ラクーンシティ(Racoon City)とは、『バイオハザード』シリーズに登場する架空の都市である。
『バイオハザード2』『バイオハザード3』『バイオハザード オペレーション・ラクーンシティ』『バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ』『バイオハザード ダークサイド・クロニクルズ』
『バイオハザード アウトブレイク』『バイオハザード アウトブレイクFILE2』等で登場する。
概要
アメリカ合衆国の中西部に位置する都市。洋館事件に次ぐ二例目のTウイルス漏洩事故に見舞われた街だが、その規模は洋館事件を遥かに凌ぐ事から『バイオハザード』シリーズ全体で見ても重要な位置づけとなっている。主要人物の大半がラクーンシティの漏洩事故に関わり、影響は『6』まで続いている。Tウイルス漏洩から消滅までの約1週間は「ラクーンシティ事件」と呼称され、犠牲者は10万人に上った。
かつては自然豊かな山々に囲まれた小さな田舎町であった。町へと通じる道路はハイウェイ1本のみと心細く、空港や市外へ通じる公共交通機関は無い言わば陸の孤島。山の中には隣町へ通じる古い道があるが、知っている者は少ないとされる。水源地はアークレイ山地にある湖で、ラクーンダムが建設されている。いつ頃から町が誕生したのかは不明だが、1960年に後の市長となるマイケル・ウォーレンが訪れて町の電化に尽力。1968年に路面電車が作られ、続いてカイト兄弟の手で地下鉄が開通。当時は三駅分しかない小規模なものだった。そして1969年に巨大製薬企業・アンブレラの工場を郊外へ誘致した事がきっかけで爆発的な経済発展を遂げていく。企業城下町となったラクーンシティはアンブレラからの潤沢な出資を受けて設備が整った総合病院、警察署、市庁舎を建築し、老朽化したセントミカエル時計塔とラクーン大学の修復を行った。1996年にはアンブレラがスポンサーとなり、治安強化の一環で警察内に特殊部隊『S.T.A.R.S.』を設立。単なる田舎町に過ぎなかったラクーンシティは中規模都市にまで拡充され、人口も爆発的に増加。最低でも10万人以上の住人がいた。他にも地下鉄、消防署、スタジアム、美術館、動物園といった各種施設が確認できる。Tウイルスの漏洩事故を「原子力発電所の事故」とペンタゴンが発表した事から、原発も存在するようだ。
しかしアンブレラが関わった事で、街には黒い噂が絶えなかった。立ち入り禁止の公園奥地、地下の研究施設、アークレイ山地で目撃される奇怪な生物など……怪しい部分が多かった。だがアンブレラから多かれ少なかれ恩恵を受けてきた市民の大多数は、それを口に出す事が出来なかった。そしてそのツケを、彼らは払わされる羽目になる。
このように都市化されていたラクーンシティであるが、『バイオハザード2』のオープニングでは「小さな街ラクーン」と語られており、シリーズ初期の段階だと片田舎の街扱いだったようだ。
ネタ
ラクーンシティの住民にとってハーブは身近なものであり、調合は当たり前のように行える。プレイヤーとして選択できるキャラは大体ラクーンシティに居住しているので、その恩恵をしっかり受ける事が出来る。ただし『0』に登場するビリー・コーエンのみ、市外の人間なので調合が出来ない。栽培を市ぐるみで推奨しているのか、市内の至るところで植えられている姿が見受けられる。
ハーブ以外によくネタにされるのが、意味不明の仕掛けが大量に配置されている点である。謎解きが多いゲームなので仕方のない面もあるが、明らかに生活に支障が出るレベルでパズルやら忍者屋敷のようなカラクリで満ち溢れている。その割にはパスコードの管理がずさんで、個人の手記やメモに書いてある事が多々。またラクーンシティの住民は日記を付けるのが大好きで、危険が迫っている状況下でも、死ぬ寸前でも日記を書いている(シリーズ全体に言える事だが)。バイオハザードRE:2ではそのネタが拾われたのか、孤児院の子供たちには日記を書く事が義務付けられていた。四方を山で囲まれた、外界から隔絶された立地だからこそ根付いた独特な文化なのだろうか。
