ラグランジアンとは,高校力学に慢心していた大学生から単位を奪い取っている,位置ベクトルと速度ベクトルと時間に関する函数である.
概要
そもそも物理学者が何をやっているのかというと,
これが基本であり,本質(かも知れないの)である.
哲学者ニュートン氏はこの典型ともいえる操作をフックの業績を握りつぶしつつ行い,ニュートン力学と呼ばれる力学を打ち立てた.
彼氏が構築したニュートン力学は,哲学者デカルトが考案したカーテシアン上での議論のみを前提としていた為,例えば極座標など,カーテシアンでない座標上では座標変換を行わなければならない.
ところがこれが大変に骨の折れる作業で,議論を徒に複雑にするだけでまことに使い勝手が悪い(ニュートン氏に悪気はないが).その理由は(勿論彼氏がカーテシアンを前提に置いたというのは当然であるものの),ニュートン方程式がベクトル形式であることに尽きるといっていい.
ベクトルは平俗に言ってベクトル空間の次元の数だけ値を持つので,一つでも条件を弄ってしまうと全部がふにゃふにゃ変動してしまう.だから座標変換が七面倒くさい(だけではなく変数も増える)のだ.
また,数学屋さんと物理屋さんは何かというと一般化が好きで,ニュートン力学程度の一般化では満足できなかったようだ.そんな訳もあって,上述の過程をもう一度経たのが解析力学でありラグランジアンである.
ラグランジアンを用いる利点
別に大学教師は学生に単位を落とさせるべくラグランジアンを用いている訳ではない.ラグランジアンは幾つかの物理量に関する函数であるが,何しろスカラーであるので座標変換によって変動することが無い(無いことも無いのだがニコニコ大百科の物理系の記事にそこまで求めないでほしい).
というか,それ以外は本質的にニュートン氏の力学体系や方程式と同じである.ただ,ラグランジアンは例えば電磁場など一般の場に対しても応用が利く(考え方を利用できる)のでそういう点でも重宝されている.
加速度は変数に入りますか?
加速度も,より高階の物理量(より高階の位置の導関数という意味)も変数には入らない.何故なら,力学系の事象はある時刻における位置と速度が決定すれば即ち決定されるからだ.これを示そう:
時刻t, 位置q, 速度dq/dt に関する函数Lが存在して L(t,q,dq/dt)=aを満たすとする.
これを時間で全微分すると∂L/∂q(q,dq/dt)dq/dt + ∂L/∂(dq/dt)(q,dq/dt)d2q/dt2 + ∂L/∂t(q,dq/dt) = 0.
d^2q/dt^2は一意に定まる.
運営がMathJax鯖を導入してくれてないので莫迦みたく見辛いが,これで示された.
導出
Google先生はラグランジアンに関しても沢山の参考を提供してくれる.さあ,ラグランジアン 導出で検索だッ!
関連商品
とても著名な教科書.著名すぎて図書館で借りれるので要らないかも知れない.
関連項目
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