは激しいボディコンタクトが容認されているため、防具は必須である。更に、クロスによる球の加速もあり、瞬間的に時速160キロに達するなど「地上最速の格闘球技」と呼ばれるほど高速で激しい試合が展開される(アイスホッケーがそれに近い)。
このように、男子と女子で全く別物の競技となっているのもラクロスの特色である。
ラクロスの特色
クレイドル
ラクロスならではの基本テクニックで、クロスにボールを入れたまま、クロスを微妙に揺らしながら、ボールを遠心力を駆使して運ぶ動作。これを極めると様々なプレイが可能になる。クレイドルとは揺り籠のこと。
チェイス
ラクロスが他の球技と異なる点が、チェイスという独自のルールである。これはボール保持がどちらにも拘わらず、ボールが外に出た場合は、出た時点で、そのボールに一番近い選手がボールを保持する権利を有するものである。
男子ラクロスと女子ラクロスの違い
- 人数
男子は各チームに10人、女子は各チームに12人となっている。ポジション人数の違いはミディと呼ばれるMFの差である(男子3人、女子5人)。体力消耗が激しいスポーツのため、選手交代は自由である。 - クロス
男子は金属製が義務づけられている(木製だと試合中に壊れる危険が高い)。対して、女子は金属製、木製のいずれを選んでもよいことになっている。 - 防具
男子は、クロスを含めた激しいボディコンタクトがあるため、ヘルメットや肘当て、グローブなどが必須となっている。女子は国によって必須であったりなかったりするが、日本ではマウスピース着用が義務づけられている(また、目を保護するためのアイガードは任意となっている)。 - 時間配分
男子は4クォーター制(20分×4)、女子はハーフタイム制(25分×2) - ボディコンタクト
男子は、ボール保持者に対して、またはグラウンドボール(ボールが地面に落ちること)の状態でボールから3ヤード以内(約28m)にいる選手に限り、攻撃道具のクロスさえも相手を牽制することができる手段となっているほどボディコンタクトに対しては寛容であり、ここが女子との決定的な違いとなっている。ただ、スラッシング(クロスで相手の頭を叩く)、トリッピング(相手の足をひっかける)、プッシング(相手を後ろから押す)、ガーディング(ボールを保持したクロスと反対の手を使って、相手のクロスやタックルをガードする)などは反則である。女子は、それとは正反対に、選手同士のボディコンタクトは一切禁止されている。そのため、選手同士の牽制はクロスだけを使って行われる(但し、ボール保持者に対してのみで、悪質なものは反則になる)。 - フェイスオフ/ドロー
フェイスオフ、またはドローとは、各クォーター開始直後、あるいは得点後に行われる。男子はフェイスオフといって、ボールをグラウンド上の一定の場所に置き、審判の合図が鳴ってから1対1でボールを奪い合う。この時、他のプレイヤーはいずれかがボールを奪う、或いはコートの外に出る、ゴールを決められるまで、一切動いてはいけない(Gは除く)。女子はドローといって、ボールを真上に投げ上げて、そのボールを奪い合ってから(いわばバスケのジャンプボール)スタートする。 - ボールのパス
男子は、クロスによるボールパス以外に、クロスを使ってボールをグラウンド上で転がす、または足を使ってボールを蹴ることが容認されている。対して、女子はボールを一切身体で捌いてはいけなく、ボールをパスできるのはクロスによるものだけである。 - オフサイド
男子の場合は、ハーフラインを境に、常にオフェンス側に3人、ディフェンス側に4人が残っていないといけない(Gを除き、ポジションは問わない)。これを違反した場合はオフサイドの反則を取られる。女子の場合はリストレイニングラインというラインが基準となっており、オフェンス時はこのラインに入れるのは7人まで、ディフェンス時はG(ゴーリー)を含め8人までとなっている。 - フリースペーストゥーゴールの有無。