『ラクーン君(Mr.Racoon)』というマスコットキャラがいるのだが、絶妙なウザさもあってか市民には受け入れられなかったようで、何かと銃撃の的にされている。『RE:2』の実績ではとうとう「害獣」扱いを受けるに至った。
死の街と化したラクーンシティ
バイオハザード発生前
1998年5月11日、郊外のアークレイ山脈に位置する洋館(研究所)でバイオハザード発生。その10年前にジェームス・マーカスがアンブレラ内での権力争いに敗れ殺害された際、自身が研究していたt-ウイルスの影響で巨大化した女王ヒルが死体に入り込み、10年かけて彼の記憶を取り込んで復活。アンブレラへの復讐のため黄道特急と研究所を汚染させたことが全ての始まりだった。ケルベロスやゾンビが周辺の森に解き放たれ、5月20日にシダー区マーブル河に女性の惨殺死体が流れ着いた。猛獣に襲われたような跡があったという。
6月16日、アークレイ山脈で奇怪な化け物(ケルベロス)の目撃例が続出。また孤立した民家に10名ほどの暴徒が押し入って家族を惨殺、加えてアークレイの森林に入った登山客が遭難ないし行方不明になるなど異様な事件が続発。これを受けて、7月9日に山道が全面的に閉鎖された。この時、S.T.A.R.S.が遭難者の捜索に投入されている。一連の猟奇的事件は連日市内で報道された。7月23日、奇怪な事件が続くアークレイ山脈の調査のため、S.T.A.R.S.のブラヴォーチームが介入。しかしヘリの墜落事故により消息を絶つ。翌24日、ブラヴォーチーム捜索のためアルファチームが投入され、洋館事件に巻き込まれる。殉職者多数を出し、事実上S.T.R.A.S.は機能を喪失した。
一方、市内にあるアンブレラの秘密工場からはt-ウイルス汚染水が垂れ流されていた。濃度が日に日に高くなり、次第に下水道に設置した処理装置では対応し切れなくなってきた。7月29日、ついに処理機能の限界を超え、作業員に感染者が出始める。この作業員に接触した警察官も感染し、ゆるやかに拡大が始まった。この異常事態にスクープの匂いを感じ取ったフリージャーナリストのベン・ベルトリッチが、8月31日にラクーンシティへ入った。
9月上旬、ラクーンシティに奇病が流行。人を襲ってその肉を喰らう異常者が現れ、次々にラクーン総合病院へと運び込まれた。『3』で確認できる医院長の手記によると、9月10日の時点で既にゾンビ化現象が確認されている。発症した患者はラクーン総合病院に搬送されたが治療の術が見つからず、ただただ患者の数だけが増えていった。少なくとも医院長は治療法を探し続け、不眠不休で原因を探った。自分が倒れても良いよう、手掛かりをカルテに残すなど医者の鑑である。
9月18日時点で、地下鉄にはメガバイトと思われる虫が出現。職員のリッキーに噛み付いて感染させた。
初期
決定的になったのが、9月23日頃に発生したウィリアム・バーキン博士襲撃である。アメリカ政府へ寝返ろうとするバーキン博士からGウイルスを奪取するため、アンブレラより特殊部隊U.S.S.が送り込まれた。U.S.S.はラクーンシティの地下にある研究所に突入し、バーキン博士を銃撃。Gウイルスのアンプルが収められたアタッシェケースを奪取するが、死の間際にバーキン博士は自らの体にGウイルスを投与。G生物と化し、自分を襲撃したU.S.S.隊員を殺害して回った。その際にウイルスが入ったアンプルが割れ、バイオハザードの引き金となってしまう。
下水道に住み着いていたネズミが感染源となり、水源と生活用水を汚染。これを知らずに摂取した住民たちがウイルスに感染する。また下水道に近かったラクーン市警の犬舎にもウイルスが流れ、警察犬のドーベルマンが感染。飼育担当の警官を怪我させた事で、署内にウイルスが蔓延する原因になった。t-ウイルスの影響でネズミは巨大化・凶暴化し、瀕死の人間を貪るほどになったが、ゴキブリ(ラージ・ローチ)との生存競争に敗れて下水道から姿を消した。他にも感染したヒルがラクーン総合病院に侵入している。
9月24日午前、ラクーンスタジアムで観客の一人が暴徒(ゾンビ)化。周囲の人間に手傷を負わせ、それらの人間も暴徒化する。スタジアムにはラグビーの試合を観戦するため市外から沢山の人が詰め掛けており、想像以上に早い感染爆発が起きる。鎮圧のため50人以上の警官が投入された。夜になると本格的にゾンビが増え始め、メインストリートを埋め尽くすほどの数になっている。ラクーン市警は各所に警官を派遣し、バリケードを設置。住民に対して避難誘導を行い、暴動が発生した地区を封鎖した。「バイオハザード アウトブレイク」の発生シナリオではこの時期を描いている。市内は混迷を極めていたようで、レイモンド警官は「町中が戦場のようだ」とこぼしている。実際、道路のあちこちに事故を起こした車が乗り捨てられ、バスの事故によって道が寸断されている場所も確認できる。「発生」シナリオのラストで、警察に協力した市民の手によってメインストリートを爆破。ゾンビを一掃する事に成功したが、この影響で車での脱出が困難になった説がある。
この異変に気付き素早く脱出した市民は幸運にも助かった。事態の対処にあたるべきマイケル・ウォーレン市長も早々に逃亡しており、州軍に保護されている。9月25日未明、ペンタゴンはラクーンシティの異変を「原子力発電所の事故」と発表。市全域に放射能が広がっているとし、同日朝にアメリカ軍による調査隊の派遣と市の隔離封鎖が行われた。更にバーキン博士確保のため地下鉄経由で特殊部隊を送り込んでいる。州軍とアメリカ軍の封鎖が完了した後は市民の脱出が困難となる。
ゾンビと化した人間は生前の面影を残しており、生存者が家族や友達を撃つのをためらった事が感染拡大の要因の一つだと開発スタッフが語っている。
中期
ゾンビに支配されたラクーンシティは、徐々に死んでいった。
事態の対処に当たっていたラクーン市警は定期的に救助ヘリを派遣したり、警察署を避難所として開放したが、度重なるゾンビの襲撃で署員の殉職が相次ぎ、更に狂乱したブライアン署長やリッカーの出現で壊滅寸前に陥る。メインストリートの確保と市民の救助任務を帯びた選抜警官隊も9月27日に全滅。日付が変わって間もない9月28日深夜の時点で署員は4名にまで激減し、警察署の維持は不可能になった。生き残った署員は下水道を使った脱出計画を練ったが、どうなったのかは不明(アウトブレイクの死守シナリオでは脱出に成功)。
総合病院でも発症した患者と戦いながら、奇病の正体を掴もうとした。決死の捕獲作戦により市内に現れたB.O.W.のハンターγまで捕らえている。ところがワクチンの完成を目前にして医師が全滅してしまった。また病院の地下水道にはジャイアントリーチが巣を作っており、病院内にもリーチが侵入していた。崩壊後は唯一ハルシュ医師が生存していたが、リーチマンに襲われて死亡。カルロスが訪れた頃には既に生存者はいなくなっているうえ、ハンターβまで侵入している。
生存者の一部は逃げ場を求めて地下鉄へ逃げ込んだが、そこは既にギガバイトによって異界と化していた。繭に閉じ込められた挙句、ギガバイトやメガバイトに吸血されゾンビ化。消防署は比較的機能を維持し続け、生存者の捜索と各所で発生した火災の消火活動を実施。よく見るとパトカーの姿もある事から、警察と協同だった模様。しかしゾンビの襲撃と交通機関の麻痺により、次第に消火が困難になっていった。壊滅した描写は無いが、おそらく機能を失ったものと推測される。
生存者は武器を手にし、脱出の方法を探った。ケンド鉄砲店では、店主の好意により生存者に無料で武器と弾薬を配った。「バイオハザード アウトブレイク」では一般市民の奮闘が描かれている。9月27日頃までは生存者がいたようだが、ジルの独白によると28日以降は「逃げ惑う人々の悲鳴も聞こえなくなった」という。
アンブレラは市民救助のため傭兵部隊U.B.C.S.を派遣し、事態の収拾を図ったが、想定以上の数のゾンビに襲われて壊滅、散り散りになる。市内に残っていたジル・バレンタインが作戦終了を意味する時計塔の鐘を鳴らし、撤収用ヘリが現れたが、追跡者によって撃墜。U.B.C.S.の生存者も脱出のすべを無くす。