女子の場合のみ適用される、シュートに関するルール。女子の場合はゴールから15m半円内にいる選手に限り、シュートを打とうとしている相手に対し、GKを除く選手はゴールサークルと選手間を結ぶ接線内にいてはならないという独自のルールがある。これをフリースペーストゥーゴールの侵害という。ディフェンスの安全を確保するために設定されたルールであるが、男子はこのルールがないので、体を張ってシュートを止めに行く必要がある(気合いだー!)。 - G(ゴーリー)の資格
男子はハーフラインを超えること、またはシュートを打つことが可能である。対して女子のGはハーフラインを超えてはいけない。また、ハーフライン内であってもシュートを打つ資格もない。 - ファウルの種類
男子はテクニカルファウル、パーソナルファウルに分けられ、テクニカルファウルよりパーソナルファウルの方が重い。テクニカルファウルはボールを所持している場合は相手ボールになり、持っていない場合は30秒の退場となる(代わりの選手は入れないため、人数的に不利になる)。パーソナルファウルは1分間の退場になるため、より条件が不利となる。この条件が有利な状態をエキストラ、対して不利な状態をマンダウンと呼ぶ。また、後述する女子と違い、ファウルによってプレーは中断しない。
女子はマイナーファウル、メジャーファウルに分けられ、メジャーファウルの方が重い。ペナルティはフリーポジション(略してフリポ)というフリーでシュートを打つ権利が与えられ、ファウルを起こした選手は4m下がる。また、ホイッスルが鳴った場合は選手はクリーピングといって、全員プレイを中断しなければいけない。
プロリーグ
ラクロスのプロリーグは、アメリカ合衆国に2つ存在している。1987年に屋内ラクロスのNLL(National Lacrosse League)が誕生し、2014年12月現在9チームが参戦。1999年にはフィールド・ラクロスのMLL(Major League Lacrosse)が設立され、2001年に6チームでシーズン開始。その後は参戦チームの増減を繰り返し、2014年12月現在8チームが参戦。2019年までに16チームへの拡大を目指している。
いずれのプロリーグも、比較的新しく出来たのが特徴である。なお、NLLのBuffalo Bandits所属のトップ・プレイヤーJohn Tavaresでも年俸約3万ドル、少ない人では9,000ドル程度であるらしい。MLLもNLLとおよそ似たような給与体系である模様。プロスポーツ、しかも格闘球技と呼ばれ危険を伴う割にはサラリーが控えめなのも特徴である。
ラクロスに関する作品・キャラクター
キャラクター
- 麻宮アテナ(KOF)
- 桜田のり(ローゼンメイデン)
- 椎名桜子(魔法先生ネギま!)
- 中村栞(ぼくらの放課後戦争!)
- 新田美波(アイドルマスターシンデレラガールズ)
- 塔ヶ崎エリ(乃木坂春香の秘密)
- 長谷川平乃(探偵オペラ ミルキィホームズ)
- 葉月真帆(天使のいない12月)
- パトロシア・サリバン/イザベル・サリバン(おちゃめなふたご クレア学院物語)
- 原田梨紅(D・N・ANGEL)
- 美墨なぎさ(ふたりはプリキュア/ふたりはプリキュアMH)
- 吉岡ハル(猫の恩返し)
作品
- クロス・マネジ -KAITO作の女子ラクロスを扱った漫画作品。
- 少林少女 - 2008年公開の日本の映画作品。
- ドラッグストア・ガール - 2004年公開の日本の映画作品。
- きみの声をとどけたい - 2017年公開の日本のアニメ映画。
- バガタウェイ - 古日向いろは作の女子ラクロスを扱った漫画作品。12巻完結とラクロス漫画では最も長寿。
- 暴風ガールズファイト - 佐々原史緒作の女子ラクロスを扱ったライトノベル作品。
- グローリーショット~栄光への奇跡~ - 原題はCrooked Arrows。珍しい男子ラクロスの映画作品。劇場未公開。
…物の見事にメディアはこぞって女子ラクロスばかりになっている。
まぁみんな筋骨隆々な野郎よりヒラヒラとか見たいもんね。仕方ないね。
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関連項目
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