その一方で、アンブレラは黒い陰謀を張り巡らせていた。会社の不利になる証拠品を抹消するため、ひそかに監視員を投入して破壊工作を行わせた。さらに生存者を抹殺するため陸路からハンターを搬入。空からはタイラントやネメシスを投下した。投入したB.O.W.を自社のU.B.C.S.と戦わせて戦闘データを取るなど、鬼畜の所業に手を染めた。
末期~終焉
t-ウイルスの漏洩により、ラクーンシティには独特の生態系が築かれるまでに至った。生存者は殆どいなくなり、死者とクリーチャーの街と化す。
市民の生存を絶望視した合衆国大統領と連邦議会は、シモンズら急進派の扇動によって滅菌作戦「コードダブルエックス」の発動を決定。10月2日の夜明けとともに核ミサイル(アウトブレイクでは多数の通常弾頭)を撃ち込み、ラクーンシティは地上から消滅。ゾンビも生存者も証拠品もクリーチャーも全て焼き払われ、巨大なキノコ雲が墓標のように立ち昇った。
『3』のエンディングで流れるニュースでは原子力発電所の事故ではなく「致命的なウィルス汚染」と発表しており、事実を公表したようである。しかし自国に核攻撃をしたため世論の非難が殺到、決断を下した大統領は辞任している。ドラマアルバム『小さな逃亡者シェリー』ではガソリンスタンドの爆発事故とされ、全域が炎上する様子が隣町ストーンヴィルからも確認できた。
ラクーンシティの跡地は立ち入り禁止となったが、アンブレラは極秘裏に怪しい実験を行っていた。また『小さな逃亡者シェリー』では周囲を封鎖した上で、アメリカ軍の防疫部隊が降下。火炎放射器を使ってゾンビを処理する様子が描写されている。懲りずに第二、第三のラクーンシティを生み出そうとしていたアンブレラであったが、この一件で悪行が明るみに出る。アメリカ政府から業務停止命令を喰らい、訴訟を起こして何とか食いつなごうとするものの、2003年にロシアで行っていた秘密実験が暴露されたのが決定打となり、全面敗訴。株価が暴落し、社会的信用を失って一気に倒産へと転がり落ちていった。
バイオハザードRE:2とRE:3では
町並みが一新され、高層ビルが林立する都会になっている。かなり印象が変わっているが、タイトル画面にはアウトブレイクの発生シナリオで登場したバーの建物が映っているなど、過去作をプレイしてきたファンへのサービスも確認できる。オープニングでは地下鉄や摩天楼、乗り捨てられた車が確認できる。原作では市外へ通じる道はハイウェイだったが、リメイク版では一般道になっている。
新たにアンブレラ資本で作られた『孤児院』と地下研究施設『NEST』、『NEST2』が登場。
孤児院はアンブレラの慈善事業の一貫として対外的にもアピールされていたが、裏では密かに子供を使った人体実験が行われており、被検体として選ばれた子供は「里親に出す」という名目でNESTに送られていた。最終的にNESTから脱走して逃げ戻った子供に端を発し、子供たち全員が被検体とさせられた悲惨な顛末が伺える。
NESTはオリジナル版の地下研究所と比較してより近代的かつ巨大な作りとなっており、リストタグによる厳重なアクセス管理が行われている。独立した3つのエリアで構成されていたが、バーキン博士襲撃の際に関係者は全員死亡、ゾンビ化。一部は巨大植物B.O.W『プラント43』に取り込まれ、燃やさない限り何度でも蘇る『イビー』となっている。NEST2も壊滅状態に陥っており、ジルが突入した時にはゾンビに支配されていた。
旧作との変更点として、まずラクーン総合病院が『スペンサー記念病院』に改名。スペンサー記念財団が投資して建造した事になっており、最先端の医療が受けられる。地下に怪しげな研究所が作られたが。市内を走る路面電車が廃され、鉄道は地下鉄だけになった。リメイク版では地下鉄は異界になっておらず、ミハイル小隊長たちが拠点を置く安全地帯となっていた。鉄道会社から送られてくる運行システムにより自動運転を実現しており、車掌なしで車両が動かせるようになっている。
リメイク版のラクーン事件
RE:2とRE:3で大幅にシナリオ変更されたため、それに伴って旧作とは時系列や出来事が異なっている。
1998年9月22日23時45分頃、U.S.S.によるウィリアム・バーキン博士襲撃が発生。この余波でTウイルスが漏洩し、バイオハザードへと繋がる。この日を境に感染者が続々と発生し、スペンサー記念病院に搬送されている。理事長命令で無償の治療を行っていたが、治療法など無いため拘束具を着せた上で隔離病棟に移すしかなかった。止まらない感染者の増加で病院のキャパシティは限界に近づきつつあった。
9月25日未明、ラムズ美術館北側で浮浪者風の男に通行人が襲われているとの通報がR.P.D.に入った。駆けつけた警官により、ゴミ捨て場にて女性の惨殺死体を確認。数十箇所に及ぶ噛み跡と四肢の欠損から、食人事件とされた。このような事件は今月に入って既に3件起きているという。本事件を報じたニュース・コメット紙はスペンサー記念病院が怪しいと睨み、記者が潜入を試みたが音信不通となっている。同日中に大規模暴動となり、警察署を一時避難所として開放。警官は市民の避難を最優先とした。夜に市民の一人がゾンビ化し、署員1名が死亡。3名が負傷する事件が発生。まだゾンビ化現象が認知されていなかったのか、極度のストレスからくるパニックと片付けられた。猟奇事件が続いたからか治安が悪化し、市内で略奪や放火が相次ぎ無法地帯と化す。RE:3のオープニングではR.P.D.の他に消防車や救急車が走っている様子が確認できる。
9月26日、大量のゾンビが警察署を襲撃。戦闘により死傷者を沢山出し、通信機器が破壊されて外部との連絡が取れなくなる。非常用シャッターを下ろして退避には成功したが、警察署は完全に包囲されてしまう。どうやらアンブレラ社のスパイであるルーシー・イェンが事態を悪化させ、混乱に乗じて不都合な記録を抹消していたようだ。ニコライの調査記録によると、同日19時30分にゾンビ20体程度と警官5名が交戦。警官側が全滅している。
9月27日正午、ニコライの手によってラクーン大学にゾンビの群れが殺到。わずか2時間で壊滅した。13時、警察署の西側で再び戦闘が発生し、署員12名が死亡。生存者は僅か4名になり、署内は混乱を極めた。この日だけでスペンサー記念病院に20名以上の感染者が搬送され、病棟はパンク寸前に陥る。医師にも感染者が現れ、非番の者全員を出勤させて対応に当たった。
9月28日午前2時30分、フィリップス巡査の提案により下水道を脱出路に使う事に。生き残った署員は脱出経路を探るため、異界と化した署内を命がけで探索する事になった。市民救助のため投入されたU.B.C.S.も28日中に壊滅し、生き残りは絶望的な戦いを続けるか自害するかを迫られた。暴動は拡大を続け、ジルが動き始めた9月28日夜にはゾンビが大量発生。市内の至る所で乗り捨てられた車やバリケードが放置された。暴動に伴って電力会社は何故か計画停電を実施し、都市機能は麻痺。街は暗闇に包まれた。原作とは違い、28日になってもまだ多くの生存者が生き残っていた。
9月29日、とうとう病院の維持が不可能になり、感染していない者は患者を見捨てて立てこもった。21時頃には院内の生存者はほぼいなくなり、立てこもっていた者たちも何かが近づく音を聞いた直後に全員死亡。ジルを担いでカルロスが立ち入った時には既にゾンビとハンターが支配する世界となっていた。
手に負えなくなったアメリカ政府は、10月1日に巡航ミサイルで街を焼き払う事を決定。生存者に避難を呼びかける放送を行ったが、ミサイル攻撃までの時間が非常に短かったため逃げられたかどうかは怪しい。
映画版
バイオハザードⅡ アポカリプス
原作同様大都市になっている他、地下にアンブレラの研究施設『ハイブ』がある。
映画版のラクーンシティは川に囲まれているようで、市内へ通じる橋が何本か架けられている。そのうちの1本がレイヴンズゲートという名称で呼ばれている。
前作「バイオハザード」でハイブにt-ウイルスが漏れ、隔離シャッターが降ろされた。アンブレラは調査のためシャッターを開放したが、中から大量のゾンビが現れ調査隊は壊滅。これがウイルス漏洩の切っ掛けとなった。
事態を知ったアンブレラは幹部やその家族を優先的に脱出させたが、一般市民には全く知らされなかった。このためゾンビ化が飛躍的早く進み、市内全域に暴動が波及。ラクーン市警が出動するも、事態は好転しなかった。ゾンビの一部は警察に逮捕・署内に連行されたが、暴れまわって署員を傷つけた事で感染を広げた。
夜、アンブレラは市民救助の名目で実戦部隊U.B.C.S.を投入。警察とともにゾンビの掃討に入るが、あえなく全滅。生き残ったのは僅かな隊員のみだった。
事態の深刻化に伴い、生存者は街の外へ出ようと出入り口の橋に詰め掛けた。しかし感染者が外に出るのを防ぐため、アンブレラは外へと通じる橋を全て封鎖。劇中ではレイヴンズゲートでの様子が描写されている。アンブレラの兵士が周囲を警備し、1人の医師が不眠不休で市民の感染具合を検査。陰性と判断された場合はゲートを通され、脱出する事が出来た。だが検査のペースが遅く、市民の脱出は遅々として進まなかった。そんな中、1人の老人が倒れてゾンビ化。「ゾンビ化がここまで来た」と判断したアンブレラのケイン少佐は、ゲートを閉じろと命令。逃げ遅れた生存者を死の街に閉じ込めた。ケイン少佐は門の上に立ち、「街は既に安全隔離地域」だとして帰宅するよう促す。当然市民はこれに反発し、罵詈雑言を投げかける。するとケイン少佐は兵士に命じ、スキート射撃。実弾を撃ち込まれた市民は悲鳴を上げながら、死の街へと逃げていった。この時点ではまだ沢山の生存者がいたが、次第にその数は減っていった。
このような惨状にも関わらず好機と見たアンブレラはネメシス計画を始動。病院内で眠っていた追跡者を起動させ、戦闘データの採集をしている。また生物兵器リッカーまで搬入した。
原作ではウイルス漏洩から核攻撃まで約一週間(9月24日~10月1日)あったが、本作では一日の出来事となっている。暴動の拡大が朝、U.B.C.S.投入やアリスの戦いが夜、核攻撃が夜明けの流れである。
最後は核弾頭によって消滅させられるが、「バイオハザード3」では合衆国主導だったのに対し、映画版はアンブレラの独断で核攻撃が行われた。命からがら脱出した主人公アリスらによって、アンブレラの悪行が報道機関に流されるも隠蔽工作により事実を捻じ曲げ、逆にアリスたちを悪役に仕立て上げた。ラクーンシティ消滅の件は、原子力発電所の事故とされた。
ちなみに最終決戦の地となったラクーン市庁舎は、デトロイトの市庁舎をロケ地にしている。市庁舎の壁を駆けながら落ちていくシーンは、スタントマンではなくミラ・ジョボビッチ本人の熱演である。やばい。
ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ
本作では大胆な設定変更が加えられ、さびれた街と化している。
元々はアンブレラ社の本拠地だったが、移転に伴って急速にゴーストタウン化。残っているのは僅かな従業員と転居すら叶わない貧困層だけという有り様だった。ラクーンシティの凋落は町外にも広がっていたようで、「クソ溜めの街」と揶揄されて部屋は空室だらけなのだという。街の看板に「Fuck Umbrella」という落書きがされている辺り、住民は廃墟化の原因となったアンブレラの移転を恨んでいる様子。
これに伴ってR.P.D.の規模は縮小され、選抜警官隊はおろか制服警官すら殆どいない。警察組織内部でも左遷先扱いとなっており、ヘマをしたレオン・S・ケネディが飛ばされている。時計塔や総合病院の姿も無く、警察署より大きい建物が見当たらない。また、クレア・レッドフィールドはラクーン市内の養護施設で生まれ育った設定となった。
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